考える葦のブログ

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つながり ~国民生活白書~

2007-06-27 00:19:10 | 徒然なるままに

「人のつながり 再構築が必要」
今日の日経新聞の夕刊3面に『国民生活白書』の記事が載っていました。
国民生活白書とは、毎年、政府(内閣府)がその時々の国民生活の背景にある重要課題をテーマとして取り上げ、将来の主要課題を先取りするような問題提起や政策立案の材料提供したもの。
昭和31年から始まって今年で記念すべき50回目のようですね。
その歩みを見ていると、表題だけでもなかなか面白いものです。「国民生活」の白書だけに「社会」「家族」がやはり長年のキーワードで、「豊か」というのが変わらぬ目標のようですね。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h19/10_pdf/03_youshi/pdf/07sh_yo_ayumi.pdf
ちなみに、バブルの約20年前は「ゆとり」が一時期の目標だったようです。
果たして50年後、この白書がどのように見られるのか?興味深いですね。

ふと気になったのは、このような白書を初めて知ったという少し恥ずかしい事実。
みなさんは知っていましたかね。
こういう話はとても好きなので、今年で3年目のブログですから、昨年や一昨年は触れていてもおかしくないと思うんですけど。。。ボクのアンテナの方向が変わったのか?それとも今年に限って珍しく注目されたのか???
他の白書はほとんどニュースにならないことを思えば後者のほうが正しいと思ってしまいますが。 そうすると、今回の白書には何が隠れているのか?そういう意味でも実に興味深いですね。

全文読む元気はなかったんですけど、早速、「要旨」を印刷してみました。これだけで36ページ。なかなかの大作です。
今回のテーマは「つながりが築く豊かな国民生活」。
家族のつながり、地域のつながり、職場のつながりの三章構成となっています。

いくつか気になったポイントをメモしておきます。

国民生活白書_親子の同居率

まずは親世代と子ども世代の別居化が進展している、という点。 
これは以前から指摘されてきていることですけど、
親世代と既婚の子ども世代の同居率は、52.5%から23.3%へ。約25年かけて、半減しています。
まだまだ減少し続ける傾向ですので、これはどこまで下がるのか???

国民生活白書_あなたにとって一番大切なもの

その一方で、「あなたにとって一番大切なものは何か」と言えば、家族が大切と言う人は大きく増えています。
今から約50年前には10%強だったものが、45%弱まで増えています。約3倍。
その他が増減しつつもそれほど大きな数字の変化を見せない中、際立っていますよね。

家族が一番大切。だけど親(子)とはいっしょに住まない。

この統計が示すのは何なのか?

大切だからこそ、いっしょに住まないのか。
家族には独立後は親(子)は含まれないのか。
なかなか興味深い結果です。

国民生活白書_近所付き合いの程度

次は、近隣関係が希薄になっていると言う点。

これも指摘されて久しい内容ですけど、日経の記事でもかなりのスペースを割いて取り上げられています。
「教育や子育て、治安に悪影響」なのだとか。

この白書では、近所付き合いの程度の推移を1975年から掲載しています。親しく付き合っている占率が1975年の52.8%から2007年には10.7%、ここも注目すべき点ですが、「親しく」の程度も人それぞれでしょうから。。。
それよりも、「つき合いはしていない」という人の増加。
1975年が1.8%だったのが、2007年には30.9%。約17倍。しかも2000年には、まだ18.4%だったんです。 
この増加のスピードは気になります。東京ではさらに顕著なんでしょうね。

そういうボクも近所付き合い・・・希薄ですけど・・・

日曜日に介護についてのドキュメンタリー番組がやっていまして、東京の大久保地区を取り上げていました。
まさに今回の二点を強調したような地域で、独居の高齢者が、ほとんど近所の支えもなく(それでも全くないわけではなく、一部の好意的な人には支えられていたのがせめてもの救いでした。)、細々と暮らしている。誰かの手助けがなければ、「孤独死」なんて言葉も普通にイメージできるような環境です。
これが20年後の東京の姿だと、番組ではそのような取り上げ方をしていました。

家族は、地域は、そして職場は、
今後、どのようになっていくのか???
ボクらは何を頼ればよいのか?

難しい問題ですよね。
そんなことを意識しながら、この白書も、もう少しじっくりと読んでみたいと思います。

みなさん、ハローです。ホディです。

今朝の朝日新聞3面では「低賃金に福祉悲鳴」という記事がありました。
介護従事者の低賃金、そして介護に携わる人材不足についての内容です。興味があれば、是非チェックしてください。

この記事を「朝ズバ」で取り上げていたんですけど、
みのもんたさんは何を思ったか?「福祉で金儲けなんて考えてはいけないんですよ」と的外れな発言。
記事も読んでいないし、介護の実情も理解しようとしていないんでしょうね。

一部の経営者はともかく、介護では金儲けどころか日々の生活すら厳しいのが現状です。
みのさんほどの稼ぎがあれば、介護保険に頼らなくても老後の世話は安泰でしょうけど、多くの人は家族と離れ、介護保険と言う福祉に頼らざるを得ません。

それが「人材難と言う破綻の仕方」を迎えるかもしれないという危機。
分かっているんでしょうか???

福祉と言えども十分な財源はなく、
かと言って、保険料負担の増加を求めるのも難しく、
その一方でサービスの質の向上が求められつつ、
料金は下げるように強制される・・・

どうにもならない。

むすび つながりが築く豊かな国民生活

最後に国民生活白書に戻りますけど、要は国からのメッセージなんですよね。
社会保険や福祉などの国の相互扶助・共同連帯にはこれ以上頼るなと。
もっと身近な「つながり」の中で、より「豊かな生活」を求めてくれと。

さて、ボクらはこのメッセージをどう受け止めましょうか?


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4 コメント

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白書について (moto金田浩)
2007-06-27 19:57:51
私はこれまで殆ど関心をもっていませんでした。
もっとも、毎年発行され、その都度新聞が一部を
取り上げ記事にされますから、流し読みはして
きました。
要はその時代の皆さんの感じている空気を表しているものでしょう。そうか空気はそうなんだと私は感じ
てきました。良し悪しは別として。
そういえば、かって「モーレツからビューティフルへ」なんて言葉がはやった時代がありました。(笑)
介護の件はみのもんた氏もその程度でしたか。
残念です。
返信する
re:白書について (hoddy)
2007-06-28 21:50:33
moto金田浩さん、コメントありがとうございます。

国民生活白書・・・「皆さんの感じている空気」ですか。確かにそんな感じですね。
「空気」として受け止められないのは、このはじめの挨拶?
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h19/10_pdf/01_honpen/pdf/07sh_intoro02.pdf
どうしたらこういう作り方になるのか???

みのさんは忙しすぎるんでしょうか?
この人は「モーレツ」なだけですね(笑)。
残念です。

返信する
ふと考えました (moto金田浩)
2007-06-28 22:43:25
白書はそういえば政府がだしているもの。
あたりまえですが。
時々テレビで啓蒙のコマーシャル流しています
が。
例えばいじめはやめましょうとか、環境問題とか
時々のいや時代時代の問題を啓蒙する。
正しいことです。
ここまで書き込んで次が出てこなくなりました。(笑)
すみません。
返信する
re:ふと考えました (hoddy)
2007-06-29 20:32:54
moto金田浩さん、コメントありがとうございます。

政府の啓蒙・・・確かによく見かけますよね。
でも、「美しい」とか、価値基準の押し付けにはボクは違和感があるんですよね。
そして、昨日のコメントで触れた白書の「はじめに」・・・がんばっているのは分かりますので、わざわざ大きな顔写真入りでアピールする必要もないのかな、と。

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