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煌きを、檸檬と薔薇の傍で

2006-01-21 23:02:03 | 



今夜、すべての傷みを檸檬色の月光に晒して孵化をしようとしている
生まれ変わるんだ
生まれ変わるんだ
誰の刃も受け止められるほどに
誰の涙も跳ね返すほどに強く
私はいつでも傷ついていて、驚くほどに瞳を伏せている、いつか愛していると言った
あのひとの顔も思い出せない
囁きの様に静かなのに、棘の様に冷たい―波打ち際にはたくさんの優しい薔薇が咲いていました
もう、とっくに、血まみれになっている…たった独りの愚かな生き物を受け入れてくれる場所は
ねえ、きっと、此処にしかないのです
涙を流しながら、それでも泣く事はしなかった―悔しさや、妬み、様々な不具は消化されないまま
胸の中でがちゃがちゃと音を立てていたけれど
『ねえ、どんなに泣いても、この海を埋め尽くすことなど出来やしないよ』朽ちた小さな船の舳先が赤子をあやすように呟いた『だからといって、とめることなど出来やしないもの』
もうひとつ踏み出すと、傷みはじんとした麻痺に変わる…こんなものを救済だと思うには
たぶん私はまだ物事を知らなすぎるのだ
空気が波を反射して煌いている、まるで、手に届くと思わせてくれる星の様に
ああ、私はこんなものになりたかったのだな―きっと此処にしか無い
きっと此処にしか無いそんな煌きに
花弁に包まれて泳ぐ様に見えるでしょうか、てらてらと紅い薔薇の花弁の中で
胸元まで幸福に満たされて泳いでいる様に
願わくば誰かにそれを愛していると言って貰えたら、願わくば
誰かがそれを神話みたいに彩ってくれたらいいな
檸檬色の月光はブランケットのふわりを真似て、遥か遥か高い処から世界を覆います
どうしても欲しいものなんてなんにも無かったよ
ただ
こんな風にぼんやりとした、馬鹿になりたかっただけ
きらきらと輝いている
今夜限りのベッド、明日は雪が



私を無色に変えてくださいますように






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