4月19日に勿来市民会館で、実行委員会が開いた池田香代子さんの講演会を面白く拝聴させていただきました。講演会は250人を超える方が聴講し、あいづちを入れたり、拍手したり、どことなく家族的な雰囲気の講演会だったように思います。
実行委員会は勿来九条の会が呼びかけて結成されました。当然、お話の主題は改憲の動きに関わることです。安倍首相のもとで自公内閣が集団的自衛権行使に向けた法整備や、安倍首相が改憲論議を国民に呼びかける中で、その問題点がどこにあるかを探り、改憲の策動を跳ね返す力にすることが、講演会の目的と言えるでしょう。
講師の池田香代子さんはドイツ文学の翻訳家で作家。宗教の違いや貧困を原因とした紛争が世界的に拡大する中で書かれた「世界がもし100人の村だったら」が話題になりました。「ソフィーの世界」なども翻訳し社会に送り出してきた世間によく知られた方です。
「世界がもし100人の村だったら/平和・いのち・暮らし」と題した講演を、池田さんは前日の午後11時から放映されたEテレの「ETV特集」の話題から始めました。
番組は、長年、原発の反対運動に携わってきた立命館大学名誉教授の安斎郁郎さんが、「原子力の専門家の一人として、福島に暮らす人々のリスク低下に向き合っていくことが大切」と原発事故後に毎月福島を訪れ、汚染状況の測定や除染のアドバイスなどの活動を市民レベルで展開していることを紹介していました(2015年4月25日深夜0:00からEテレで再放送)。
池田さんはこういいました。
福島県内で、この位の番組が普段から放送されていることを知っていますが、全国的には不十分な現実があります。原発事故や放射能には、いろいろなとらえ方があるから、福島では原発事故の話はしない方が良いですよとアドバイスをくれる方もいましたが、このとらえ方がきちんとしていないとならないと思います。そして、この問題は改憲の問題と密接に結びついているように感じています。
池田さんは、福島に居住することも、また福島県産の農産物についても危険ではないと考えていることを述べながら、その状況を全国的に共有することが大切という趣旨で話しながら、いくつかのエピソードを紹介しました。
愛川さん、文太さんの思いを引き継いで
一つが今月15日に死去したタレント・愛川欽也さんのこと。
福島の子ども達をずっと心配していた愛川さんは、全国九条の会の奥平康弘が亡くなる直前まで講師を務めていたと同じように、改憲にずっと反対し続けてきた人だったといいます。
例えば「11PM」でも「出没!アド街ック天国」でも、番組に出演する彼は胸ポケットにいつも憲法の冊子を入れており、憲法の大切さを発言してきたと紹介しました。またCS放送で彼が出演していた「愛川欽也のパックインジャーナル」が事実上の打ち切りになった時に、身銭を切ってインターネットTVを立ち上げ、同様の番組を配信し続けたことも「憲法の動きが心配だったのだろう」と語りました。
愛川さんが出演した映画「トラック野郎」で主演した菅原文太さんにもふれ、「二人とも平和を大切にしていました。その二人が残したものをしっかり引き継いでいかなければならないと思います」と思いを語りました。
非科学の背景に右翼的潮流が
二つ目に、怪しい食品などの話。
放射性物質を除去する酵素玄米なるものや、同じ効果があると喧伝されるEM菌に関連するEM・X(ネットで調べると健康飲料をうたっているよう。商品名は「EM・Ⅹ GOLD」となっている)などです。
このEM・Ⅹ GOLDの話を聞きながら震災直後の体験を思い出しました。
ツイッターでのことです。原発事故で拡散された放射能への心配から、知人に聞いたEM・Xが気にかかっているとの趣旨のつぶやきをみたのです。
昔・・本当に昔のことです。EM菌を発見したという琉球大学教授の比嘉照夫さんの講演を小名浜市民会館で聞いたことがありました。
EM菌がいかに環境浄化に役立つかを説く比嘉教授が、ついにはこんなことまで言い出しました。
EMボカシ(EM菌そのものだったかも)を入れたゴムで作ったタイヤは減りにくくなる。EMボカシ(同)を入れた航空燃料は燃費を良くする――こんな話だったと思います。
素直に考えれば、ブレーキが効くのはタイヤと路面の摩擦があるからなので、ブレーキをかければタイヤは当然減るはずです。すると減りにくいタイヤは摩擦が少ないタイヤとなり、止まりにくいタイヤ、すなわち危険なタイヤということになります。
こんなことを言うEMって怪しい。この時、強く印象が残りました。
こんな体験があったものですからこのツイートに返信しました。
体内からなくするというメカニズムが明らかでないこと、放射能をなくす(つまり核分裂させて別の物質に変える)という物理学的反応に対応する莫大なエネルギーを、せいぜい光合成をするくらいの「有用細菌」とされるEMが持つとは思えない――こんな趣旨だったと思います。ご本人も「そうですよね」と返事を下さり、少しは役に立ったと安堵したものでした。
話が横道にどこまでもそれていきそうなので、元に戻しましょう。
池田さんは、こうしたものの効能に疑問を呈しながら、こうした非科学的なものが教育現場などに取り入れられてきたと指摘します。
例えばEM菌。TOSS(教育技術法則化運動)が取り上げ、普及してきたといいます。TOSSはある考え方で教員の教育技術向上をはかろうという取り組みですが、ここが無批判にEM菌を扱ったことが、教育現場への浸透のきっかけとなったと紹介しました。
他にも、優しい言葉をかけると結晶が綺麗になるという水への声かけ、子どもの問題行動などの原因を子育てのあり方に求める「親学」、さらに史実が証明されない「江戸しぐさ」が道徳教育の教材などに取り上げられるなど、根拠がはっきりしないものがまかり通っているというのです。
そしてこうした〝非科学〟を取り上げる団体が政権構成員とも近い、ともいうのです。
確かにTOSSをネットで検索すると、安倍首相が研修会に祝辞を寄せた、下山文科相と懇談した、文科相の事業に採択された、などと紹介するホームページがあります。
早稲田大学教育実践サークルCROSS ROAD⇒
http://toss-crossroad.jimdo.com/toss%E3%81%A8%E3%81%AF/
これらを通じて池田さんが言いたかったのは、〝ものごとは科学的に判断しましょう〟ということだったのでしょう。それが次の話につながります。こうした非科学的なものを支持している人たちは保守とは違う、右翼の人たちだという指摘です。
確かにTOSS代表の向山氏は日本教育再生機構で代表委員に名を連ねています。この教育再生会議の呼びかけ文には、「太古の昔、神々がつくったと伝えられる神秘の国…。」「有史以来、国の中心に一系の天皇をいただいてきた伝統の国…。」という日本観が盛り込まれています。確かに右翼的な潮流に組しているようです。
日本教育再生機構HP⇒
http://www.kyoiku-saisei.jp/kiko/kiko.html
ちょっと待った! 安倍「教育再生」 - 自由法曹団⇒
http://www.jlaf.jp/menu/pdf/2013/130401_01.pdf
池田さんは、こうした右翼的潮流がふりまく〝非科学〟を実践しているのは普通の人たちで、右翼と普通の人たちが水面下でがっちり手を結んでいる構図になっているとします。そしてこの状況に、「事実に立脚しない社会は怖い社会です。足が地についてない社会はフラフラとどこかに行ってしまうのではないでしょうか」と危機感を語りました。科学的な判断をきちんと踏まえないと危険だというのです。
だからこそ池田さんは、講演後の質問で甲状腺がんの問題についても、福島では「チェルノブイリの時と被ばくのオーダーが違うし、チェルノブイリでは幼い子も発症していたのに福島の発症年齢は9歳以上なので、原発事故の影響とは断言できないという説明に納得しています」と答えたのでしょう。
戦後70周年の国会決議重視が大切
「うわついた心でいるととんでもないところに連れて行かれる」と池田さんは、平和の問題に話をすすめました。
まず、戦後70年の談話問題について、こう説明しました。
戦後50周年では、衆院で植民地支配や侵略的行為を認め反省を盛り込んだ決議が採択され、その後に村山談話が発表されました。また、戦後60年の小泉談話の時にも、この50周年決議を引き継いだ「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり、更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」が採択されています。この経験から言えば、談話の前提になるよう国会決議をきちんとさせることが必要だという問題提起です。
また、60周年決議には「世界連邦実現への道の探究」が盛り込まれ、国会には超党派で「世界連邦日本国会委員会」が組織されています。世界を一つの法のもとに置こうというこの世界連邦は、その一部が国際刑事裁判所として実現していますが、実現に向けて取り組むことが大切だと強調しました。
そしてその一環の取り組みとして、国際連帯税の取り組みを紹介しました。マラリアなどの予防接種のための国際連帯税が航空機のチケットに一部の国で上乗せされており、こうした取り組みを日本も独自にすすめることが大切だと強調していました。
さらに、放送内容への政権側からの圧力の問題に触れ、番組制作サイドにもまともな番組を作ろうと頑張っている人たちがいます。その人たちを支えられるのは私たちだけです。良い番組があったら、電話をしてどんどんほめましょうと提起しました。
改憲反対の一点で広い共同を
最後に改憲をめぐる対決軸について話した池田さんは、「それが今日言いたいこと」と前置きして話し出しました。
「対決軸は野党対与党か。それぞれの政党に、憲法を絶対変えちゃいけないという人もいる。自衛隊の元幕僚長が憲法を変えちゃいけないと言っている。ご近所にもそんな人もいるかもしれない」。
改憲をめぐる対決軸は、与党か野党か、保守か革新か、そこにあるのではなくて、戦争をしないと決めた憲法をこれからも続けたいと思っているかいないか、その一点にあり、その一点で幅広く共同を広げることだと呼びかけたわけです。
「自衛官から手紙をもらったことがあります。阪神大震災で国土国民を守るやりがいのある仕事だと思って入隊したのに、上官は海外にでていくことをしきりにいう。僕のイメージと違うのです、と言っていました。当たり障りのない内容でしたが返事を出しましたが、やがて、自衛隊をやめたとハガキが来ました」
池田さんが紹介したこのエピソードのように思っている人たちがたくさんいるのかもしれません。その人たちが政治の狭間の中で悩み苦しんでいるかもしれません。その胸中に思いをはせると、改憲をさせてはならない、平和を突き壊す安倍内閣の暴走を止めなくてはならない、と強く感じます。
池田さんは沖縄上げて反対運動が高まっている辺野古への基地移転反対運動に関する質問に答えこういいました。
「保守主義は、ふるさとを守れと考え、それに害をなすものには弓を引く覚悟を秘めています。保守主義の反対語は国家主義だと思います。そして保守主義は地域主義ととっても相性が良いと思います」
地域を大切に思う人たちは思想・信条を超えて改憲策動とたたかえる。
池田さんは草の根の憲法九条を守る草の根の運動にこうエールを送って講演を終わりました。ありがとうございました。
講演会の冒頭では、いわき雑魚塾のみなさんが演奏を披露しました。誰かの犠牲に成り立つ幸せは本当の幸せかを問う「本当の幸せ」、原発事故での海洋汚染を告発する「福島の海よ」、憲法ができてから67年間続いた戦争をしない日々がこれから100年も200年も続いてほしいという願いをこめた「平和の暦」の3曲を歌い上げ、盛大な拍手を贈られていました。
この投稿日時は、ブログの記事投稿画面をお話を書き留めるメモ帳として使い、途中、記録のためにいったん投稿した時間でした。現実には、お話をまとめるために時間がかかってしまいましたので、これより2日遅れての記事公開です。
また、お話は私自身のとらえ方であり、もしかして池田さんのおっしゃりたいこととずれている場合もあるかもしれませんが、もしそうならばお許し下さい。大筋はあっていると思うのですが・・
実行委員会は勿来九条の会が呼びかけて結成されました。当然、お話の主題は改憲の動きに関わることです。安倍首相のもとで自公内閣が集団的自衛権行使に向けた法整備や、安倍首相が改憲論議を国民に呼びかける中で、その問題点がどこにあるかを探り、改憲の策動を跳ね返す力にすることが、講演会の目的と言えるでしょう。
講師の池田香代子さんはドイツ文学の翻訳家で作家。宗教の違いや貧困を原因とした紛争が世界的に拡大する中で書かれた「世界がもし100人の村だったら」が話題になりました。「ソフィーの世界」なども翻訳し社会に送り出してきた世間によく知られた方です。
「世界がもし100人の村だったら/平和・いのち・暮らし」と題した講演を、池田さんは前日の午後11時から放映されたEテレの「ETV特集」の話題から始めました。
番組は、長年、原発の反対運動に携わってきた立命館大学名誉教授の安斎郁郎さんが、「原子力の専門家の一人として、福島に暮らす人々のリスク低下に向き合っていくことが大切」と原発事故後に毎月福島を訪れ、汚染状況の測定や除染のアドバイスなどの活動を市民レベルで展開していることを紹介していました(2015年4月25日深夜0:00からEテレで再放送)。
池田さんはこういいました。
福島県内で、この位の番組が普段から放送されていることを知っていますが、全国的には不十分な現実があります。原発事故や放射能には、いろいろなとらえ方があるから、福島では原発事故の話はしない方が良いですよとアドバイスをくれる方もいましたが、このとらえ方がきちんとしていないとならないと思います。そして、この問題は改憲の問題と密接に結びついているように感じています。
池田さんは、福島に居住することも、また福島県産の農産物についても危険ではないと考えていることを述べながら、その状況を全国的に共有することが大切という趣旨で話しながら、いくつかのエピソードを紹介しました。
愛川さん、文太さんの思いを引き継いで
一つが今月15日に死去したタレント・愛川欽也さんのこと。
福島の子ども達をずっと心配していた愛川さんは、全国九条の会の奥平康弘が亡くなる直前まで講師を務めていたと同じように、改憲にずっと反対し続けてきた人だったといいます。
例えば「11PM」でも「出没!アド街ック天国」でも、番組に出演する彼は胸ポケットにいつも憲法の冊子を入れており、憲法の大切さを発言してきたと紹介しました。またCS放送で彼が出演していた「愛川欽也のパックインジャーナル」が事実上の打ち切りになった時に、身銭を切ってインターネットTVを立ち上げ、同様の番組を配信し続けたことも「憲法の動きが心配だったのだろう」と語りました。
愛川さんが出演した映画「トラック野郎」で主演した菅原文太さんにもふれ、「二人とも平和を大切にしていました。その二人が残したものをしっかり引き継いでいかなければならないと思います」と思いを語りました。
非科学の背景に右翼的潮流が
二つ目に、怪しい食品などの話。
放射性物質を除去する酵素玄米なるものや、同じ効果があると喧伝されるEM菌に関連するEM・X(ネットで調べると健康飲料をうたっているよう。商品名は「EM・Ⅹ GOLD」となっている)などです。
このEM・Ⅹ GOLDの話を聞きながら震災直後の体験を思い出しました。
ツイッターでのことです。原発事故で拡散された放射能への心配から、知人に聞いたEM・Xが気にかかっているとの趣旨のつぶやきをみたのです。
昔・・本当に昔のことです。EM菌を発見したという琉球大学教授の比嘉照夫さんの講演を小名浜市民会館で聞いたことがありました。
EM菌がいかに環境浄化に役立つかを説く比嘉教授が、ついにはこんなことまで言い出しました。
EMボカシ(EM菌そのものだったかも)を入れたゴムで作ったタイヤは減りにくくなる。EMボカシ(同)を入れた航空燃料は燃費を良くする――こんな話だったと思います。
素直に考えれば、ブレーキが効くのはタイヤと路面の摩擦があるからなので、ブレーキをかければタイヤは当然減るはずです。すると減りにくいタイヤは摩擦が少ないタイヤとなり、止まりにくいタイヤ、すなわち危険なタイヤということになります。
こんなことを言うEMって怪しい。この時、強く印象が残りました。
こんな体験があったものですからこのツイートに返信しました。
体内からなくするというメカニズムが明らかでないこと、放射能をなくす(つまり核分裂させて別の物質に変える)という物理学的反応に対応する莫大なエネルギーを、せいぜい光合成をするくらいの「有用細菌」とされるEMが持つとは思えない――こんな趣旨だったと思います。ご本人も「そうですよね」と返事を下さり、少しは役に立ったと安堵したものでした。
話が横道にどこまでもそれていきそうなので、元に戻しましょう。
池田さんは、こうしたものの効能に疑問を呈しながら、こうした非科学的なものが教育現場などに取り入れられてきたと指摘します。
例えばEM菌。TOSS(教育技術法則化運動)が取り上げ、普及してきたといいます。TOSSはある考え方で教員の教育技術向上をはかろうという取り組みですが、ここが無批判にEM菌を扱ったことが、教育現場への浸透のきっかけとなったと紹介しました。
他にも、優しい言葉をかけると結晶が綺麗になるという水への声かけ、子どもの問題行動などの原因を子育てのあり方に求める「親学」、さらに史実が証明されない「江戸しぐさ」が道徳教育の教材などに取り上げられるなど、根拠がはっきりしないものがまかり通っているというのです。
そしてこうした〝非科学〟を取り上げる団体が政権構成員とも近い、ともいうのです。
確かにTOSSをネットで検索すると、安倍首相が研修会に祝辞を寄せた、下山文科相と懇談した、文科相の事業に採択された、などと紹介するホームページがあります。
早稲田大学教育実践サークルCROSS ROAD⇒
http://toss-crossroad.jimdo.com/toss%E3%81%A8%E3%81%AF/
これらを通じて池田さんが言いたかったのは、〝ものごとは科学的に判断しましょう〟ということだったのでしょう。それが次の話につながります。こうした非科学的なものを支持している人たちは保守とは違う、右翼の人たちだという指摘です。
確かにTOSS代表の向山氏は日本教育再生機構で代表委員に名を連ねています。この教育再生会議の呼びかけ文には、「太古の昔、神々がつくったと伝えられる神秘の国…。」「有史以来、国の中心に一系の天皇をいただいてきた伝統の国…。」という日本観が盛り込まれています。確かに右翼的な潮流に組しているようです。
日本教育再生機構HP⇒
http://www.kyoiku-saisei.jp/kiko/kiko.html
ちょっと待った! 安倍「教育再生」 - 自由法曹団⇒
http://www.jlaf.jp/menu/pdf/2013/130401_01.pdf
池田さんは、こうした右翼的潮流がふりまく〝非科学〟を実践しているのは普通の人たちで、右翼と普通の人たちが水面下でがっちり手を結んでいる構図になっているとします。そしてこの状況に、「事実に立脚しない社会は怖い社会です。足が地についてない社会はフラフラとどこかに行ってしまうのではないでしょうか」と危機感を語りました。科学的な判断をきちんと踏まえないと危険だというのです。
だからこそ池田さんは、講演後の質問で甲状腺がんの問題についても、福島では「チェルノブイリの時と被ばくのオーダーが違うし、チェルノブイリでは幼い子も発症していたのに福島の発症年齢は9歳以上なので、原発事故の影響とは断言できないという説明に納得しています」と答えたのでしょう。
戦後70周年の国会決議重視が大切
「うわついた心でいるととんでもないところに連れて行かれる」と池田さんは、平和の問題に話をすすめました。
まず、戦後70年の談話問題について、こう説明しました。
戦後50周年では、衆院で植民地支配や侵略的行為を認め反省を盛り込んだ決議が採択され、その後に村山談話が発表されました。また、戦後60年の小泉談話の時にも、この50周年決議を引き継いだ「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり、更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」が採択されています。この経験から言えば、談話の前提になるよう国会決議をきちんとさせることが必要だという問題提起です。
また、60周年決議には「世界連邦実現への道の探究」が盛り込まれ、国会には超党派で「世界連邦日本国会委員会」が組織されています。世界を一つの法のもとに置こうというこの世界連邦は、その一部が国際刑事裁判所として実現していますが、実現に向けて取り組むことが大切だと強調しました。
そしてその一環の取り組みとして、国際連帯税の取り組みを紹介しました。マラリアなどの予防接種のための国際連帯税が航空機のチケットに一部の国で上乗せされており、こうした取り組みを日本も独自にすすめることが大切だと強調していました。
さらに、放送内容への政権側からの圧力の問題に触れ、番組制作サイドにもまともな番組を作ろうと頑張っている人たちがいます。その人たちを支えられるのは私たちだけです。良い番組があったら、電話をしてどんどんほめましょうと提起しました。
改憲反対の一点で広い共同を
最後に改憲をめぐる対決軸について話した池田さんは、「それが今日言いたいこと」と前置きして話し出しました。
「対決軸は野党対与党か。それぞれの政党に、憲法を絶対変えちゃいけないという人もいる。自衛隊の元幕僚長が憲法を変えちゃいけないと言っている。ご近所にもそんな人もいるかもしれない」。
改憲をめぐる対決軸は、与党か野党か、保守か革新か、そこにあるのではなくて、戦争をしないと決めた憲法をこれからも続けたいと思っているかいないか、その一点にあり、その一点で幅広く共同を広げることだと呼びかけたわけです。
「自衛官から手紙をもらったことがあります。阪神大震災で国土国民を守るやりがいのある仕事だと思って入隊したのに、上官は海外にでていくことをしきりにいう。僕のイメージと違うのです、と言っていました。当たり障りのない内容でしたが返事を出しましたが、やがて、自衛隊をやめたとハガキが来ました」
池田さんが紹介したこのエピソードのように思っている人たちがたくさんいるのかもしれません。その人たちが政治の狭間の中で悩み苦しんでいるかもしれません。その胸中に思いをはせると、改憲をさせてはならない、平和を突き壊す安倍内閣の暴走を止めなくてはならない、と強く感じます。
池田さんは沖縄上げて反対運動が高まっている辺野古への基地移転反対運動に関する質問に答えこういいました。
「保守主義は、ふるさとを守れと考え、それに害をなすものには弓を引く覚悟を秘めています。保守主義の反対語は国家主義だと思います。そして保守主義は地域主義ととっても相性が良いと思います」
地域を大切に思う人たちは思想・信条を超えて改憲策動とたたかえる。
池田さんは草の根の憲法九条を守る草の根の運動にこうエールを送って講演を終わりました。ありがとうございました。
講演会の冒頭では、いわき雑魚塾のみなさんが演奏を披露しました。誰かの犠牲に成り立つ幸せは本当の幸せかを問う「本当の幸せ」、原発事故での海洋汚染を告発する「福島の海よ」、憲法ができてから67年間続いた戦争をしない日々がこれから100年も200年も続いてほしいという願いをこめた「平和の暦」の3曲を歌い上げ、盛大な拍手を贈られていました。
この投稿日時は、ブログの記事投稿画面をお話を書き留めるメモ帳として使い、途中、記録のためにいったん投稿した時間でした。現実には、お話をまとめるために時間がかかってしまいましたので、これより2日遅れての記事公開です。
また、お話は私自身のとらえ方であり、もしかして池田さんのおっしゃりたいこととずれている場合もあるかもしれませんが、もしそうならばお許し下さい。大筋はあっていると思うのですが・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます