「n番ルーム事件」被害者の訴え
「博士の自殺未遂のニュースに、さらなる怒り」
警察に身辺保護されても恐怖が残り続け SNS・電話など“世間と遮断”を選び 壊れた日常、元に戻るにはほど遠い
個別の事件と異なり「会員だけでも数万人」 流布者追跡・被害に対する法律支援など 政府レベルの専門支援団の設立が急務
「被害者たちは本当につらい日々を生きてます。女性と未成年を対象にした犯罪じゃないですか。『博士』にだまされず、きちんと処罰してほしい」
昨年11月、ハンギョレに「テレグラムのシークレットチャットルーム」のつらい記憶を打ち明けた(関連記事:「テレグラムに広がる性的搾取映像…『バイト募集』にだまされ『奴隷』になった」2019年11月28日付)被害者のイ・ウンヘさん(仮名)は22日、こう語った。ウンヘさんはアルバイトを求めてテレグラムの「n番ルーム事件」の主要被疑者である「博士」一味に個人情報が流れた後、テレグラムのシークレットチャットであらゆる脅迫と性的搾取に苦しんだ。
事件後、ウンヘさんはテレグラムとツイッターを含むSNSを脱退し、電話番号も変えた。通報から1カ月の間は警察の身辺保護も受けていたが、恐怖を消すことができなかったからだ。外部と断絶したため、インターネットでn番ルーム事件の加害者の処罰を求めて被害者たちを支持する声が上っていることも知らなかった。鬱に悩まされ薬も飲まなければならなかった。ウンヘさんは「博士が(警察に捕まった後)自殺未遂したという知らせを聞いて、正直死んでほしいと思ったほど。彼らが捕まってもどうなるか分からないので、より怖い気持ちもある」と言い、厳しい処罰を訴えた。
「博士」ことJ容疑者が19日に拘束されたにもかかわらず、ウンヘさんをはじめ被害者たちは壊れた日常を元に戻せずにいる。当時ハンギョレのインタビューに応じた被害者のチェ・ジスさん(仮名)は、携帯電話も受信停止している。極悪な犯罪に世間が怒りを感じても、数十人と推定されるn番ルームの被害者たちは被害規模の見当もつかないまま、隠れて苦しんでいる。閉鎖された空間で組織的に起きた犯罪であるだけに、被害者が直接勇気を出せるよう、政府が専門支援団を立ち上げるなどの方法で積極的な支援に乗り出すべきだという指摘が出ているのもそのためだ。
不法撮影などデジタル性犯罪の被害者は、韓国女性人権振興院傘下のデジタル性犯罪被害者支援センターで、被害映像の削除支援とモニタリング▽医療相談の連携▽捜査・法律相談の連携などのサポートを受けることができる。支援センターの関係者は「被害映像はテレグラムという閉鎖型SNSで初めて流布されたが、不法共有サイトなどに再流布された場合、被害が膨大に広がる可能性があるため、初期支援が非常に重要だ。被害発生の有無がわからず躊躇しているなら、本人が映像を持っていればシステムにかけて削除を支援することができるので、すぐに助けを求める必要がある」と述べた。
ただ、被害者の告訴事件ではないうえ、博士と主要加担者のほかにも会員が数万人にのぼると推定される今回の事件の特殊性のため、これまでに発生した個別事件の支援とは異なるアプローチが求められる。n番ルーム事件の被害者を法律支援しているある弁護士は、「一般の事件は誰が自分の映像を撮って流布したのかを特定して通報するため、事件の管理やモニタリングができる。今回の事件は、警察が被疑者らを認知捜査する形で立件しており、関連者らがごく軽い処罰を受けても結果を追跡するのは難しいと思われる。被害者自身が動画流布者が誰なのか確認できなければ、それに対して損害賠償請求も全くできない状況」だと述べた。
このため、一時的な専門組織の必要性も取り上げられている。「民主社会のための弁護士会」性搾取対応チームのシン・ゴウン弁護士は、「流布者が数千人にのぼるはずだが、個人が一つ一つ通報して告発するのは難しい状況なので、対策が必要だ。警察がタスクフォース(TF)を作り、動画の流布をリアルタイムで防止し、流布者を即時把握するなど機動力が必要な問題だ」と指摘した。キム・ジェリョン弁護士も「女性家族部は警察庁と協議して毎年3億ウォン以上の法律救助支援を行っているが、この事件の被害者が無料の法律救助支援を受けられるよう、法律支援団などの立ち上げを検討すべきだ」と話した。
オ・ヨンソ、クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/933869.html
「博士の自殺未遂のニュースに、さらなる怒り」
警察に身辺保護されても恐怖が残り続け SNS・電話など“世間と遮断”を選び 壊れた日常、元に戻るにはほど遠い
個別の事件と異なり「会員だけでも数万人」 流布者追跡・被害に対する法律支援など 政府レベルの専門支援団の設立が急務
「被害者たちは本当につらい日々を生きてます。女性と未成年を対象にした犯罪じゃないですか。『博士』にだまされず、きちんと処罰してほしい」
昨年11月、ハンギョレに「テレグラムのシークレットチャットルーム」のつらい記憶を打ち明けた(関連記事:「テレグラムに広がる性的搾取映像…『バイト募集』にだまされ『奴隷』になった」2019年11月28日付)被害者のイ・ウンヘさん(仮名)は22日、こう語った。ウンヘさんはアルバイトを求めてテレグラムの「n番ルーム事件」の主要被疑者である「博士」一味に個人情報が流れた後、テレグラムのシークレットチャットであらゆる脅迫と性的搾取に苦しんだ。
事件後、ウンヘさんはテレグラムとツイッターを含むSNSを脱退し、電話番号も変えた。通報から1カ月の間は警察の身辺保護も受けていたが、恐怖を消すことができなかったからだ。外部と断絶したため、インターネットでn番ルーム事件の加害者の処罰を求めて被害者たちを支持する声が上っていることも知らなかった。鬱に悩まされ薬も飲まなければならなかった。ウンヘさんは「博士が(警察に捕まった後)自殺未遂したという知らせを聞いて、正直死んでほしいと思ったほど。彼らが捕まってもどうなるか分からないので、より怖い気持ちもある」と言い、厳しい処罰を訴えた。
「博士」ことJ容疑者が19日に拘束されたにもかかわらず、ウンヘさんをはじめ被害者たちは壊れた日常を元に戻せずにいる。当時ハンギョレのインタビューに応じた被害者のチェ・ジスさん(仮名)は、携帯電話も受信停止している。極悪な犯罪に世間が怒りを感じても、数十人と推定されるn番ルームの被害者たちは被害規模の見当もつかないまま、隠れて苦しんでいる。閉鎖された空間で組織的に起きた犯罪であるだけに、被害者が直接勇気を出せるよう、政府が専門支援団を立ち上げるなどの方法で積極的な支援に乗り出すべきだという指摘が出ているのもそのためだ。
不法撮影などデジタル性犯罪の被害者は、韓国女性人権振興院傘下のデジタル性犯罪被害者支援センターで、被害映像の削除支援とモニタリング▽医療相談の連携▽捜査・法律相談の連携などのサポートを受けることができる。支援センターの関係者は「被害映像はテレグラムという閉鎖型SNSで初めて流布されたが、不法共有サイトなどに再流布された場合、被害が膨大に広がる可能性があるため、初期支援が非常に重要だ。被害発生の有無がわからず躊躇しているなら、本人が映像を持っていればシステムにかけて削除を支援することができるので、すぐに助けを求める必要がある」と述べた。
ただ、被害者の告訴事件ではないうえ、博士と主要加担者のほかにも会員が数万人にのぼると推定される今回の事件の特殊性のため、これまでに発生した個別事件の支援とは異なるアプローチが求められる。n番ルーム事件の被害者を法律支援しているある弁護士は、「一般の事件は誰が自分の映像を撮って流布したのかを特定して通報するため、事件の管理やモニタリングができる。今回の事件は、警察が被疑者らを認知捜査する形で立件しており、関連者らがごく軽い処罰を受けても結果を追跡するのは難しいと思われる。被害者自身が動画流布者が誰なのか確認できなければ、それに対して損害賠償請求も全くできない状況」だと述べた。
このため、一時的な専門組織の必要性も取り上げられている。「民主社会のための弁護士会」性搾取対応チームのシン・ゴウン弁護士は、「流布者が数千人にのぼるはずだが、個人が一つ一つ通報して告発するのは難しい状況なので、対策が必要だ。警察がタスクフォース(TF)を作り、動画の流布をリアルタイムで防止し、流布者を即時把握するなど機動力が必要な問題だ」と指摘した。キム・ジェリョン弁護士も「女性家族部は警察庁と協議して毎年3億ウォン以上の法律救助支援を行っているが、この事件の被害者が無料の法律救助支援を受けられるよう、法律支援団などの立ち上げを検討すべきだ」と話した。
オ・ヨンソ、クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/933869.html
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