峰の茶屋を通り抜けて北軽井沢の南木山(なぎさん)別荘地へと車を進めた。
南木山別荘地の入り口近くにはきれいな川が流れている。
この川は熊川の上流でもう少し上に行くと浅間大滝という大きな滝になっている。
「あら!」川の近くで良子が車を止めた。
川の流れと、水のざわめきの中にその人は立っていた。
細くすらりとした長身に水色の服を着ている
面長で透き通ったような顔、
黒くふさふさとした髪が彫の深い顔の美しさを際立たせている。
繊細で細長い手にセリを何本か掴んでいる
切れ長で黒く涼しい目が良子の方を見た。
つづく