何遠亭

未だ之を思わざるなり、
夫れ何の遠きことか之有らん
          孔子の論語より

『夕凪の街 桜の国』

2010年06月14日 02時09分06秒 | 映画
広島へ行くようになってから、書店で気になっていた本(漫画)がありました。
手に取ってパラパラとめくっては、また元の所に戻すのを繰り返してたけど、
文庫サイズになっていたのを見つけた時、ようやく買いました。(すみません)
それがこの映画の原作。こうの史代さん作。

『夕凪の街』は皆実という女性が主人公。
戦後十余年、徐々に復興しつつある広島で、母と二人暮らしをしている。
原爆で父と姉妹を亡くし、弟は叔母の元へ疎開したまま、養子になった。
何気ない日々。だけど、時々彼女はある思いに襲われる・・・。

『桜の国』の主人公は七波という女性。
時代は平成。東京に住んでいる。父と弟と三人暮らし。
定年を迎えた父の様子が最近おかしい。
こっそり出掛けていく父を尾行する事にした七波だったが・・・。


原作と映画はやや設定が違っているのですが、根本は同じ。
淡々と綴られていくけれど、時折、台詞が心にずしんと響きます。
(言葉だけをここに並べてはいけない気がするので書けませんが・・・)
何気ない場面でさえ、原爆の傷の深さを思い知らされます。
少しずつ少しずつ何かが心に積み重なって・・・
映画では二つの物語が最後に一つになります。
その瞬間、切ない気持ちと優しい気持ちがふわっと心に拡がりました。

映画は原作を大切にしながら、よりふくらみを持たせてあって、
映画を読んだ後に原作が再び読みたくなりました。
これからもそれを何度も繰り返すような気がします。


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