新型コロナウイルスの日本での感染にからみ、韓国メディアは早い段階から「東京五輪の中止」の可能性を報じ続けている。ウイルス拡散よりも、むしろ、それによる五輪の頓挫を期待しているかのようだ。自国での感染拡大をよそに、韓国メディアは、東京五輪への本音をさらけ出し続けている。(ソウル 名村隆寛)
■五輪頓挫に期待?
ウイルス問題が日韓でも懸念され始めた当初から、韓国では東京五輪中止論が浮上していた。日本国内の状況を伝える韓国メディアは、ほとんどがウイルス問題と五輪を結びつけ報道。特にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に寄港して以降、その傾向は強まった。
ニュース専門の聯合ニュースTVを一例に挙げてみる。感染問題の専門家を招き、クルーズ船での感染や対策について聞く中で、女性アナウンサーが「東京オリンピックへの影響は避けられませんか」と聞くと、韓国人の専門家は否定せずに、言葉を続けていた。
この時、目を引いたのは、アナウンサーが話を深刻な方向に持っていこうとしたことと、その表情からは深刻さが全くうかがえなかったことだ。むしろ、五輪開催が困難になることを期待しているかのような雰囲気だった。気のせいではないだろう。他局でも似たようなニュース番組をいくつも見た。テレビ画面には必ず「東京五輪頓挫」「五輪につまずき」などとのタイトル(文字)がのせられていた。
■日本の不幸は蜜の味
新聞も東京五輪への影響について熱を上げている。いくつかを例示してみる。
「『衛生先進国』日本の面目丸つぶれ」、「日本政府は五輪ノイローゼ(神経症)にかかっているようだ」「数多くの乗客や乗務員が『五輪の人質』になった」「日本社会は自発的規制で3700人が乗った船を『小さな武漢』にした」(いずれも朝鮮日報)
「安倍政府(安倍晋三政権)が事態を隠そうとのきゅうきゅうとしていたのは5カ月後開幕の東京五輪を意識していたという印象が拭えない」(中央日報)
中央日報はまた、クルーズ船に乗船中の日本人が「日本政府が対応方式を変えねば東京五輪は不可能だ。五輪で多くの外国人が来るはずだが、これでは観光大国という目標も達成できない。韓国だけでなく国際社会が日本政府に対し強く問題提起することを願う」と語ったことを伝えた。この言葉は見出しにも使われた。
日本を相手にしたときに必ず韓国メディアに見られる、まるで日本の不幸を喜んでいるかのような報道だ。悪乗りの感があり、しかもいつものように勢いづいている。
■イメージダウンの好材料
韓国での日常生活で、ここまでではないが、「日本は五輪が大変だねえ」と含みを持たせて聞いてくる韓国人もいる。明らかに東京五輪の中止を期待しているようなこうした質問には「万が一、韓国から1人も観客が来なくても、五輪の観客席は日本(人)だけでも満席になるよ」と答えている。相手は沈黙する。
もし、海外からの観客が来なくても日本では自然に観客席が満杯になるだろう。それだけの消費層(観客)が日本にいることを韓国も分かっているのだ。
韓国での25日時点でのウイルス感染者は977人で、感染による死者は10人。教会や病院での感染といった市中感染もあり、クルーズ船での感染を加えた日本の感染者数をついに超えた。クルーズ船での感染を除けば、日本をはるかに上回っている。それでも、今回のクルーズ船での感染騒ぎは韓国のメディアや日本嫌いの者にとって、東京五輪のイメージダウンの好材料になっている。韓国メディアの報道だけをとってもそれは明らかだ。
■「安倍危機」にワクワク
韓国メディアがここまで東京五輪への悪影響を“期待”しているのは、安倍晋三首相の失敗への期待のようで、「東京五輪の失敗=安倍の不幸」とみなしている。韓国で安倍首相は「極右の象徴」とみなされており、メディアや日本への抗議集会での非難は相当にひどい。完全に悪者扱いだ。その安倍首相が危機に陥ることを韓国メディアはワクワクとして期待しているのだろう。
「クルーズ船への対処に日本政府が右往左往している」(ハンギョレ紙)。「安倍政権は失策を認めないでいる」「クルーズ船事件が安倍政権の最大の汚点として残るかもしれないという懸念も出ている。2011年東日本大震災がいまだに野党の足を引っ張っているように」(いずれも中央日報)。日本政府(安倍首相)が困っているであろうことが、これほどまでにうれしいようだ。
■切ない対日挑発
東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故の時、中央日報などは「日本沈没」という見出しを1面に掲載した。そして原発をめぐるネガティブキャンペーンと報道は現在も続いている。
しかも、「日本社会全体があたふたとしている」と今回も思い込みたがっているようだ。そんなに日本が困っていることがうれしくて快感なのか。今回の韓国メディアの報道からも“切なさ”のほかに感じられるものはない。
先に紹介した韓国紙の報道は、何と韓国語だけでなく、日本語のサイトにも掲載されているという。韓国語の表現はストレートでどぎつい。その悪罵をわざわざ日本語に直して、自ら日本の読者に伝えている。日本の読者にけんかを売っているも同然だ。同時に韓国特有の「罵声、罵倒の文化」を世界に知らしめている。
その自覚が韓国メディアの側にあるのかどうかは分からない。ただ、こうした東京五輪を標的にしたネガティブ報道は五輪が終わる8月までは続きそうだ。奇妙な話だが、韓国駐在の日本人記者としては、東京五輪よりもこちらの方から目が離せない。
こうしているうちにも、韓国での感染者数は増え続けており、1000人を超えるのは時間の問題となっている。
■五輪頓挫に期待?
ウイルス問題が日韓でも懸念され始めた当初から、韓国では東京五輪中止論が浮上していた。日本国内の状況を伝える韓国メディアは、ほとんどがウイルス問題と五輪を結びつけ報道。特にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に寄港して以降、その傾向は強まった。
ニュース専門の聯合ニュースTVを一例に挙げてみる。感染問題の専門家を招き、クルーズ船での感染や対策について聞く中で、女性アナウンサーが「東京オリンピックへの影響は避けられませんか」と聞くと、韓国人の専門家は否定せずに、言葉を続けていた。
この時、目を引いたのは、アナウンサーが話を深刻な方向に持っていこうとしたことと、その表情からは深刻さが全くうかがえなかったことだ。むしろ、五輪開催が困難になることを期待しているかのような雰囲気だった。気のせいではないだろう。他局でも似たようなニュース番組をいくつも見た。テレビ画面には必ず「東京五輪頓挫」「五輪につまずき」などとのタイトル(文字)がのせられていた。
■日本の不幸は蜜の味
新聞も東京五輪への影響について熱を上げている。いくつかを例示してみる。
「『衛生先進国』日本の面目丸つぶれ」、「日本政府は五輪ノイローゼ(神経症)にかかっているようだ」「数多くの乗客や乗務員が『五輪の人質』になった」「日本社会は自発的規制で3700人が乗った船を『小さな武漢』にした」(いずれも朝鮮日報)
「安倍政府(安倍晋三政権)が事態を隠そうとのきゅうきゅうとしていたのは5カ月後開幕の東京五輪を意識していたという印象が拭えない」(中央日報)
中央日報はまた、クルーズ船に乗船中の日本人が「日本政府が対応方式を変えねば東京五輪は不可能だ。五輪で多くの外国人が来るはずだが、これでは観光大国という目標も達成できない。韓国だけでなく国際社会が日本政府に対し強く問題提起することを願う」と語ったことを伝えた。この言葉は見出しにも使われた。
日本を相手にしたときに必ず韓国メディアに見られる、まるで日本の不幸を喜んでいるかのような報道だ。悪乗りの感があり、しかもいつものように勢いづいている。
■イメージダウンの好材料
韓国での日常生活で、ここまでではないが、「日本は五輪が大変だねえ」と含みを持たせて聞いてくる韓国人もいる。明らかに東京五輪の中止を期待しているようなこうした質問には「万が一、韓国から1人も観客が来なくても、五輪の観客席は日本(人)だけでも満席になるよ」と答えている。相手は沈黙する。
もし、海外からの観客が来なくても日本では自然に観客席が満杯になるだろう。それだけの消費層(観客)が日本にいることを韓国も分かっているのだ。
韓国での25日時点でのウイルス感染者は977人で、感染による死者は10人。教会や病院での感染といった市中感染もあり、クルーズ船での感染を加えた日本の感染者数をついに超えた。クルーズ船での感染を除けば、日本をはるかに上回っている。それでも、今回のクルーズ船での感染騒ぎは韓国のメディアや日本嫌いの者にとって、東京五輪のイメージダウンの好材料になっている。韓国メディアの報道だけをとってもそれは明らかだ。
■「安倍危機」にワクワク
韓国メディアがここまで東京五輪への悪影響を“期待”しているのは、安倍晋三首相の失敗への期待のようで、「東京五輪の失敗=安倍の不幸」とみなしている。韓国で安倍首相は「極右の象徴」とみなされており、メディアや日本への抗議集会での非難は相当にひどい。完全に悪者扱いだ。その安倍首相が危機に陥ることを韓国メディアはワクワクとして期待しているのだろう。
「クルーズ船への対処に日本政府が右往左往している」(ハンギョレ紙)。「安倍政権は失策を認めないでいる」「クルーズ船事件が安倍政権の最大の汚点として残るかもしれないという懸念も出ている。2011年東日本大震災がいまだに野党の足を引っ張っているように」(いずれも中央日報)。日本政府(安倍首相)が困っているであろうことが、これほどまでにうれしいようだ。
■切ない対日挑発
東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故の時、中央日報などは「日本沈没」という見出しを1面に掲載した。そして原発をめぐるネガティブキャンペーンと報道は現在も続いている。
しかも、「日本社会全体があたふたとしている」と今回も思い込みたがっているようだ。そんなに日本が困っていることがうれしくて快感なのか。今回の韓国メディアの報道からも“切なさ”のほかに感じられるものはない。
先に紹介した韓国紙の報道は、何と韓国語だけでなく、日本語のサイトにも掲載されているという。韓国語の表現はストレートでどぎつい。その悪罵をわざわざ日本語に直して、自ら日本の読者に伝えている。日本の読者にけんかを売っているも同然だ。同時に韓国特有の「罵声、罵倒の文化」を世界に知らしめている。
その自覚が韓国メディアの側にあるのかどうかは分からない。ただ、こうした東京五輪を標的にしたネガティブ報道は五輪が終わる8月までは続きそうだ。奇妙な話だが、韓国駐在の日本人記者としては、東京五輪よりもこちらの方から目が離せない。
こうしているうちにも、韓国での感染者数は増え続けており、1000人を超えるのは時間の問題となっている。
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