明治から昭和にかけて日本では国策として富岡製糸場を
造っていたので 蚕が作る繭が大量に必要だった。
朝日国三郎は東奔西走して繭の買い占めをしていた。
(桑の実 蚕は葉を食べます)
朝日国三郎は言った
「この北軽井沢周辺には蚕が食べる良い桑の葉がいっぱいあるからな」
「ほんに」国三郎の妾サチがうなずいた。
「仕事にいくにはこの家が一番便利だ」
(初夏になると桑の実がいっぱいなります)
ミナの住む本宅は林業と農業をするために奥まった山中にあった。
ミナの国三郎への愛は苦しみのあまりにだんだんと透明になっていった。
つずく