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【#BuzzFeed Japan】「武漢で死体を焼やすと発生するガスが大量検出」は誤り。新型コロナめぐり世界で拡散

2020-02-20 04:14:56 | 海外の反応
感染が拡大する新型コロナウイルスをめぐり「死体を燃やした時に発生する二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の濃度が武漢周辺で大量に検出された」などという情報が世界中に広がった。「およそ1万4000体分か」などとして、新型コロナウイルスによる死者を火葬している証拠であるとする声が相次いだが、これは「誤り」だ。海外でも「陰謀論」と指摘されている。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

濃度のソースとされているのは「Windy.com」というサイトのデータだが、これはリアルタイムの情報ではなく、あくまで「予測」だ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

世界中で広がっているのは、「武漢で二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の濃度が大量に検出された」「遺体の焼却だったら1万4000人分になる」などといった内容だ。

もともとは2月9日に英語でツイートされた、気象情報サイト「Windy.com」のデータを引用した情報が発端とみられる。

このツイートは1万リツイート以上されて世界中に広がり、海外のニュースサイトでも相次いで報じられた。

日本でも、この情報は拡散。なかでも「死体等を燃やした時に発生する二酸化硫黄(亜硫酸ガス)濃度が武漢周辺が異常上昇しています」というツイートは2月15日時点で、6000リツイート以上されている。

さらに「ツイッター速報」などのまとめサイトや「東スポ」も、この情報を伝えている。

遺体を燃やしても「表示されない」
しかし、これは先述の通り「誤り」だ。仮に遺体が燃やされていたとしても、「Windy.com」では、二酸化硫黄のリアルタイムの濃度を確認することはできないからだ。

Windyのコミュニティでも、この件について問われた管理者がこうコメントしている。

「WindyはSO2値(二酸化硫黄値)の予測のみを視覚化するため、コロナウイルスによる遺体の燃焼などの活動は表示されません。人間の予期しない活動や火山噴火のような自然現象は予測できないためです」

そもそも「Windy.com」で使われているデータはNASAの「GEOS-5」(ゴダード地球観測システムモデル、バージョン5)による気象シミュレーションによるもの。

これはリアルタイムの実測値ではなく、あくまで予測モデルだ。GEOSのサイトも以下のように注意を呼びかけている。

「GEOSシステムを使用した予測は実験的なものであり、研究目的でのみ作成されています。研究以外の目的でこれらの予測を使用することはお勧めしません」

なおこの件に関しては、中国政府・生態環境部が公式声明で、「Windy.com」のデータは「信憑性にかける」ものであり、実際の観測と「200倍以上の差がある」などと反論している。

二酸化硫黄の排出源は?
二酸化硫黄を多く排出するのは、発電所や工業設備だ。武漢にも、世界2位の製鉄企業である「宝武鋼鉄集団」の製鉄所や、大型の火力発電所がある。

観測された気象データを元にした月ごとの二酸化硫黄濃度をみられるNASAのサイトでは、2019年12月時点(画像上)で、武漢の濃度が中国のほかの大都市と同様のレベルであることがわかる。

また、新型コロナウイルスの感染が広がった1月以降については別のNASAのサイトから、NASAや欧州の衛星が観測した日々のデータを見ることができる(画像下)。

しかし、現状では細かい情報まで確認することはできない。武漢付近で、「大量検出」や「異常上昇」とする根拠を見出すことは難しいだろう。

極端な増加は、どちらかといえば日本の沖縄付近で1月13日に起きていることもわかる。この前日の1月12日にはフィリピン・マニラで火山が噴火している。

BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。


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