昨日のニュースですが、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン・ICANのベアトリス・フィン事務局長が安倍首相との面会を求めているものの、日程が合わないと拒否し続けられる中、政府及び各党とフィン氏の公開討論会が行われたと報道がありました。
この報道の中で気になったのが、佐藤正久外務副大臣の発言。その発言はこんな感じだったと記憶しています。
「核禁止条約を肯定することは米の核抑止力の安定性を損なう。国民の生命・財産を守るため、真に必要な枠組みをめざす。」
核兵器を使うと核兵器で反撃を受けるから核兵器を使うことはできない。核を保有することでのみ成り立つこの考え方は、逆に核兵器による攻撃を受ける可能性を常に残していくことになるのじゃないだろうか。以前に何かで、核戦略では、相手国の持つ大陸間弾道ミサイルも核の標的にしていると読んだ記憶があります。核を持つことで、その核兵器自身が相手国の核兵器を呼び込むことになっているわけです。この、目には目を、核には核を、という戦略のもとで、核抑止力に頼ることの危険性がここに潜んでいるように思います。
日本は、核の傘で守られていると政府などは言います。本当なのか。日本には米軍基地があり、ここには原子力空母や潜水艦、それからB1戦略爆撃機やB2ステルス戦略爆撃など核兵器搭載が可能な艦船や航空兵器も飛来してきます。これに対して日本政府は唯々諾々と従っているわけですが、こうした現状を考えると、日本は核の傘に守られているどころか、核の傘の名のもとに核兵器による攻撃を受ける危険性常に潜ませているとみることが妥当なのではないか――そんな気がしてくるわけです。
そんな時に、こんな報道がされていました。
こんな報道がされていました。→
米、小型核開発を検討 新指針、核兵器の役割拡大へ
【国際】
【ワシントン=共同】トランプ米政権が二月にも発表する核戦略の中期指針「核体制の見直し」(NPR)の概要が七日判明した。中国やロシア、北朝鮮に対する圧倒的な優位性を確保するため、局地攻撃を想定した低爆発力の小型核の開発を検討、核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止・反撃に限定しない方針を盛り込む。柔軟な核運用を前面に出す内容で「核なき世界」を掲げたオバマ前政権からの戦略転換となりそうだ。
米政府の説明を受けた複数の議会関係者や外交筋が明らかにした。
新指針は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の「核の三本柱」を堅持。一方で北朝鮮の核・ミサイル施設への攻撃などを想定し、弾道ミサイルに搭載する低爆発力の核兵器の開発・配備を検討する。爆発威力を抑えた小型核は、非戦闘員の巻き添えを極力防ぐ狙いがある。
核弾頭と通常弾頭の双方を搭載できるため核攻撃と誤認されるリスクがあるとして、反対論が根強い核巡航ミサイルの新規開発も推進する。現行計画の空中発射型に加え、海洋発射型の開発方針が盛り込まれる見込み。将来の配備を巡り、日本を含む関係国との協議も始めたもようだ。
核兵器の役割低減を目指したオバマ政権は二〇一〇年発表の前回NPRで、核使用を米国と同盟国の「死活的な利益を守るための極限の状況」に限定した。しかしトランプ政権は核攻撃の抑止や反撃だけでなく、基幹インフラへのサイバー攻撃などに対しても核使用を排除しない方向で、核使用のハードルが下がる恐れがある。米シンクタンク、軍備管理協会のキングストン・リーフ氏は「米国が核使用のシナリオを拡大すれば、世界情勢の不安定化を招く」と懸念を示している。
これを読んだら「エー」ですよ。
アメリカは使いにくい巨大な破壊力を持った大型核兵器から、使いやすい小型の核兵器を開発しようとしているのだというのです。もし、こうした戦略がすすむなら、小型兵器を使われた国は、大型の核兵器で反撃する口実を得ることになってしまいそうです。核戦争の引き鉄が、小型の核兵器によってひかれてしまうわけです。
そもそも核の傘は、核兵器を使ったら核兵器で仕返しするぞと、核兵器を使うことを前提にした戦略です。この核の傘のもとには、日本が潜んでいていいのかが問われているのじゃないでしょうか。
そもそも安保法制で、日本が米軍との一体化を強めています。
そして、その一体化は政府が守るべき規範である日本国憲法さえ空洞化させて行われている実態があると指摘されいます。
フィンICAN事務局長は、16日に国会内で行われた与野党10党・会派との討論集会「核兵器禁止条約と日本の役割」(主催=核兵器廃絶日本NGO連絡会)での報告で次のように述べたと報道があります。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が、国会議員との討論集会の冒頭で行った報告(要旨)は次の通りです。
被爆者の経験と素晴らしい運動がICANの活動の土台をつくり、今回のノーベル平和賞受賞につながりました。日本は唯一、核戦争による倫理、経済、社会的な代償を知る国です。私は広島と長崎で多くの被爆者とご家族と話しました。人類における最悪の出来事の記憶を引き継いできた方々に、深い敬意を表したい。これ以上の被爆者を生みだすことは決して許されません。
私は、核保有国や条約に反対する国々から圧力を受けました。日本にも条約参加に反対する議論や懸念がありますが、条約は新しい国際規範として多くの国が支持を表明しています。核兵器の非合法化は世界の流れです。日本は国際社会と市民社会から「倫理的義務を果たしていない」と強い圧力がますますかかっていくでしょう。日本は唯一の被爆国として禁止条約に参加することで、世界の核軍縮のリーダーとなりえます。
何百万人もの罪のない一般市民を殺戮(さつりく)する核兵器は、安全保障の中核にはなりえません。もし核抑止がベストな安全保障政策であれば、命は失われないし、紛争も防げる、安全性も高まるはずです。核兵器をめぐる歴史は、それと反対の結果を招いたことを証明しています。
北朝鮮情勢も非常に危険な状況ですが、核兵器による抑止ではなく、いかに禁止するかが重要です。核抑止は「神話」です。現実をみれば北朝鮮の核開発は阻止できなかったし、核拡散につながった。核兵器は誰のもとにあっても、平和と安定をつくれないものです。
核兵器の退場は、安全保障政策にとって必要なステップであり、安定をもたらすものです。国際法で違法とされた兵器を製造、保有すればその国の政治的地位は落ちます。世界ではすでに大手の金融機関などが核兵器を製造する企業に投資をしなくなっている流れができています。
いまや安全保障を核兵器に依存することは恥ずかしいことです。まず日本には条約そのものに向き合い、批准した場合はどのような影響を与えるのか、調査に踏み出してほしいと思います。
フィン事務局長の話に耳を傾けたい。
日本は、「核の傘」のもと、核攻撃の危険に身をさらすのでなく、「唯一の被爆国として禁止条約に参加することで、世界の核軍縮のリーダー」となるべきだと思います。
この報道の中で気になったのが、佐藤正久外務副大臣の発言。その発言はこんな感じだったと記憶しています。
「核禁止条約を肯定することは米の核抑止力の安定性を損なう。国民の生命・財産を守るため、真に必要な枠組みをめざす。」
核兵器を使うと核兵器で反撃を受けるから核兵器を使うことはできない。核を保有することでのみ成り立つこの考え方は、逆に核兵器による攻撃を受ける可能性を常に残していくことになるのじゃないだろうか。以前に何かで、核戦略では、相手国の持つ大陸間弾道ミサイルも核の標的にしていると読んだ記憶があります。核を持つことで、その核兵器自身が相手国の核兵器を呼び込むことになっているわけです。この、目には目を、核には核を、という戦略のもとで、核抑止力に頼ることの危険性がここに潜んでいるように思います。
日本は、核の傘で守られていると政府などは言います。本当なのか。日本には米軍基地があり、ここには原子力空母や潜水艦、それからB1戦略爆撃機やB2ステルス戦略爆撃など核兵器搭載が可能な艦船や航空兵器も飛来してきます。これに対して日本政府は唯々諾々と従っているわけですが、こうした現状を考えると、日本は核の傘に守られているどころか、核の傘の名のもとに核兵器による攻撃を受ける危険性常に潜ませているとみることが妥当なのではないか――そんな気がしてくるわけです。
そんな時に、こんな報道がされていました。
こんな報道がされていました。→
米、小型核開発を検討 新指針、核兵器の役割拡大へ
【国際】
米、小型核開発を検討 新指 針核兵器の役割拡大へ
2018年1月8日 東京新聞朝刊
【ワシントン=共同】トランプ米政権が二月にも発表する核戦略の中期指針「核体制の見直し」(NPR)の概要が七日判明した。中国やロシア、北朝鮮に対する圧倒的な優位性を確保するため、局地攻撃を想定した低爆発力の小型核の開発を検討、核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止・反撃に限定しない方針を盛り込む。柔軟な核運用を前面に出す内容で「核なき世界」を掲げたオバマ前政権からの戦略転換となりそうだ。
米政府の説明を受けた複数の議会関係者や外交筋が明らかにした。
新指針は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の「核の三本柱」を堅持。一方で北朝鮮の核・ミサイル施設への攻撃などを想定し、弾道ミサイルに搭載する低爆発力の核兵器の開発・配備を検討する。爆発威力を抑えた小型核は、非戦闘員の巻き添えを極力防ぐ狙いがある。
核弾頭と通常弾頭の双方を搭載できるため核攻撃と誤認されるリスクがあるとして、反対論が根強い核巡航ミサイルの新規開発も推進する。現行計画の空中発射型に加え、海洋発射型の開発方針が盛り込まれる見込み。将来の配備を巡り、日本を含む関係国との協議も始めたもようだ。
核兵器の役割低減を目指したオバマ政権は二〇一〇年発表の前回NPRで、核使用を米国と同盟国の「死活的な利益を守るための極限の状況」に限定した。しかしトランプ政権は核攻撃の抑止や反撃だけでなく、基幹インフラへのサイバー攻撃などに対しても核使用を排除しない方向で、核使用のハードルが下がる恐れがある。米シンクタンク、軍備管理協会のキングストン・リーフ氏は「米国が核使用のシナリオを拡大すれば、世界情勢の不安定化を招く」と懸念を示している。
これを読んだら「エー」ですよ。
アメリカは使いにくい巨大な破壊力を持った大型核兵器から、使いやすい小型の核兵器を開発しようとしているのだというのです。もし、こうした戦略がすすむなら、小型兵器を使われた国は、大型の核兵器で反撃する口実を得ることになってしまいそうです。核戦争の引き鉄が、小型の核兵器によってひかれてしまうわけです。
そもそも核の傘は、核兵器を使ったら核兵器で仕返しするぞと、核兵器を使うことを前提にした戦略です。この核の傘のもとには、日本が潜んでいていいのかが問われているのじゃないでしょうか。
そもそも安保法制で、日本が米軍との一体化を強めています。
そして、その一体化は政府が守るべき規範である日本国憲法さえ空洞化させて行われている実態があると指摘されいます。
フィンICAN事務局長は、16日に国会内で行われた与野党10党・会派との討論集会「核兵器禁止条約と日本の役割」(主催=核兵器廃絶日本NGO連絡会)での報告で次のように述べたと報道があります。
ICANと国会議員との討論集会
フィンICAN事務局長の報告(要旨)
フィンICAN事務局長の報告(要旨)
2018年1月17日(水)
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が、国会議員との討論集会の冒頭で行った報告(要旨)は次の通りです。
被爆者の経験と素晴らしい運動がICANの活動の土台をつくり、今回のノーベル平和賞受賞につながりました。日本は唯一、核戦争による倫理、経済、社会的な代償を知る国です。私は広島と長崎で多くの被爆者とご家族と話しました。人類における最悪の出来事の記憶を引き継いできた方々に、深い敬意を表したい。これ以上の被爆者を生みだすことは決して許されません。
私は、核保有国や条約に反対する国々から圧力を受けました。日本にも条約参加に反対する議論や懸念がありますが、条約は新しい国際規範として多くの国が支持を表明しています。核兵器の非合法化は世界の流れです。日本は国際社会と市民社会から「倫理的義務を果たしていない」と強い圧力がますますかかっていくでしょう。日本は唯一の被爆国として禁止条約に参加することで、世界の核軍縮のリーダーとなりえます。
何百万人もの罪のない一般市民を殺戮(さつりく)する核兵器は、安全保障の中核にはなりえません。もし核抑止がベストな安全保障政策であれば、命は失われないし、紛争も防げる、安全性も高まるはずです。核兵器をめぐる歴史は、それと反対の結果を招いたことを証明しています。
北朝鮮情勢も非常に危険な状況ですが、核兵器による抑止ではなく、いかに禁止するかが重要です。核抑止は「神話」です。現実をみれば北朝鮮の核開発は阻止できなかったし、核拡散につながった。核兵器は誰のもとにあっても、平和と安定をつくれないものです。
核兵器の退場は、安全保障政策にとって必要なステップであり、安定をもたらすものです。国際法で違法とされた兵器を製造、保有すればその国の政治的地位は落ちます。世界ではすでに大手の金融機関などが核兵器を製造する企業に投資をしなくなっている流れができています。
いまや安全保障を核兵器に依存することは恥ずかしいことです。まず日本には条約そのものに向き合い、批准した場合はどのような影響を与えるのか、調査に踏み出してほしいと思います。
2018年1月17日(水)しんぶん赤旗
フィン事務局長の話に耳を傾けたい。
日本は、「核の傘」のもと、核攻撃の危険に身をさらすのでなく、「唯一の被爆国として禁止条約に参加することで、世界の核軍縮のリーダー」となるべきだと思います。
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