伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

怪獣

2021年07月30日 | 
 この姿を見て頭に思い浮かんだのが、昔見たウルトラマンに登場した怪獣の姿だ。
 なんといったか・・ビーンズのようにひょろ長い頭に、どんぐり眼の怪獣。宇宙人という設定だったと思うが。ネットで調べて見て思いだしたメトロン星人。ウルトラマンはウルトラマンでも、ウルトラセブンに登場した怪獣・・いやいや宇宙人のようだ。



 ネットを参考にスケッチブックで描いてみた。あれあれ、こんなに模様があったっけか、という感じだ。印象に残っているのは、ドングリ眼とらっきょうを伸ばしたようなやけに長い楕円の頭だけだった。このため、私の印象の世界ではうり二つの生物に見えたわけだ。

 怪獣は人類の生存を脅かす。退いてもらうためには、やはりウルトラマンを呼ぶしかない。「ピロロロロー、ピロロロロー」。急いで呼び笛を鳴らさなければ・・あれ、笛を鳴らすのはマモル少年だ。昔、音楽番組で歌を聴いたフォーリーブスの江木俊夫さんが、子どもの頃に演じており、ピンチにおちいると笛を吹いて、マグマ大使を呼ぶ。とすると、ウルトラマンは笛で呼びだすことは出来ない。

 どうすれば来てくれるのだ。
 今のウルトラマンは分からないが、昔のウルトラ兄弟達は、怪獣対策専門チームの1員になっていて、怪獣が出現すれば情報が入り、専門兵器を携えて現場に駆けつけていた。だから呼ぶまでもなかく、現場で活躍できた。現実の社会にこういうチームはない。とすると呼ぶことができないので、人類に大きな被害と犠牲をもたらすかも・・。

 でも、心配する必要はない。この怪獣はせいぜい5~6mm程度。もし襲ってくるようなら、指先でピンとはじけば退治できそうだ。もっとも、この怪獣は、カメラを近づけると、ジリジリと茎や葉の裏側に移動したり、少ししつこくすると、ピョンと跳ねて姿を消してしまう。この臆病さを考えると、そもそも襲ってくる心配をする必要はなさそうなのだ。

 さて、この怪獣の正体は、スケバハゴロモの幼虫。数年前に、ベッコウハゴロモという同種の虫の幼虫を見ていたことから、その類いということは分かった。しかし、色の違うこの虫が、別種のハゴロモだとは思わなかった。形はほぼ同じだったので、色素が抜けて白色化するアルビノと考えたからだ。ところが別の種類と知り、ハゴロモ類はみんなこんな形をしていると分かり、いささか驚いている。



 この腰に毛が生えた幼虫で、最初に見たのはベッコウハゴロモだった。

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 このハゴロモ類の幼虫の見つけるコツを、最近分かった。木の枝や葉っぱに白い物質がモジョモジョと付着している場所があれば、そこにいる可能性が高い。そういう場所があったら、ちょっと注意してみてみる。すると、ぴんぴんと跳ねて、タンポポの綿毛のような白い毛が葉の裏に見えたりするのだ。

 こうして幼虫は比較的たやすく見つけられるようになったが、成虫は、あまりみない。しかし、やっと見つけた。



 褐色がベッコウハゴロモで、エメラルドグリーンがアオバハゴロモの成虫だ。成虫になっても幼虫と性質は変わらない。カメラが近づくとジリジリと移動を始める。このベッコウハゴロモも枝を渡りはじめ、アオバハゴロモとごっちんこ。頭を付き合わせてしまった。



 アオバハゴロモの成虫はよく見かける。先に書いた白いモジョモジョのあるところによくいるのだ。





 この白いモジョモジョが、実はアオバハゴロモの幼虫だと知り、これにも驚いた。モジョモジョは、細かいクモの巣状の何かがびっしり貼り付いている感じなのだが、これはハゴロモ類の繭で、ここから成虫が生まれてくるものと思っていたのだ。

 白いモジョモジョの正体は、幼虫が分泌するロウ状の物質だという。幼虫もエメラルドグリーンの色をしているのだが、ロウをまとうことで、白い色を得ている。ベッコウハゴロモなどのおしりに生える毛も、同じくロウ状の物質という。







 緑の上に白い色は目立つが、見ようによっては鳥の糞が付着しているようにもみえる。おまけに、何かの形があるようには見えない。カビや菌類あるいは、植物でたまに見る綿状の物質などにしか見えないのではないだろうか。色は目立つが、捕食するような生き物は、また別の色で見ているのかもしれない。もしかして、この色も、実は目立たない色なのかもしれない。

 でも、よく見ると、この幼虫たちの中には、ウルトラマン・・帰ってきたウルトラマンに登場したツインテールという怪獣に似た形のものがいる。ハゴロモ類の幼虫は、やっぱり怪獣だ。

 それはともかく、ベッコウハゴロモの幼虫の腰の毛も、開いた状態になれば、体全体を覆い隠し、タンポポの綿毛のようだ。隠れ蓑を背負った形になっているのだろう。しかし、不思議な生態だな・・。

 さて、このアオバハゴロモの幼虫を見ていると、おしりに毛をはやしたような幼虫がいた。ベッコウハゴロモだろうと思った。写真を見てみるとどこか違う。



 ベッコウに似ているが、アミガサハゴロモの幼虫だろう。模様が少し違う。
 別の場所にもいた。コケの上にじっとしていたのだ。





 他の時と同じく、カメラが近づくと、ジリジリと動き出す。写真のように、後ろに毛をまとめるような状態は、ピョンと跳ねて逃げる準備なのだという。空気抵抗を減らすことにより、より遠くに跳ねていくことができるのだろう。

 さて、これらの怪獣は恐れるに足るものではないことは分かった。そして成虫になると、羽根をもち、移動もする。怪獣でいえば、いわば「モスラ」だ。しかし、人類が侵略される恐れはない。でも、まてまて。この虫は、植物について汁を吸い、たくさん集まっているようだと、植物を弱らせるという。害虫なのだ。駆除を勧めるホームページも散見される。その意味では、やはり人類の敵なのだ。ほどほどに姿形を楽しむことにとどめた方がよさそう。


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