雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

二十二歳の肖像

2011年04月08日 | ポエム



 二十二歳の肖像 ~T.Sへ誕生日に~

私は流れている
枝を離れた一枚の木(こ)の葉
林のなかの小さな流れを

私は流れている
それを知った小さな木の葉
流れは 速くなるばかり

岩打つ早瀬(はやせ)
うずまくよどみ
私は流れている

時々 ふっとさびしくなる
この気持ちは いったい何なの
私は何を求めているの

ふるさとの家族
きのう会った友達の笑顔
遠い街の愛するあなた

私の見ているたくさんのもの
私を見ているたくさんのもの
だれか私をすくって欲しい

私は流れて行く
ひとりぼっちの小さな木の葉
速くなるばかりの、時の流れを

(1976.10.15)



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人間

2011年04月05日 | ポエム



 人間

『死ぬほど悲しい』
『死ぬほどさびしい』
そんなことばがあるけれど
人間は 何かをしないうちは
感情だけでは死ぬことが出来ない

ひとのこころが弱過ぎるのか
それとも 生命(いのち)が強過ぎるのか

その矛盾のなかに生きている僕

(1973.3.5~1976.12.1)


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無題(日暮里駅にて)

2011年04月01日 | ポエム

 無題 (日暮里駅にて)


人気の少ない
夜のホームに
夜行列車が眠りを乗せて
静かに通り過ぎて行く
赤いテールライトだけを残して‥‥

そのホームの青白い蛍光灯の光の端で
ひとりの三十前後の男が
無心に石けりをしている
石も無いのに‥‥

(1976)

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