韓国政府は自国をコロナ防疫の模範国と自負しているが、コロナウイルスの震源地である中国と国境線で接している国や、隣接国家の台湾などと比べると、恥ずかしい限りだ。特に、台湾と比べるとそう思わされる。台湾は現在(4月3日)の感染者数が339人だ。死者数は5人にすぎない。一方の韓国は感染者数が1万62人と、台湾の30倍に上っている。死者数は177人で、台湾の実に35倍に当たる。
中国と台湾を結ぶ航空路線は1カ月に約5700便に上っていた。台湾と中国の距離は130キロにすぎない。台湾の人口(2300万人)のうち85万人が中国本土に住んでいる。台湾は中国のけん制により世界保健機関(WHO)の加盟国としての地位も得ることができなかった。世界の防疫学の本家である米ジョンズ・ホプキンズ大学は、中国の武漢でコロナへの感染が爆発的に増加すると、最も危険な国・地域として台湾を挙げた。あれから約2カ月がたったが、台湾は感染者数、死者数、マスクの受給など、ほぼ全ての面で韓国よりも良い状況だ。
■防疫学の博士号を所持する副総統の指揮
コロナウイルスへの感染者が発生した後、台湾の蔡英文総統の横でメディア・ブリーフィングを行った陳建仁副総統は、ジョンズ・ホプキンズ大学の公衆保健学部で防疫学の博士号を取得した人物だ。同氏はSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生した2002年当時、衛生福利部部長(保健福祉省長官)を受け持っており、以降は防疫対策をまとめることになる。現在、衛生福利部長を務めている陳時中氏は、健康保険委員会と台北市医師会の顧問として活動した歯科医だ。両専門家が防疫対策をリードした。
一方、韓国のパク・ヌンフ保健福祉部長官は社会福祉学教授を務めた人物だ。防疫専門家がいるべきポストに国民年金の専門家が座っているのだ。パク長官は何度か非難された。チョン・ウンギョン疾病管理本部長は、感染病の管理が最高段階の「深刻」へと上昇しても、閣議に正式な資格で出席できない。次官クラスであるためだ。案件報告をするのみなのだ。
台湾は37人が犠牲になったSARSでの経験を生かし、感染病の段階別に124の行動指針を構築。毎年補完してきた。コロナウイルスの発生以前には、国民健康保険と患者の海外旅行の履歴情報を統合していた。医療機関は感染が疑われる患者が来院した際に、リアルタイムに感染危険地域への旅行の有無を照会できるようにした。これを通じて早期発見、早期隔離が可能となった。一方の韓国は、一人目のコロナウイルス感染者が発生してから20日が過ぎて、ようやくコロナへの感染が拡大した8カ国への海外旅行の履歴を医療機関が照会することができるようになった。
■台湾は文字通り「先手先手」で対応
台湾は今年2月6日、中国からの入国を全面的に禁止する措置を取った。中国への輸出が全輸出の30%を占める台湾としては、経済的な犠牲を甘受した思い切った措置だった。それ以前にも震源地の湖北省からの入国者を2週間にわたって自宅隔離していた。一方、韓国政府は2月4日、中国湖北省からの入国者だけを禁止した。当時、中国国内の新規感染者数が湖北省以外の地域で30%以上にも上っていた時期だった。感染者数が1000人以上だった広東省、済南市など五つの地域は阻止さえしなかった。入国禁止の範囲を拡大するよう求める大韓医師協会と大韓感染学会の要請は無視された。
入国禁止では感染病の発生そのものを防ぐことはできないが、拡大するのを抑え、大規模な感染に備える時間を稼ぐことはできる。WHOが感染病の発生した際に国境の封鎖を勧めない理由は、防疫や医療インフラが脆弱(ぜいじゃく)なアフリカや低開発国が国境の封鎖で被害を受けないようにするための措置だが、韓国政府はこれを誤って受け入れたと医師協会は指摘する。
武漢でコロナウイルスが広がり始めたとき、台湾は武漢にウイルスの専門家を派遣して調査を行った。SARSのとき、中国政府の情報だけを信じて失敗してしまった前轍(ぜんてつ)を踏まないためだった。韓国政府は、中国が公開した資料と外信に依存した。
台湾は、中国による武漢の封鎖とともに1月24日、医療用マスク(N95)の輸出を禁止した。現在、台湾は1000万枚のN95マスクを米国や欧州に輸送する余裕が生じた。韓国政府は1カ月が過ぎた2月26日になってマスクの輸出を制限した。すでに大邱市や慶尚北道では多くの感染者が発生していた。チョン・ビョンリュル元疾病管理本部長は「国家防疫を専門家が主導するか否かの差が台湾と韓国の差」とした上で「コロナウイルスが沈静化したら、徹底した評価と分析に基づいた専門家主導の防疫システムを構築しなければならない」と述べた。
キム・チョルチュン医学専門記者
中国と台湾を結ぶ航空路線は1カ月に約5700便に上っていた。台湾と中国の距離は130キロにすぎない。台湾の人口(2300万人)のうち85万人が中国本土に住んでいる。台湾は中国のけん制により世界保健機関(WHO)の加盟国としての地位も得ることができなかった。世界の防疫学の本家である米ジョンズ・ホプキンズ大学は、中国の武漢でコロナへの感染が爆発的に増加すると、最も危険な国・地域として台湾を挙げた。あれから約2カ月がたったが、台湾は感染者数、死者数、マスクの受給など、ほぼ全ての面で韓国よりも良い状況だ。
■防疫学の博士号を所持する副総統の指揮
コロナウイルスへの感染者が発生した後、台湾の蔡英文総統の横でメディア・ブリーフィングを行った陳建仁副総統は、ジョンズ・ホプキンズ大学の公衆保健学部で防疫学の博士号を取得した人物だ。同氏はSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生した2002年当時、衛生福利部部長(保健福祉省長官)を受け持っており、以降は防疫対策をまとめることになる。現在、衛生福利部長を務めている陳時中氏は、健康保険委員会と台北市医師会の顧問として活動した歯科医だ。両専門家が防疫対策をリードした。
一方、韓国のパク・ヌンフ保健福祉部長官は社会福祉学教授を務めた人物だ。防疫専門家がいるべきポストに国民年金の専門家が座っているのだ。パク長官は何度か非難された。チョン・ウンギョン疾病管理本部長は、感染病の管理が最高段階の「深刻」へと上昇しても、閣議に正式な資格で出席できない。次官クラスであるためだ。案件報告をするのみなのだ。
台湾は37人が犠牲になったSARSでの経験を生かし、感染病の段階別に124の行動指針を構築。毎年補完してきた。コロナウイルスの発生以前には、国民健康保険と患者の海外旅行の履歴情報を統合していた。医療機関は感染が疑われる患者が来院した際に、リアルタイムに感染危険地域への旅行の有無を照会できるようにした。これを通じて早期発見、早期隔離が可能となった。一方の韓国は、一人目のコロナウイルス感染者が発生してから20日が過ぎて、ようやくコロナへの感染が拡大した8カ国への海外旅行の履歴を医療機関が照会することができるようになった。
■台湾は文字通り「先手先手」で対応
台湾は今年2月6日、中国からの入国を全面的に禁止する措置を取った。中国への輸出が全輸出の30%を占める台湾としては、経済的な犠牲を甘受した思い切った措置だった。それ以前にも震源地の湖北省からの入国者を2週間にわたって自宅隔離していた。一方、韓国政府は2月4日、中国湖北省からの入国者だけを禁止した。当時、中国国内の新規感染者数が湖北省以外の地域で30%以上にも上っていた時期だった。感染者数が1000人以上だった広東省、済南市など五つの地域は阻止さえしなかった。入国禁止の範囲を拡大するよう求める大韓医師協会と大韓感染学会の要請は無視された。
入国禁止では感染病の発生そのものを防ぐことはできないが、拡大するのを抑え、大規模な感染に備える時間を稼ぐことはできる。WHOが感染病の発生した際に国境の封鎖を勧めない理由は、防疫や医療インフラが脆弱(ぜいじゃく)なアフリカや低開発国が国境の封鎖で被害を受けないようにするための措置だが、韓国政府はこれを誤って受け入れたと医師協会は指摘する。
武漢でコロナウイルスが広がり始めたとき、台湾は武漢にウイルスの専門家を派遣して調査を行った。SARSのとき、中国政府の情報だけを信じて失敗してしまった前轍(ぜんてつ)を踏まないためだった。韓国政府は、中国が公開した資料と外信に依存した。
台湾は、中国による武漢の封鎖とともに1月24日、医療用マスク(N95)の輸出を禁止した。現在、台湾は1000万枚のN95マスクを米国や欧州に輸送する余裕が生じた。韓国政府は1カ月が過ぎた2月26日になってマスクの輸出を制限した。すでに大邱市や慶尚北道では多くの感染者が発生していた。チョン・ビョンリュル元疾病管理本部長は「国家防疫を専門家が主導するか否かの差が台湾と韓国の差」とした上で「コロナウイルスが沈静化したら、徹底した評価と分析に基づいた専門家主導の防疫システムを構築しなければならない」と述べた。
キム・チョルチュン医学専門記者
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