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【#現代ビジネス】新型コロナで「情報汚染」されたメディアが報じない「5つの真実」

2020-03-01 03:30:03 | 海外の反応
 毎日のように、新しい感染者が発表される新型コロナウイルス肺炎。国内流行に伴い、SNSに「お湯で予防できる」などのデマが飛び交っていることが報じられているが、注意すべきはSNSだけではない。メディア、特に民放テレビのワイドショーでも、コメンテーターや医師などが不正確な医療情報を根拠に恐怖を煽る場面が見られる。
 必要以上に不安を煽られることなく、冷静に対処するために、報じられている内容が真実かを検証したい。

1.「医療崩壊」は起きていない
 先日放送されたある朝のワイドショーで、病院が対応できるPCR検査(新型コロナウイルス肺炎の確定診断に必要な検査)の件数が増えないことを憂う男性医師が「早期発見、早期治療が必要。軽症でも全例にPCR検査を」と力説し、同番組では「軽症の人は家にいるしかなく、病院から見捨てられている。これは医療崩壊だ」という論調が一貫して支配的だった。

 しかし、現時点で医療崩壊は起こっていない。ただ、一人ひとりが冷静になり、事実に基づいて行動しないと、病院のキャパシティが崩壊し、武漢のような「医療崩壊」が起こる可能性もゼロではない。

 重症の患者が適切な環境で肺炎の治療が行われるうえで、軽症患者への検査で限られた病院のリソースが割かれるのは問題だ。また、新型コロナウイルス感染は、発症すると一週間ほど発熱や咳などの風邪症状が続くが、8割の人は重症化することなく治癒するといわれている。8割の人には治療が必要ない疾患なのだ。

 だから、「軽症の患者は自宅にいるしかない。それは医療崩壊ではないか」という主張は事実ではない。たとえ病院に行ったとしても治療法は何もなく、家で十分な栄養と休養をとるのが重症化を防ぐうえで重要になる。

 ただ、保健所では、医師が検査が必要と判断しても検査が受けられない事態が実際に発生しており、日本医師会は現在調査に乗り出し、改善を勧告している。しかし繰り返すが、重症化する一部の人を除いて、特別な治療は必要なく、仕事を休んで休養し、周囲に感染させないよう努めることが大事だ。そしてこの対応は、新型コロナウイルス肺炎に限らず、インフルエンザや普通の風邪でも同じだ。

2. 「全員にPCR検査すべき」は適切ではない
 政府は現在、PCR検査は重症例に絞る方針であり、重症例に医療資源を集中し、軽症例は自宅待機を推奨している。そのため、中には病院や保健所から検査を断られる人もいる。

 この「検査を断られる」という現実に対し、多くのワイドショーのコメンテーターや「専門家」たちは憤る。大学教授で、感染症が専門だというある女性コメンテーターは、PCR検査がなされていないことに対し、「疫学調査がきちんと行われていない」「見えないことはなかったことにするという感じ」と発言していた。同番組では検査が増えないことについて「政府による隠蔽」であると示唆する向きもあった。

 しかし現在、国内では散発的な流行が起こっており、新しい発症はほとんど経路のわからない感染だ。感染者は、国内に大量にいるわけではないものの、ある程度広がっていると推測される。そのような状況で、無症状例や軽症例にPCR検査を行って感染を確定し、隔離をしても意味がない。もはや感染者を「隔離」する段階ではなくなっている。

 新型コロナウイルス肺炎は、今のところ抗ウイルス薬など特定の治療薬はなく、対症療法を行うだけであり、無症状や軽症例に特別な治療は必要がない。「検査を行っても治療法や対処法が変わらない場合、その検査は行う意味がない」と考えるのが医学の原則なのだ。

 また、もともと新型コロナウイルス感染に対するPCR検査は感度(感染している人の中で陽性の結果が出る確率)が高くはなく、30~70%程度といわれている。検査をしてもある程度の「見逃し」が起こるため、陰性と診断されても実は感染していることがある。

 もちろん、呼吸困難があるなど、肺炎が明らかに疑われる場合は、適切な環境下で治療を受けるためにも検査が必要だ。重症例は、酸素やステロイドの投与、場合によっては人工呼吸器の装着などの治療を要する。

 こうした重症例に適切に対応するためにも、上述したようにPCR検査を広く実施することに政府が躊躇するのは理解できる。ワイドショーではPCR検査の保険適用の必要性が声高に叫ばれており、近く保険適用になる見込みだが、軽症患者が急に増えれば、現在の仕組みでは陽性がわかると入院しなければならないため、医療現場の混乱が予想される。それこそ、「医療崩壊」が起こりかねない。

3. 患者の「ドクターショッピング」が問題
 患者の立場からすると、「ひとつの病院で診断がつかなければ、他の病院に行った方がきちんと診断をつけて貰えるのではないか」と思うのではないだろうか。しかし、それは正しくない。新型コロナウイルス感染は、初発症状は普通の風邪と見分けがつきづらく、4日間以上、37.5度の発熱が続くのが受診基準のひとつになっているように、経過を見ないと区別がつきづらく、症状が出て1週間以上してから悪化することもある。

 一つの医療機関に複数回かかれば、医師も経過から総合的に判断することが可能だが、複数の医療機関を一回ずつ受診してしまうと、一回かぎりの受診では医師も判断が難しいことが多い。現に、ワイドショーに出てくる「検査を断られた」という例は、多くの人が二度、三度と病院を変わり、ドクターショッピングしている。西日本新聞では、熊本で最初にコロナウイルス感染と診断された女性が「検査を断られ病院をたらい回しにされた」という報道がなされたが、その患者自らが病院を3ヶ所受診しているのだ。こうした報道がなされるなかで、診察した医師側の証言がまったく紹介されないことも疑問だ。

 複数の病院を受診すると、かえって適切な診断がなされないことがあることを覚えておいたほうがいいだろう。一度受診して「検査できない」と言われても、高熱が続き、後で必要と判断されることもある。

4. 「不安だから病院に行く」が感染リスクを高める
 「病院へ行かないで、できるだけ家で休みましょう」と言われると、不安になることは理解できる。しかし、繰り返すが、新型コロナウイルス感染は大半の人にとって、特に40代までの人にとっては重症化するケースは非常に少なく、「ただの風邪」と同じと考えて差し支えない。心臓病や高血圧など、基礎疾患のある人が発熱していたら適切な対応をとる必要性があるが、そうでない場合、むやみに病院へ行くことはかえって感染リスクを高める。

 実際に、指定病院のベッドだけでは足りず、指定病院以外の病院にも新型コロナウイルス肺炎の患者が入院している。中国からの論文では、発症した全患者の中で院内感染が4割を超えるという報告もあり、中国では医療従事者への感染が問題になっている。家や職場で日常生活を送るよりも、病院でははるかに高いリスクにさらされることになる。

 「不安」のために病院にかかって感染しては、本末転倒だ。発熱していても、症状が軽く、息苦しいわけでもないのなら、仕事を休んで家で寝ているのがいちばんリスクの少ない選択だろう。

 厚労省が定めた受診基準を満たしていても、直接病院に行くのではなく、まずは帰国者・接触者相談センターに電話相談することを忘れないでほしい。

5. 陰性でも仕事に行ってはいけない場合がある
 厚生労働省の受診基準を満たして検査を受け、陰性だった場合はすぐにでも仕事に行きたい、と思う人もいるだろう。日本の職場では休みが取りやすい環境のところもまだ少なく、リモートワークに対応できるのはごく一部だ。

 しかし、検査が陰性でも、実は感染していることがあるから注意が必要だ。PCR検査は痰が出る場合は痰をとるが、そうでない場合は鼻や喉を綿棒でこすって検体をとって検査に出す。ウイルスは主に肺にいることが多く、鼻や喉などの上気道にいない場合は検査で陰性が出てしまう。また、症状がまだあまり出ていない感染の初期には、体内のウイルス量が少なく陰性が出ることもある。

 このような事情があるので、検査が陰性でも、感染していないとすぐ判断することは難しい。熱があれば仕事は休んで、できるだけ家にいるべきだ。

 国内でも流行がはじまった今だからこそ、改めて、不安を煽られずに冷静に対処することが必要だ。症状がない人でも、手洗いやマスクの装着(現段階では、感染予防というよりは「周囲に感染させないため」のマスクと考えた方がいい)、十分な睡眠と栄養に心がけたい。

松村 むつみ(放射線科医、医療ライター)


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