車サイトなのか政治サイトなのか? NO JAPAN(日本製品不買)を牽引
韓国最大の自動車コミュニティにボベドリーム(www.bobaedream.co.kr)がある。ここでは自動車のみならず、さまざまな話題が毎日やりとりされている。元々、中古車取引サイトとしてスタートした同サイトは、セウォル号事件以降、左派的で政府寄りのコンテンツであふれ始めた。果たして、ここが自動車コミュニティなのか政治サイトなのか区別がつかなくなるほどに……。
文在寅が大統領に当選した後、動画で感謝文をアップするほど、このサイトは現政権と非常に密接な関係にあり、政権寄りの人たちが集まっている。
実際ここには、文在寅が政権を握るために政治的に利用したとされるセウォル号事件、あるいは大統領就任後のNO JAPAN(日本製品不買)、そして日韓の間で長年の懸案である慰安婦に関する資料や活動データも非常に多くアップされており、政権の旗振り役を忠実に努めているといっても過言ではない。
最近のNO JAPAN運動を例に取ると、もはや常識のレベルを逸している。どの自動車コミュニティよりも日本車に対して反感を持っているのだ。
設立初期の2000年代初め、日本から輸入された中古車のほとんどが「ボベドリーム」で取引されていたことを顧みると、現在のこのような状況は極めて皮肉と言えるだろう。
少し前に伝えられた日産の韓国からの撤退も、NO JAPANの成果だと自負するユーザーがこのサイトには多い。彼らは先を競って、日本車とその所有者に対する“テロ活動”を行った。あるユーザーは一般道で日本車に3時間も付きまとい、この車が些細な違反でもしようものなら即刻通報し、そのことを非常に誇らしげに掲示板にアップし賛同を得たのだ。
日本車整備拒否の工場、同じく利用拒否のガソリンスタンド
韓国では新規購入者はナンバープレートで区分できることも手伝って、最もターゲットとなりやすいのは最近発売された日本車だ。今年、ナンバープレートの体系が変わって、「前の桁」が従来の2桁から3桁に増えた。3桁の日本車であれば新規購入にほぼ違いなく、それこそボベドリームのユーザーたちの格好の餌食となる。
実際に私の友人(日本人)が新車で購入したレクサスのSUVはこの7月、友人が住む家の地下駐車場で「10円パンチ」の被害に遭っている。
海釣りを趣味とする彼は、携帯につながるセキュリティー(360°ドライブレコーダー)を取り付け警戒しているという(都心部より田舎の方が被害に遭いやすいのだ)。
自動車整備工場を運営するあるユーザーは、日本車整備拒否を掲示板に発表した。掲示板には様々な意見が寄せられ、最も目を引く書き込みは「大都市はともかく、地方や小都市では、日本車の整備拒否は思ったより大きな効果がある」というものだ。
似たような例では、ガソリンスタンドを運営するユーザーが「日本車の当店利用を拒否する」と書き込んだことも。
もう一つの事例は日本車の通行を妨げる行為だ。実際、日本車のオーナーの中には「『NO JAPAN』以降、都心で運転するのが大変難しくなった」と心境を吐露する者も。一方通行で違反をしてまで、日本車の進入を阻止したという自慢も散見される。
この件に関しては韓国でも新聞各紙が取り上げ、「こういった行為も果たして不買運動なのか? どこに正義があるのか?」「履き違えた不買運動」などと社会の木鐸らしく諫めたものの、一方でボベドリーム内では、取り上げられたことをあたかも誇るように違った盛り上がり方をしたのだった。
個人情報晒しが横行する
これら色々な事件·事故の他に、ボベドリームの問題点として指摘されるのが、個人情報晒しだ。これは韓国の他の大型コミュニティでもたびたび起こっていることだし、日本でもままあることかもしれないが、被害者が訴えた事件や事故に対して同情世論が形成されれば、加害者の個人情報を晒して報復が始まる。
彼らは社会の懲罰者を自任しているが、一方の主張のみから判断するケースが大半であり、この過程で発生する個人情報流出、それによる被害、社会的不利益に対しては誰も責任を負わない。
彼らの歪んだ非常識さから個人情報は掲示板にアップされ、互いに自慢しあうことから生じる被害。それはそっくりそのまま、同じ韓国人が受けることになる。
日本車の購入者は主として韓国人で、販売しているのもまたほとんど韓国人だからだ。にもかかわらず、今日も彼らはインターネットサイトに集まり、自分たちだけの歪んだ愛国心を誇っている。
かといって、非常識な者たちだけが集っているわけではない。韓国最大の自動車コミュニティらしく、ユーザーの中には一般消費者を含め、自動車メーカーの研究員やディーラーなど、自動車関係の従事者らもかなりいる。
非常識な人々が互いの突出行動を自慢する間にも、専門家たちは独自のやり方で互いに意思疎通を図り、真剣に韓国の自動車業界について論じている。
黄旭翼(ファン·ウギク)
自動車コラムニスト
週刊新潮WEB取材班編集
2020年8月29日 掲載
韓国最大の自動車コミュニティにボベドリーム(www.bobaedream.co.kr)がある。ここでは自動車のみならず、さまざまな話題が毎日やりとりされている。元々、中古車取引サイトとしてスタートした同サイトは、セウォル号事件以降、左派的で政府寄りのコンテンツであふれ始めた。果たして、ここが自動車コミュニティなのか政治サイトなのか区別がつかなくなるほどに……。
文在寅が大統領に当選した後、動画で感謝文をアップするほど、このサイトは現政権と非常に密接な関係にあり、政権寄りの人たちが集まっている。
実際ここには、文在寅が政権を握るために政治的に利用したとされるセウォル号事件、あるいは大統領就任後のNO JAPAN(日本製品不買)、そして日韓の間で長年の懸案である慰安婦に関する資料や活動データも非常に多くアップされており、政権の旗振り役を忠実に努めているといっても過言ではない。
最近のNO JAPAN運動を例に取ると、もはや常識のレベルを逸している。どの自動車コミュニティよりも日本車に対して反感を持っているのだ。
設立初期の2000年代初め、日本から輸入された中古車のほとんどが「ボベドリーム」で取引されていたことを顧みると、現在のこのような状況は極めて皮肉と言えるだろう。
少し前に伝えられた日産の韓国からの撤退も、NO JAPANの成果だと自負するユーザーがこのサイトには多い。彼らは先を競って、日本車とその所有者に対する“テロ活動”を行った。あるユーザーは一般道で日本車に3時間も付きまとい、この車が些細な違反でもしようものなら即刻通報し、そのことを非常に誇らしげに掲示板にアップし賛同を得たのだ。
日本車整備拒否の工場、同じく利用拒否のガソリンスタンド
韓国では新規購入者はナンバープレートで区分できることも手伝って、最もターゲットとなりやすいのは最近発売された日本車だ。今年、ナンバープレートの体系が変わって、「前の桁」が従来の2桁から3桁に増えた。3桁の日本車であれば新規購入にほぼ違いなく、それこそボベドリームのユーザーたちの格好の餌食となる。
実際に私の友人(日本人)が新車で購入したレクサスのSUVはこの7月、友人が住む家の地下駐車場で「10円パンチ」の被害に遭っている。
海釣りを趣味とする彼は、携帯につながるセキュリティー(360°ドライブレコーダー)を取り付け警戒しているという(都心部より田舎の方が被害に遭いやすいのだ)。
自動車整備工場を運営するあるユーザーは、日本車整備拒否を掲示板に発表した。掲示板には様々な意見が寄せられ、最も目を引く書き込みは「大都市はともかく、地方や小都市では、日本車の整備拒否は思ったより大きな効果がある」というものだ。
似たような例では、ガソリンスタンドを運営するユーザーが「日本車の当店利用を拒否する」と書き込んだことも。
もう一つの事例は日本車の通行を妨げる行為だ。実際、日本車のオーナーの中には「『NO JAPAN』以降、都心で運転するのが大変難しくなった」と心境を吐露する者も。一方通行で違反をしてまで、日本車の進入を阻止したという自慢も散見される。
この件に関しては韓国でも新聞各紙が取り上げ、「こういった行為も果たして不買運動なのか? どこに正義があるのか?」「履き違えた不買運動」などと社会の木鐸らしく諫めたものの、一方でボベドリーム内では、取り上げられたことをあたかも誇るように違った盛り上がり方をしたのだった。
個人情報晒しが横行する
これら色々な事件·事故の他に、ボベドリームの問題点として指摘されるのが、個人情報晒しだ。これは韓国の他の大型コミュニティでもたびたび起こっていることだし、日本でもままあることかもしれないが、被害者が訴えた事件や事故に対して同情世論が形成されれば、加害者の個人情報を晒して報復が始まる。
彼らは社会の懲罰者を自任しているが、一方の主張のみから判断するケースが大半であり、この過程で発生する個人情報流出、それによる被害、社会的不利益に対しては誰も責任を負わない。
彼らの歪んだ非常識さから個人情報は掲示板にアップされ、互いに自慢しあうことから生じる被害。それはそっくりそのまま、同じ韓国人が受けることになる。
日本車の購入者は主として韓国人で、販売しているのもまたほとんど韓国人だからだ。にもかかわらず、今日も彼らはインターネットサイトに集まり、自分たちだけの歪んだ愛国心を誇っている。
かといって、非常識な者たちだけが集っているわけではない。韓国最大の自動車コミュニティらしく、ユーザーの中には一般消費者を含め、自動車メーカーの研究員やディーラーなど、自動車関係の従事者らもかなりいる。
非常識な人々が互いの突出行動を自慢する間にも、専門家たちは独自のやり方で互いに意思疎通を図り、真剣に韓国の自動車業界について論じている。
黄旭翼(ファン·ウギク)
自動車コラムニスト
週刊新潮WEB取材班編集
2020年8月29日 掲載
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