▲何だか秋を感じるような空です。週末の台風がちょっと心配。
テレビドラマと原作~みをつくし料理帖
最近新たにハマった小説に高田郁の「みをつくし料理帖」のシリーズがある。
横浜の姉が教えてくれた本で、姉が自らの帰省の際に「面白いから」と最初の2巻を持ってきてくれた。
『天涯孤独の少女が大阪から江戸の街に出て様々な困難を乗り越えて、料理人として成長する姿を描いてある』料理をテーマにした時代小説だ。
最初は本を手にしても正直それ程期待していなかった。
ところが読み始めると、根が食べる事が好きなだけに、すぐに話の展開が面白くなった。現代にも通じる上方と江戸の食文化の違い。それを大阪で修行した若い女料理人が江戸の人達にどのように受け入れてもらうか。その過程や個々の料理の作り方、季節の食材が描かれていて興味が募る。
その上に、思っていた以上に読み応えのある深い内容である事に気がついた。
主人公を含めて周りの登場人物が、それぞれに悲しい過去を持ちながら自分のことよりも周りの人のことを思いやり、親子や夫婦の情、友情、恋愛をからめて話が進んで行く。最新刊では武家と町民の身分の差というものを、今までに読んだどの本よりも身近に感じてしまった。
姉が買っているという6巻までを、次の姉の帰省が待てず、横浜から郵便で送ってもらった。それも貪るように読んでしまい、今月法事でまた帰省した姉が最新刊の7巻の「夏天の虹」を持ってきてくれ、楽しみながら今週読了したところだ。
ちょうど7巻を読んでいる最中に、テレビ朝日系列で「みをつくし料理帖」がドラマになり22日の土曜日に放映された。
もともと1、2巻を読んだ後で、自分の頭の中に映像が浮かんできて、テレビドラマにしても面白いだろうと思った。姉も同じ感想を持っていたらしく、「NHKの時代劇でやってくれたらいいね」と話していた。
NHKの時代劇は、ほとんど毎回の作品を楽しんでいる。原作を読んでいたものがドラマ化されたり、ドラマで見た後で原作を手にしたものもある。
藤沢周平の「清左衛門残日録」や「蝉時雨」は質の高い名作。北原亜似子の「慶次郎縁側日記」、佐伯泰英の「居眠り磐音 陽炎の辻」は、特に気に入って楽しみに欠かさず見ていた。これらは、テレビを見た後に原作を読んだ。
NHKの肩を持つ訳ではないが、じっくりと腰を据えたようなドラマ作りが見ていて安心。原作を先に読んだものでもキャスティングに原作とあまり違和感がない。それに較べると民放のドラマは一般的に軽いし浅い。時代考証に首をひねったり、人気のタレントを無理矢理起用して雰囲気をこわしてしまうことも多い。だからテレビ朝日で「みをつくし料理帖」をやると聞いたとき、うれしさよりも正直少しガッカリしてしまった。NHKでやってほしかったなあ。
大好きな原作の本がドラマや映画になるときは、最初から「原作とは別物」と思って、ドラマはドラマで楽しむことにしてはいるが‥‥。
今回の「みをつくし料理帖」の放映は、実は翌日早朝から用があったので録画していて、まだ全編を通しては見ていない。でも放映中にチラチラと画面を見て、原作を読んでいるので、はなし(内容)がわかるだけに、ついつい画面からしばらく目を離せなくなってしまったりした。
主人公の澪役の北川景子は、ちょっと美し過ぎる気もするが可愛かった。
今回は主役をはじめキャスティングも違和感が無かった。相手役の小松原役のTOKIOの松岡君も、あさひ太夫の貫地谷しほり、育ての親の芳役の原田美枝子、又二役の男優さんも良かった。話の舞台となる料理屋「つるや」の主人役だけがちょっとイメージと大きく違った。大杉漣は嫌いな役者じゃないけど。
ドラマ自体は、やはり単発では時間が足りず、原作の良さが表現されずにもったいない気がした。
連続ものでじっくりといつかNHKにやってほしいものだ。
そのドラマを見た後で、読んでいる途中の7巻の「夏天の虹 みをつくし料理帖」の本の続きを読了した。さらにきびしい試練と悲しい出来事が主人公を待ち受けていて、ウルっとした。
幸い読んでいてテレビドラマの俳優さん達の姿がだぶることは無かった。
それは私の頭の中で、私の「みをつくし料理帖」の世界がすっかり出来ていたためだろうか。
(2012.9.28)
テレビドラマと原作~みをつくし料理帖
最近新たにハマった小説に高田郁の「みをつくし料理帖」のシリーズがある。
横浜の姉が教えてくれた本で、姉が自らの帰省の際に「面白いから」と最初の2巻を持ってきてくれた。
『天涯孤独の少女が大阪から江戸の街に出て様々な困難を乗り越えて、料理人として成長する姿を描いてある』料理をテーマにした時代小説だ。
最初は本を手にしても正直それ程期待していなかった。
ところが読み始めると、根が食べる事が好きなだけに、すぐに話の展開が面白くなった。現代にも通じる上方と江戸の食文化の違い。それを大阪で修行した若い女料理人が江戸の人達にどのように受け入れてもらうか。その過程や個々の料理の作り方、季節の食材が描かれていて興味が募る。
その上に、思っていた以上に読み応えのある深い内容である事に気がついた。
主人公を含めて周りの登場人物が、それぞれに悲しい過去を持ちながら自分のことよりも周りの人のことを思いやり、親子や夫婦の情、友情、恋愛をからめて話が進んで行く。最新刊では武家と町民の身分の差というものを、今までに読んだどの本よりも身近に感じてしまった。
姉が買っているという6巻までを、次の姉の帰省が待てず、横浜から郵便で送ってもらった。それも貪るように読んでしまい、今月法事でまた帰省した姉が最新刊の7巻の「夏天の虹」を持ってきてくれ、楽しみながら今週読了したところだ。
ちょうど7巻を読んでいる最中に、テレビ朝日系列で「みをつくし料理帖」がドラマになり22日の土曜日に放映された。
もともと1、2巻を読んだ後で、自分の頭の中に映像が浮かんできて、テレビドラマにしても面白いだろうと思った。姉も同じ感想を持っていたらしく、「NHKの時代劇でやってくれたらいいね」と話していた。
NHKの時代劇は、ほとんど毎回の作品を楽しんでいる。原作を読んでいたものがドラマ化されたり、ドラマで見た後で原作を手にしたものもある。
藤沢周平の「清左衛門残日録」や「蝉時雨」は質の高い名作。北原亜似子の「慶次郎縁側日記」、佐伯泰英の「居眠り磐音 陽炎の辻」は、特に気に入って楽しみに欠かさず見ていた。これらは、テレビを見た後に原作を読んだ。
NHKの肩を持つ訳ではないが、じっくりと腰を据えたようなドラマ作りが見ていて安心。原作を先に読んだものでもキャスティングに原作とあまり違和感がない。それに較べると民放のドラマは一般的に軽いし浅い。時代考証に首をひねったり、人気のタレントを無理矢理起用して雰囲気をこわしてしまうことも多い。だからテレビ朝日で「みをつくし料理帖」をやると聞いたとき、うれしさよりも正直少しガッカリしてしまった。NHKでやってほしかったなあ。
大好きな原作の本がドラマや映画になるときは、最初から「原作とは別物」と思って、ドラマはドラマで楽しむことにしてはいるが‥‥。
今回の「みをつくし料理帖」の放映は、実は翌日早朝から用があったので録画していて、まだ全編を通しては見ていない。でも放映中にチラチラと画面を見て、原作を読んでいるので、はなし(内容)がわかるだけに、ついつい画面からしばらく目を離せなくなってしまったりした。
主人公の澪役の北川景子は、ちょっと美し過ぎる気もするが可愛かった。
今回は主役をはじめキャスティングも違和感が無かった。相手役の小松原役のTOKIOの松岡君も、あさひ太夫の貫地谷しほり、育ての親の芳役の原田美枝子、又二役の男優さんも良かった。話の舞台となる料理屋「つるや」の主人役だけがちょっとイメージと大きく違った。大杉漣は嫌いな役者じゃないけど。
ドラマ自体は、やはり単発では時間が足りず、原作の良さが表現されずにもったいない気がした。
連続ものでじっくりといつかNHKにやってほしいものだ。
そのドラマを見た後で、読んでいる途中の7巻の「夏天の虹 みをつくし料理帖」の本の続きを読了した。さらにきびしい試練と悲しい出来事が主人公を待ち受けていて、ウルっとした。
幸い読んでいてテレビドラマの俳優さん達の姿がだぶることは無かった。
それは私の頭の中で、私の「みをつくし料理帖」の世界がすっかり出来ていたためだろうか。
(2012.9.28)