考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』

2006-05-16 22:56:18 | 

冗談のような実話は数多くありますけど、
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』
この本は面白いですね。リチャード・P・ファインマンさんの自伝です。

ちなみにリチャード・P・ファインマンさんはノーベル物理学賞の受賞者。
詳しくは『ウィキペディア(Wikipedia)』でどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%B3

基本的には、ご自身の数々の「いたずら」を描いた短編の話を集めた本です。これだけの逸話がよくあるな、と変なところで感心しますけど、これが上・下の二冊もあります。こういう人の周りには珍しい出来事が吸い寄せられるんだな~と思いますし、そのときのファインマンさんのいたずら(対応)が面白くて、とても頭が良いんだろうな~と感じます。好奇心の強い人は人生を楽しめますね!
時々、数学的、物理的な話も出てきますけど、その内容は分からなくても全く問題ありません。(分からないところは飛ばして読みましょう。)

みなさん、ハローです。ホディです。

「KINOKUNIYABookLog」というサイトをご存知ですか?
紀伊國屋書店が運営する書評のブログ形式のサイトなんですけど、そこで茂木健一郎先生がこのファインマンさんの本を紹介されていたので、前から読みたいと思いつつ、ようやく読み終えました。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/mogi/archives/2005/07/post.html
最初この茂木先生の書評を読んだときには、恥ずかしながら茂木先生のことを知らずに面白そうな本があるな・・・と思っていました。その後、偶然に図書館でこの本に遭遇して、この本とボク、そして茂木先生の書評がはじめてつながりました。
こういうのもアハ!体験ですかね・・・

もう少しだけこの本について書きますと、
最後に「カーゴ・カルト・サイエンス」という話があります。これはカリフォルニア工科大学の1974年卒業式の式辞で話されたものだそうですけど、これはいたずら話ではなく、真面目な卒業生へのはなむけの言葉です。
カーゴ・カルト・サイエンスとは、Cargo Cult Science、直訳すると積み荷信仰式科学。ファインマンさんが考えた造語でしょうか?!
こういうことだそうです。

戦争中軍用機が、たくさんのすばらしい物資を運んできては次々と着陸するのを見てきた南の島の住民たち。こういうことが今でも続いて欲しいものだと考えて、妙なことを試していたのだとか。
つまり、滑走路らしきものを造り、その両側に火を置いたり、木の小屋を作ったり、アンテナを模した竹の棒を突っ立てたヘッドホンのようなものを頭につけたりして(フライトコントローラのつもり)、一心に飛行機が来るのを待っている。
形の上では何もかもがちゃんと整い、いかにも元通りの姿が再現されたかのよううに見える。
でも、その効果はなく、期待する飛行機はやってこない。

このようなことを「カーゴ・カルト・サイエンス」と呼ぶのだそうです。
ファインマンさんが言うには、こういう科学には一番大切な本質が抜けているのだと。その本質とは、「科学的良心(潔癖さ)」。すなわち徹底的な正直さ、誠意を尽くす姿勢なんだとおっしゃっています。
また、ある説を考えて発表する際には、それを肯定し裏付ける事実のみを述べるのではなく、それを否定するような事実もひとつ残らず書き出すべきであり、他の原因や実験で省略したことなどすべてを報告する。そういう姿勢が大切なんだと。

この話をされたのが1974年。
それから30年以上経っていますけど、いかがでしょう。
科学だけではなく、さまざまなことが実証を求められる時代になりましたけど・・・
良心とか、誠意とか、結局支えているのは「人」なんですよね。

ぜひ忙しいビジネスマンこそ、物理には縁はないでしょうけど、こういう本で遊び心と良心を思い出してください!


  

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