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人様のお金-厚生年金基金は何になるのか

2013年04月23日 | 厚生年金基金
厚生年金基金についての唯一の古典!





 「厚生年金基金って、何んだ?」という筆者の25年に及ぶ小さな基金事務所での実務経験に基づくドメスティックな一考察です。
 制度としての厚生年金基金がどれだけ日本的マターであったか、その改革に関係者がどのように挑んだか、戦乱の経過をご覧ください。


 
・はじめに

 最近、「人様のお金」という言葉をお聞きになったことがおありでしょうか? 
 「他人の金」という言い方は時々見聞きするようになりましたが、一般的にはまだまだ「自分たちのカネ」という意識、といいますより、そのようなことに無頓着な無意識の行動が幅を利かせているようです。つまり、「人様のお金」を「自分たちのカネ」に摩り替える政官財のモラルハザ-ドは極まってきているということ。
 なにはともあれ、「人様のお金」などという言い回しは久しく聞いたこともなく、死語と化しているというのが現実のことでしょう。
 そうではありましても、日本人ならどなたでもこの言葉に何やら、懐かしい響き……・が、母親の面影が立ち上がってくるような気がしませんでしょうか。他界してしまった母親のように遠い何処かに、江戸時代か、明治の商人世界、あるいは終戦直後等の一昔前に、まったく忘れ去られたかのような感じがします。

 「厚生年金基金って、何んだ?」という筆者の25年に及ぶ小さな基金事務所での実務経験に基づくドメスティックな一考察が、厚生年金基金制度の提供主体である官僚と企業人が、「自分たちのカネ」とばかり思い込んでいました厚生年金基金の年金給付<代行分>と<加算年金>は、実は他人の金、「人様のお金」ですということを発見したのです。つまり、年金給付を受ける当事者自身の<皆さんのお金>でありましたという発見を基金の現場でのマドリング・スル-の結果導きだしたのです。

 同じように、「似たような状況において蓄積された経験」(R・ジアモ)の幾多の繰り返しにより厚生年金基金の公的部分(代行)と私的部分(加算)、つまり、この国家と企業のフレームワークは、各々が実施してきました国民と社員の<統制手法>なのだという認識を生み出したのです。この論理的帰結として、国家と企業の手から分離された形での「人様のお金」=「年金基金」というビジョンが成立したのです。

 さらに、このビジョンが日本の金融・年金・資産運用等のインフラストラクチュアを、強いて言えば、日本そのもののインフラストラクチュアを再構築することになりましょうという、<壮大な経路>(三ツ谷誠:JMMメ-ル)の発見につながったのです。
 要するに、「人様のお金」というフレ-スは、刈谷武昭さんが『金融工学とは何か』(岩波新書)でおっしゃっている「不完備制度の完備化」の機能を果たすことになるのでしょう。

 このようなことは、すでに30年程前、1976年に米国でドラッカ-教授が『見えざる革命-来るべき高齢化社会の衝撃』で予言していたことであり、愈々そのようなことが、この日本でも少子化という問題を上乗せした形ではありますが具体化しつつあります。現実に日本のGDP500兆円に対して年金資産は半分強にまで積み上がってきているのです。資料によりますと、日本全体の年金資産は300兆円弱に積みあがり、厚生年金基金の資産も60兆円となってきています。このような年金資産(実態は、「人様のお金」)の<資本の論理>が保持しているパワ-が、政官財の旧来システムの見直し・断罪を強く要請することになるでしょうし、サラリ-マン・ゼネラリストを馘首し、様々なオ-ナ-を次々と誕生させるでしょう。<倫理ファンド>、ベンチャ-キャピタル、ストックオプション等の隆盛をもたらすにとどまらず、国家、企業等の組織都合な統治発想は否認され、インンディビュジアル(個人)レベルから新たなインフラストラクチュアが構築されることになるのでしょう。

 とは言いましても、日本の構造改革は国債の大量発行に象徴されますように民意度は後進国並みですから、未だしばらくは遅々たる進展しか望めないでしょうが、方向だけは定まってきたようです。

 さて、通常一冊の本は、事前に推敲の経緯・経過は捨象され、抽象化されたうえで書かれるものと考えられます。泥の中を通り抜けるマドリング・スル-な経過そのものは主題足り得ないものなのでしょう。

 しかし、この「人様のお金」を、筆者は平成8年6月に厚生年金基金の経営を主題に「ペンションファンドマネジメント」として書き始め、推敲のドメスティックな展開そのものを内容にして、平成12年8月にタイトルを「人様のお金」(第1部厚生年金基金の変貌、第2部厚生年金基金の資産運用ドキュメント、第3部厚生年金基金の経営の3部構成、400字詰め原稿用紙2200枚)と改めて、書き上げました。

 その後、何人かの人に目を通していただきましたところ、商業べ-スに乗らないということで、皆さん一様に余りに大部に過ぎるということでした。そこで、編集し直し、500枚ほどをカットし、1700枚としました。

 さらに、それを「経営資源の有機的連結」を中心にした500枚ほどを独立させ『事務長奮闘記-厚生年金基金って、何んだ?』とし、残りの1200枚ほどをこの『人様のお金-厚生年金基金は、何になるのか?』に分冊しました。それでもなお、一般の本に比べて分厚くなりましたのは主題追求の手法のせいとご容赦ください。

 これらのことを、筆者は母体企業の再三の肩叩きを肩透かししつつ、厚生年金基金業務に全人的にのめり込むという原始的な手法で、現場事務所で「厚生年金基金って、何んだ?」と追い求めたのです。このような不器用な生き様は決してエフィシェント(効率的)とは言えませんが、愚かな素朴さ、ピュアであるとは言えるかもしれません。単に、ドメスティックなだけに終わっているかも知れませんが……・。

 しかし、この判断は読者諸賢がお決めになること。 筆者としては、ただ「厚生年金基金は、何になるのか?」の「叩かれ台」(山崎元『年金運用の実際知識』)を、「人様のお金」の素材提供が出来ましたのであれば、または、せめて読者の基金に対するイメ-ジ構成が幾分かでも立ち上がり始めましたら良しとしなければならないでしょう。

 後は、ただ、笑而不答……・







目 次

はじめに

第1章 制度発足30年経過して

第2章 厚生年金基金の経営フレームワーク
1. 経営などしたこともない!
2. 基金経営の組織機能
3. 厚生年金基金の過渡的な経営フレームワーク

第3章 厚生年金基金の資産運用方法
1.それとも資産運用で稼ぐか
2.基金の見た日本の資産運用環境
3.世界の資産運用環境
4.平成10年度現在の資産運用状況
5. 資産運用マネジメント

第4章 厚生年金基金経営上の諸問題
1.基金運営から基金経営へ
2.厚生年金基金のリスク管理
3.代行の金縛り
4.<人様のお金>
5.果たすべき約束
6.パブリック・コメント?

第5章 401(k)の百聞は一見に如かず
1.401(k)一見
2.訪問先個社マタ-
3.日本版確定給付型年金の完全民営化

第6章 凍結した死に体
1.「厚生年金基金は死に体!」
2.基金問題のインパクト
3.<人様のお金>が変える日本のインフラストラクチュア

第7章 ビジョン「年金基金」
1.戦後日本の哲学もどき
2.「年金基金」というビジョン
3.ビジョンのメッセ-ジ

謝 辞

・厚生年金基金の経営フレームワーク資料集
・情報収集先
・年金関係インタ-ネット・サイト





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