モラル低下？

今朝の日経新聞には「奨学金滞納2000億円超す」という記事がありました。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070917AT3S0301E16092007.html
この7年で滞納額は倍増しているのだそうです。
しかも、滞納額の一部は一般会計から税金で穴埋めするそうですから、
これは酷いとしか言いようがないですよね。

ボクが「酷い」と思うのは・・・

見出しの中で「モラル低下」と大きく書いて、しかも記事の中でも「給食費や保育料などの滞納と同じく、利用者のモラルが低下していることが一因とみられる。」なんて、利用者側に問題があるような表現が目立ちますが、本当なんでしょうか？

少なくとも、奨学金は給食費や保育料とは異なり、貸し出す側に貸すかどうかの主導権があり、「借りる側のモラル」も含めて査定されるべきだと思うんですよね。
金融機関が「借りる側のモラル」を理由に不良債権が増えたなんて話は、金融機関としての能力の欠如を示しているに過ぎませんから。

それに、「モラル低下」はどんな例をもって、モラル低下と言っているのでしょうか？

今回の“一因”は単なる政府の税金の無駄遣いの言い訳であって、
「日本経済新聞」と名乗る以上は、そんな“一因”を報道すべきではない、と思います。

ちなみに、日経のサイト上には詳しい税金の負担額は書いてありませんが、
日経新聞によると以下の通り。

金額は07年度予算で936億円。10年後には負担額が1620億円に膨らむ可能性があるという。

少子化にも関わらず、奨学金の不良債権処理にかかる税金の増加とは。
「モラル低下」なんて、世間に責任を押し付けている場合ではありませんよね。

「モラル低下」を来たす学生の傾向をつかみ、査定の基準を見直す、
あるいは、回収の精度を上げるために、体制や法律を見直す、
すぐにでもやるべき、様々な取り組みがあるでしょう。
それを「年内にも有識者会議を設ける方針」云々で、先延ばし・・・

「モラル低下」が懸念されるのは、そんな仕事しかしない官僚や政治家ではないでしょうか？

みなさん、ハローです。ホディです。

夏真っ盛り（苦笑）。
夏バテに気をつけないといけませんね。

同じく今朝の日経では、コラムニストの田勢康弘さんが「核心」というコラムを『「総理の器」を考える』という題で書かれていました。

いまの日本、何がもっとも深刻かといえば、国家指導者の「人材飢饉」である。

と、まとめられていましたが、まさにおっしゃるとおりだと思うんですよね。

「総理の器」を持つ人材がいないのか？
あるいは、「総理の器」を持つ人材はいるが、その育成が出来ていないのか？
難しいところですが、人材不足は否めない気がします。

また、田勢さんは「「やってみなければわからない」というのが政治指導者の通り相場なのである」とも書かれています。

実はここが日本の政治の最大の課題である気がします。
つまり、「やってみなければわからない」ような人が総理になる、
総理を選ぶ国会議員が「やってみなければわからない」ような人を担がなければならない、
マスコミも「やってみなければわからない」わけですから、国会議員の選択を評価できない、、、
そうして、最後は国民としての限界にたどり着くわけですが・・・

冒頭の「モラル低下」といい、「総理の器」といい、
ボクらは何を間違ったか？という本質を振り返る努力に欠ける気がします。
結果論だけでは進歩はないわけで、
何を反省すべきなのか？
ボクらは逃げてはいけないと思います。