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【#現代ビジネス】韓国・文在寅政権が、新型コロナウイルス騒動に青ざめている

2020-02-11 20:04:08 | 海外の反応
「中国カード」の当てが外れて
 2月初めに訪れたソウルは、新型コロナウイルスの話で持ちきりだった。道行く人の8割はマスク姿。ホテル従業員もタクシー運転手もみな白や黒のマスクをしている。
 中国人学校もあり、中国人観光客が数多く訪れる代表的な繁華街、明洞(ミョンドン)では道行く人が半減した。明洞に隣接するロッテ百貨店は7日午後、ウイルスに感染した中国人の来店が確認されたとして、臨時休業に入った。

 この状態に青ざめたのが韓国の政府・与党だ。

 韓国では4月15日に総選挙の投開票が行われる。現在の国会勢力図(300議席)は、与党の共に民主党が129、第1野党の自由韓国党が107などとなっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は昨秋の曺国(チョ・グク)法相(当時)を巡るスキャンダルや、韓国大統領府が2018年6月の蔚山(ウルサン)市長選に介入した疑いなどで、窮地に追い込まれつつある。今回の総選挙では、与党の第1党の座を死守するとともに、文在寅大統領を支持する「親文派」と呼ばれる議員を多数輩出し、2022年5月に任期末を迎える文政権の後継政権の基礎を築くことを目論んでいた。

 そして、総選挙勝利のための重要なカードの一つが、中国だったのである。

 もともと、文在寅政権は中国との関係を重視してきた。中国は最大の貿易相手国であるうえ、文政権が最重要課題のひとつに挙げる北朝鮮政策に強い影響力を持っているからだ。今回も文政権は、習近平中国国家主席の訪韓を推進していた。

 習主席は4月上旬、国賓として日本を訪れる予定だが、韓国も中国に習主席訪韓を打診していた。中韓関係筋によれば、韓国側はその際に2つの要望を出していた。

 ひとつは「訪日とは切り離し、ついでに韓国にも立ち寄ったという形にはしないでほしい」。そしてもうひとつは「4月15日の総選挙前に訪れてほしい」。

 韓国の政界関係筋は「総選挙で勝利する秘訣は、国民に良い気分になってもらうことだ」と語る。歴代政権は、「政府は良くやっている」という印象を持ってもらうため、福祉政策の充実や与党が不利な選挙区を重視した開発政策など、あの手この手で有権者の気持ちをつなぎとめようとした。そのうちのひとつが「有権者が喜ぶニュース」の提供であり、それが「習近平主席の訪韓」になるはずだった。

「反米ムード」が「反中ムード」に
 韓国人には、中華思想に染まって韓国を見下す態度を取る中国を潜在的に嫌う傾向があるが、同時にその中国が韓国を大事にしてくれることを歓迎する空気もある。

 2015年秋、朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)が、中国の「戦勝70周年記念式典」に招かれた際、単独で習主席と昼食を共にした。当時の韓国メディアは、「中国が、他の外国首脳よりも韓国を特別扱いしてくれた」と大騒ぎした。

 だが、新型コロナウイルス騒動が、それまでハリス駐韓米大使の言動を中心に韓国内に漂っていた「反米ムード」を、急速に「反中ムード」に変えつつある。

 まず、韓国政府は国民に、出足が遅いかのような印象を与えてしまった。韓国の丁世均(チョン・セギュン)首相は2月2日に対策会議を開き、過去2週間、中国・湖北省に滞在したすべての外国人の入国を禁止するなどの措置を発表した。

 このとき、すでに米政府は1月31日、過去14日間に中国に滞在した外国人の入国を拒否する措置を講じると発表。安倍晋三首相も1月31日、湖北省に2週間以内に滞在歴のある外国人と、湖北省発行の中国旅券を所持する外国人は、特段の事情がない限り当分のあいだ入国を拒否すると表明していた。

 日韓関係筋によれば、韓国政府は日米などの対応について情報収集を急いでいた。自国民の保護を十分行う一方、中韓関係を必要以上に悪化させないよう、他国と歩調を合わせる必要があったからだ。

 だが、日米に比べて、韓国の対応策の発表は半歩遅れた。日本の茂木敏充外相が1月26日、新型コロナウイルスの問題では初めて中国の王毅外相と電話会談したというニュースも、韓国人の間に「わが政府は何をやっているんだ」という不信感を呼んだという。

 同筋は「中国は、つねに商売をする国。習近平主席の日本への国賓訪問を成功させるため、茂木氏を最初の会談相手に選んだのだろう」と語るが、そんな事情は韓国の人々にはわかりようがない。

中国大使への韓国国民の怒り
 そして、さらに韓国の人々の怒りを呼んだのが、中国の言動だ。新たに韓国に赴任した邢海明(シン・ハイミン)駐韓国大使が4日、ソウルの中国大使館で会見し、「貿易や移動の制限を勧告していない世界保健機関(WHO)の方針に従うべきだ」との趣旨の発言をしたからだ。

 韓国政府元高官は「中国の大使は、文大統領に信任状も提出していない状態だった。信任状のコピーを観光外交省に提出しているとはいえ、正式に外交活動を行うのは控えなければならない。中国本国の指示を受けたのだろうが、韓国の事情など何も考えない傲慢な行動だった」と語った。

 しかし、韓国大統領府は特にこの発言に異を唱えなかった。韓国メディアによれば、同府は逆に邢大使の行動に理解を示す発言を繰り返した。過去、ハリス駐韓米大使の言動を巡り、外交省がハリス氏本人を呼んで遺憾の意を伝えた動きとはあまりに対照的な反応だった。

 中韓外交筋は「ここで中国大使の発言に反発すれば、新型コロナウイルス問題で風前の灯火の習主席の訪韓は、確実にダメになる。そんな状態は避けたかったのだろう」と語る。

中国に対する弱腰が仇に
 逆に俄然、息を吹き返したのが韓国の野党・保守層だ。野党陣営は少し前まで、ハリス駐韓米大使の言動を中心にした、韓国内の「反米ムード」に悩まされていたからだ。

 ハリス大使は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長問題や、韓国による在韓米軍駐留経費分担問題、韓国による北朝鮮への個別観光問題などで、歯に衣着せぬ発言を連発し、韓国側の反発を買っていた。ハリス大使に対する批判は同氏の口ひげに及び、「日本統治時代の朝鮮総督を思い起こさせる」という声まで上がっていた。

 韓国内では従来、反米ムードは進歩(革新)勢力に対する追い風となってきた。保守勢力は米国の支援を後ろ盾にして、長期の独裁政権を実現してきたからだ。

 典型的だったのが、2002年に起きた米軍装甲車による韓国女子中学生轢殺事件だ。この事件を契機に、韓国内で反米ムードが高まり、米国への依存からの脱却を掲げる盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が同年12月の大統領選で勝利した。

 これに対し、保守政権と対立してきた進歩勢力は、米国と敵対してきた北朝鮮や中国に親近感を抱く傾向があった。さらに前述したように経済や南北政策との関係もあり、文在寅政権は過去、中国に配慮した政策を重ねてきた。

 近くは昨年12月、文氏と習近平国家主席が北京で首脳会談をした際、香港や新疆ウイグル地区の民主化・人権問題を巡るやり取りが問題になった。中国政府は会談後、「文氏はこの問題が中国の内政問題だと認めた」と説明した。韓国政府は「そんな事実はない」と否定したが、中国側は主張を変えていない。

 別の韓国政府元高官は「文氏は、はっきりと『内政問題ではない』と否定しなかったのだろう。中国への遠慮があいまいな発言につながり、逆に利用された」と語る。

もし死亡者が出てしまったら…
 この問題は、それほど長続きしなかった。韓国内では残念ながら、香港や新疆ウイグル地区の民主化・人権問題はそれほど身近な問題ではなかったからだ。だが、新型コロナウイルス問題はそうはいかない。韓国人のほとんどがマスクを身につけるくらい、身近に感じている問題だ。

 韓国大統領府ホームページにある国民請願コーナーでは、「中国人の韓国入国を禁止して欲しい」という請願が70万件に迫る騒ぎになっている。韓国政界筋の一人は「文在寅政権のコンクリート支持層は別にして、中間浮動層が与党に嫌気がさす可能性は十分ある」と語る。

 実際、野党陣営は、丁首相が2日に発表した政策を「手ぬるい」「中国人全員を入国禁止にしろ」などと息巻き、激しく批判している。中国から帰国した韓国人の隔離施設について、当初予定していた場所が与党議員の選挙区だったため、「韓国政府が野党議員の選挙区に変えた」と批判するなど、政治争点化に躍起になっている。

 ただ、野党側の追求も批判一辺倒で、代替案と評価できるような政策には乏しい。また、あまりに韓国人の視線が新型コロナウイルス問題に集中したため、野党陣営が本来追求すべきだった、韓国大統領府による蔚山市長選への介入問題などが十分議論されない状態に陥っている。

 韓国の政界関係筋の一人は「結局、与党も野党も新型コロナウイルスの問題を政治利用しているだけだ。ただ、韓国内で死亡者が発生したり、患者が激増したりすれば、国民の不安が一気に高まり、与党への批判につながるだろう」と語る。

 韓国の総選挙まであと2ヵ月余り。新型コロナウイルスがそれまでに収束する見通しは、全く立っていない。文在寅政権にとって、新型コロナウイルスが、まさに政権の死命を決するカギとなるかもしれない。

牧野 愛博(朝日新聞編集委員)


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