伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

事実上の公共料金値上げに反対討論

2019年03月14日 | 市議会
 いわき市議会2月定例会は、提案された118議案、人権委擁護委員の推薦に関する諮問1件、意見書6件を可決し閉会した。

 私は、追加提案された補正予算のうち、プレミアム付商品券について質疑を行い、議案のうち消費税増税に伴う使用料改定関連条例や関連予算などに反対し、討論に立った。

 可決された意見書は次の通り。
1 児童虐待防止対策の更なる強化を求める意見書
2 UR賃貸住宅ストックの活用を求める意見書
3 妊婦が安心できる医療提供体制の充実と健康管理の推進を求める意見書
4 食品ロス削減に向けての更なる取り組みを進める意見書
5 福島県最低賃金の引き上げと早期発効を求める意見書
6 義援金差押禁止法の恒久化を求める意見書

 意見書は全会派一致に達した案件。継続審議を含め21件が提案されていたが12件が廃案となった。会派提出案件7件のうち私が起案した安倍首相が6割の自治体が隊員募集事務に非協力的とした発言に注意を喚起することを求める「正確な発言に心がけ国民に誤解を招かぬよう求める意見書・案(ここをクリックで全文)をはじめ6件は廃案。「国民健康保険における子供の均等割り額の軽減制度の創設を求める意見書・案」は継続審査となった。

 ちなみに会派提出意見書は以下の通り。

■75歳以上の医療費負担の原則2割化に反対する意見書(案)
■正確な発言に心がけ国民に誤解を招かぬよう求める意見書(案)
■国民健康保険における子供の均等割り額の軽減制度の創設を求める意見書(案)
■少年法の適用年齢を引き下げないことを求める意見書(案)
■ハラスメントを禁止する包括的な法整備と、ジェンダー平等を実現する法の改正を求める意見書(案)-継続審議案件ー
■放課後児童クラブの職員配置基準等を堅持し、放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書(案)-継続審議案件ー
■幼児教育及び保育の無償化にあたっては地方自治体と十分に協議するとともに、地方自治体に負担させることなく国の責任の下に無償化を図ることを求める意見書(案)-継続審議案件ー

 以下が本日行った討論です。



 消費税増税関連議案などに反対する討論


  10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 顔の麻痺が多少残っていて、多少聞きにくくい所もあるかもしれませんが、そこはご容赦いただいて、私は、提案されている118議案のうち、
議案第4号、
第6号から20号、
第22号から25号、
第27号、
第34号、
第35号、
第37号から40号、
第43号から47号、
第50号、
第52号から57号、
第60号、
第63号から66号、
第79号、
第80号、
及び第95号、
以上47議案に反対の立場から討論いたします。

 まず、47議案のうち、議案第79号、第80号、及び第95号を除く議案第4号いわき市行政財産使用料条例の改正についてから、議案第66号いわき市道路占用料条例の改正についてまでの43議案は、いずれも10月に予定される消費税の8%から10%への増税に伴い使用料に転嫁される消費税を同様に引き上げるものであり、共通していますので一括して討論いたします。



 消費税増税は、野田政権のもと、まず8%、続いて10%と段階的に引き上げることが決められ、安倍政権になって2014年4月に現在の8%に増税されました。

 その後、安倍政権は、15年10月に予定されていた10%への増税を2度にわたって延期し、18年10月に外食や酒類を除く食品を現行8%に据え置く軽減税率を導入するとした上で、19年10月の増税を公表し今にいたりました。

 かつて消費税は「小さく産んで大きく育てる」という言葉があった通り、3%から5%、そして8%へ増税され、そして10%へと増税されようとしていますが、そもそも導入時から問題を持っているものでした。

■消費税の問題点――逆進性

 1つは、収入が少ないほど負担が重くなる逆進性です。

 消費税増税の一つのキーワードが「支え合う社会」でした。例えば日本経団連は、かつて公表した提言で、増税の大義名分として「国民全体で支え合う」ことを強調していました。

 ところが、現実の消費税は「支え合う」には全く逆行しています。

 年間の収入別にみる、今回導入される軽減税率を見込んだ消費税の負担率は、収入が1,000万円を超える世帯では3.3%以下となっています。一方、300万円以下では約7%でほぼ2倍の負担率になっています。この現実は、消費税の自分のことは自分で支えろという性格を示しており、「支えあう」という文言は全くふさわしくありません。

 また、税金の「応能負担」の原則や、生きるために必要な生活費には税金をかけないという生活費非課税の原則など、税制の民主的原則に反する税金となっている現実を示すものとなっています。

 政府は、アベノミクスによって経済は回復したとして、消費税の増税をしようとしていますが、現実に、アベノミクスで潤っているのは輸出大企業を中心とした一握りの企業にすぎず、生活者である多くの国民は実感できる状況にはありませんでした。

 そんな時の消費税増税ですから、なおさら、消費税8%への増税後の経済の落ち込みを繰り返してはならないとの思いで安倍首相は「あらゆる政策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応する」としたのでしょう。

 その結果打ち出された経済対策の内容は、中小店舗でのキャッシュレス決済へのポイント還元、年収約250万円未満にあたる住民税非課税世帯と0~2歳児を持つ子育て世帯を対象にしたプレミアム付商品券の販売、省エネ性能の高い住宅の新築などへのポイント付与などが柱となっており、対策の総額は2兆280億円にものぼります。しかし、これだけの財源を費やしても、これらの措置が一時的なものであるため、国民の消費への悪影響を取り除くには非常に限定的な校歌しかないと言わざるをえません。

 また、消費税増税による来年度半年分の税収増は1兆3,000億円です。この税収増を上回る経済対策には、与党議員からさえ「何のための増税か」との声が出ている状況です。

 同時に対策中には、経済的弱者を考えた時に暮らしを支える効果があるのか、疑問が湧いてくるものもあります。例えば「キャッシュレス決済時のポイント還元」です。

 公益財団法人「NIRA(ニラ)総合研究開発機構」が2018年に行った「キャッシュレス決裁実態調査」による、年間収入別のクレジットカードの利用状況調査があります。この調査では、年収400万円以上の世帯の9割以上が「時々」あるいは「よく」カードを利用しており、年収1,250万円から1,500万円未満では96.8%に達しています。一方、収入が200万円から300万円未満では79.6%、200万円未満では66.2%となっており、年収が低い世帯程、クレジットカードの利用が少なくなっていることが分かります。当然、その利用金額も少ないと考えられます。

 このことから所得が低い世帯程、キャッシュレスによるポイント還元の恩恵は少ないものとみられます。日本クレジット協会の2017年版「日本のクレジット統計」によると、福島県のクレジット契約率は全国47都道府県中38番目、下から10番目となっており、ポイント還元の恩恵が小さい県の一つとなっています。このことから、地域最賃が最低ランクの本市も当然にして、全国に比べて市民が享受する恩恵が低い自治体の一つと言えるでしょう。

 また、低所得世帯及び0歳から2歳までの子育て世帯向けのプレミアム付商品券も、対象世帯に1回限りの恩恵を付与するにすぎず、飲食料品などへの軽減税率も現行税率に据え置くだけなので、消費の拡大に大きく寄与するとは思えない内容です。

 これら一時的な措置の終了後も、増税の影響は続きますから、やはり経済をしぼませるものになると考えられ、一方、こうした施策を展開するために制度が複雑なものになってしまい、消費者や中小小売業者等に大きな混乱をもたらすと思われます。

 さらに、「幼児教育の無償化」も経済対策の一つとしていますが、無償化による利用者の増加が考えられる中で、幼児教育の担い手である有資格者等を確保するための施策は十分示されていないなど、これとても、十分な施策を展開していけるとは考えらない状況にあり、その効果が疑わしいものとなっています

■消費税の問題点――社会保障に結ばず

 2つ目に、消費税の導入及び引き上げの目的が社会保障や年金制度のためとされながら、現実には、消費税の導入以来、社会保障の切り下げ等が進められてきたという点です。

 消費税が導入されて以降に制度化された介護保険制度は、介護の社会化をうたいながら、それまで負担がなかった方に保険料や利用料の負担をさせる仕組みとされ、介護がお金のあるなしで左右される制度とされてきました。このため、制度の導入以降も、親の介護等が理由とみられる不幸な事件が続いてきた現実があります。そしてその仕組みの関係から、介護を支える労働者の人件費が低く抑えられているため担い手不足となり、介護保険制度そのものの機能も十分に発揮されない状況となっています。

 また、年金制度も、100年安心の制度といいながら、現実には年金額が引き下げられる等、将来に不安をもたらすものとなっています。さらに、このような引き下げが生活保護の給付など他の社会保障制度の引き下げも誘発し、社会保障制度切り下げの負のスパイラルをもたらしていると言わざるを得ない状況です。

 実際、2013年度から19年度までの予算編成で社会保障関連で1兆7,100億円、年金や医療・介護で2兆5,620億円、合計4兆2,720億円が削減されており、庶民の暮らしを圧迫してきたのです。

 社会保障にまわるべき消費税の税収はどこにいったのか。消費税導入後2018年度までの消費税の税収は累計で372兆円です。一方で、法人税など法人3税は291兆円が減税されてきました。ここから消費税の税収増の多くが輸出大企業を中心とした企業減税に使われてきたという現実をみることができます。

 スウェーデンだったと記憶していますが、育児休暇延長にかかわる休業補償の財源を確保するための増税が議論されている時に、テレビのインタビューに答えた一人が、「政府はうそをつかないから賛成だ」という主旨で発言したのを聞いて軽くショックを覚たことを思い出します。東欧は社会保障が充実している一方、税負担が大きいことで知られていますが、その税負担を国民が受け入れている背景には、政府に対する信頼があることを、この一言で知ることができたのです。我が国においても、仮に増税するにしても、こうした政治に対する信頼感こそ求められているものと思います。

公共料金転嫁――納税の必要なく事実上の公共料金値上げ

 消費税には以上のようなそもそもの問題があります。その問題を別にしても、今回提案された使用料に関する消費税は、納税の必要がなく、増税分も含めてすべて市の一般財源の歳入に繰り入れられる性格のものであり、従って、これらは事実上の公共料金の引き上げとして市民生活に影響するという問題があります。

納税されるものは転嫁もやむを得ない

 今定例会に提案された消費税に関連する議案は、全部で64件ありますが、私たちはこれらの議案、全てに反対するものではありません。消費税分の転嫁がなければ事業の委託を受ける民間の事業者等に経済的損失を与える場合があるからです。

 水道事業、病院事業、下水道事業、地域汚水事業及び農業集落排水事業の各企業会計、及び湯本財産区特別会計の消費税増税に関する条例改正案とこれらにかかわる予算案については、それぞれの事業が消費税を納税することが前提になっています。一般会計に収納され納税を必要としない消費税と違って、これらに消費税の転嫁がなければ、納税分の財源確保のために同等の料金値上げが課題になると想定されます。

 また、一般会計に関連する田人おふくろの宿やいわきの里鬼ケ城は、利用料金を指定管理者が直接収納し、それぞれの指定管理者が消費税の納税することになっています。もし消費税の増税分を転嫁しなかった場合、指定管理者等が増税分を含まない収入から増税分を納税するため収入減となってしまい、経営に悪影響を与えるという問題が生じてしまいます。

 市が行う工事の発注や物品の購入に当たって、それぞれの事業者に不利益とならないように消費税分の支払いには反対しておりませんが、今議会に提案された消費税増税関連議案のうち、指定管理者などが納税義務を負う議案についても、やむを得ない引き上げとして同様の対応が必要と考えています。

 また、「議案第57号いわき市森林総合利用施設条例の改正について」のように、市が一般財源の収入とする使用料及び指定管理者が収入とする利用料の消費税増税が合わせて提案されている条例改定案があります。この場合も事業者の利益に立った判断を優先させました。

 同様に、
「議案第61号いわき市中央卸売市場業務条例の改正について」、
「議案第62号いわき市地方卸売市場業務条例の改正について」、
及び関連する「議案第85号平成31年度いわき市卸売市場事業特別会計予算」、
以上3議案も、納税分と会計に収納する事実上の値上げが混在していますが、納税財源の確保の観点を優先する判断をしたいと考えています。

 こうした視点から見たときに、さきに述べた43件の議案については、消費税の納税を必要としない増税になっており、市民負担軽減の観点から判断し、消費税増税を反映しない選択をする事が求められていると考えます。

 質疑では、今回の使用料等の値上げ分の収入増は、一般会計で約910万円、特別会計で350万円とされました。市民の負担増は計1,260万円です。ここには一部、納税の必要がある消費税も含まれていますが、まだまだ震災の影響下にある市民生活を最優先にするために、事実上の公共料金の引き上げをすべきではないと思います。

■施設利用は市民生活全般に貢献――消費税なしでも不公平とならず

 また、消費税の転嫁は負担の公平性の観点からやむを得ないという議論もあります。このことについては、消費税の8%への増税時にも申しました。

 長期的に見れば、行政施設等はどの市民も活用する可能性があり、行政サービスもどの市民も利用し恩恵を受ける可能性が高いものです。また、住民が施設や行政サービスを活用して生まれる成果物は、地域の文化力を高め、地域のスポーツ力を高め、市民の健康維持につながり、地域に良好なコミュニティーをつくるなど、市民生活及び地域に広く貢献することになるものです。そのことを考慮すれば、使用料等に消費税を転嫁しないという選択をしても、市民に不公平は生まれないと考えます。

経済マイナス基調で市民生活に打撃

 3月8日の報道では、内閣府が3月7日に発表した景気動向指数の速報値で、景気がすでに後退期に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に基調判断を引き下げたとされています。また、東北財務局が3月12日発表した、1~3月期の法人予測調査も、景気判断指数が前月比16%減のマイナス14.7%、福島県内でも18.5%減のマイナス24.5%で、いずれも景気の後退への懸念が高まる結果でした。

 米中の貿易交渉が世界経済にマイナス要因となっていることは、すでに指摘をされてきたところですが、その日本への影響が示された形です。また、3月から6月にかけて、乳製品、アイスクリーム、カップ麺、ペットボトル飲料、家庭用冷凍食品などが相次いで値上げされる予定になっています。

 そして、今朝の報道では、景気後退の懸念を受け、2019年度春闘の主要企業のベースアップいわゆるベアは、前年水準を割り込む回答が相次いだとされ、ベア抑制が家計支出の重しになるとの報道もされていました。

 こうした中での消費税の引き上げは、市民生活を脅かす結果、個人市民税をはじめ本市の歳入にもマイナスになりかねない問題もあると考えます。

 政策総務常任委員会の審議で、納税証明手数料等は、この費用で事業をまかなうものではないため課税されないと説明されましたが、ひるがえって見れば、使用料等についても、その収入で施設の運営を全て賄うことができるものではなく、手数料同様、転嫁しない判断をして差し支えないものと考えられます。

 従ってこれら43議案の消費税増税分の引き上げ、そしてそもそも消費税の転嫁には問題がありますので、否決すべきと考えます。

■安倍政権がゆがめた自衛隊の役割

 次に、議案第79号平成31年度いわき市一般会計予算についてです。

 本案の問題点の一つは、2款総務費、1項総務管理費、14目諸費の自衛官募集事務費です。

 本事務費では、自衛隊の新規隊員の入隊を激励する激励会の開催がされます。先頃、本年度実施された激励会の報道がありました。これによると本年度新規入隊者等22人の参加のもと、出席者から激励の言葉が贈られ、入隊・入校予定者が一人ひとり抱負を述べたととされています。

 政策・総務常任委員会の質疑では、入隊・入校予定者の抱負の内容を確認しましたが、それぞれ東日本大震災で自衛隊に協力をいただいたことへの感謝とともに、自らも市民のため、また国のために役にたちたい旨の希望が話されていたといいます。

 しかし、現在の自衛隊がこの新規入隊者たちの希望に応えることができるのか。私には、否の答えしか見えてきません。これまでものべてきたように、安倍政権のもとで自衛隊の性格が大きくゆがめられたと考えているからです。

国民に受け入れられる自衛隊

 自衛隊は、朝鮮戦争という時代背景のもと警察予備隊として発足し、以来、保安隊、自衛隊と名称を変えてきましたが、その間、合憲性をめぐった議論が続いてきました。

 その中でも、自衛隊は国民に受け入れられてきたといえます。2014(平成26)年度に内閣府が実施した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で「自衛隊に対する印象」を聞いたところ、「良い印象」「どちらかといえば良い印象」が合計で92.2%で、「どちらかといえば悪い」「悪い」あわせて4.8%より、はるかに多くの好意的な回答が寄せられておりました。

 また、朝日新聞が昨年5月に実施した世論調査の自衛隊と憲法に関する設問でも、「違反している」が23%、「違反していない」が65%となっており、国民が一定自衛隊を受け入れている実態が浮き彫りになっています。

歴代政権は自衛隊の扱いに慎重

 こうした自衛隊と国民の関係に波風を生じさせているのが、安倍政権による安保法制だったと思います。

 歴代の内閣は、個別的自衛権に基づく専守防衛の自衛組織である自衛隊として、かつては「戦車」を「特車」と呼び、現在もそうですが巡洋艦、駆逐艦を「護衛艦」と呼ぶなど装備から軍事色を弱める努力をするなど自衛隊のあり方に慎重な配慮をしてきました。にもかかわらず、安倍政権は集団的自衛権の行使は可能という独自の憲法解釈を持ち出し安保法制を強行したのです。

 安保法制定以降、米軍輸送艦の護衛訓練などが実施され、治安が悪化する南スーダンには、同法に基づく駆け付け警護の任務を付与された自衛隊の施設部隊が派遣されてきました。

 そして今度は、エジプト東部のシナイ半島で、同国軍とイスラエル軍の活動を監視している多国籍監視軍に陸上自衛隊員2人を派遣する方針を政府が固めたと報じられています。安保法制によって付与される、新たな海外活動の初適用となるものです。

 この集団的自衛権とその憲法解釈に基づく安保法制が、改憲が必要と考える者も含め多くの憲法専門家をして憲法違反と指摘せざるをえない事態を生みだしているのです。私は自衛隊を職業として選択する方々を否定するものではありません。むしろ、「国の役に立ちたい」「人の役に立ちたい」という思いは立派なものだと思います。しかし、安保法制のもとの自衛隊に若者を送り出すことは、ある意味不幸なことと言わざるをえない状況になっていると考えています。

非核平和都市宣言からも問題あり

 「事業の成果が激励会につながり、今後の事務の円滑化につながる」と、激励会の意義が審議の中で語られていましたが、性格を変えた自衛隊のあり方は、恒久平和の願いを引き継いだ本市非核平和都市宣言の上からも問題があります。また、「人の役に立ちたい」という若者たちの善意と使命感を活かすという観点からも問題があるものと考えます。

 従って、激励会を開催して無条件に入隊を激励するための予算は計上するべきではないと考えます。



■市民が必要としない個人番号制度

 2つ目に、同じく2款総務費、1項総務管理費、7目企画費のうち地域情報化推進事業費に含まれる中間サーバー・プラットフォーム運用経費に係る交付金や、2款3項戸籍住民基本台帳費、1目戸籍住民基本台帳費に含まれる、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードの交付事業及び同カードによるコンビニエンスストアでの証明書交付事業費の問題です。

 これらはいずれも、個人番号制度を運用する上で必要な予算となっています。

 今議会に執行部は、本市の個人番号カードの発行率が今年1月1日現在わずかに9.8%にとどまっていることを明らかにしました。

 内閣府は昨年11月30日にマイナンバーに関する調査結果を公表していますが、この調査ではマイナンバーカードを「今後も取得する予定はない」という回答が53.0%に上っています。その理由は、複数回答で「身分証明書は他にある」が42.2%、「個人情報の漏洩が心配」が26.9%などとなっていましたが、「必要性が感じられない」という回答が57.6%もあったのです。

 この世論調査の結果から見れば、本市の交付状況はある意味当然の事態に見えてきます。報道では、交付実数を元にした全国のマイナンバーカードの交付率は昨年11月27日現在で12.2%に止まっており、調査結果以上に普及に苦戦しているのが現状だとしています。本市の交付は9.8%ですから、報道の評価以上の苦戦です。

 このように市民が必要としないマイナンバー制度を続ける意味があるのでしょうか。現状からは続ける意味がないという答えしか見い出す事ができません。

 3月8日に2018年度のサイバー犯罪の発生状況に関する警察庁の発表が報道されました。それによると、摘発は9,000件で過去最多が更新され、警察庁の担当者は「深刻な状況が続いている」とコメントしています。この中では、標的型のメール攻撃が14年に比べて約4倍に増えており、攻撃を受けたメールアドレスの7割がインターネット上に公開されていないものだったということも明らかにされています。

 政策総務常任委員会の審議では、カードの普及のためにカードの機能を拡大するなどの検討が進められているとされました。しかし、こうしたネットを通じた犯罪が増えている現実と、今後、民間も含む利用拡大が検討されているもとでは制度にかかわるシステム自体が外部に閉じたものであったとしても、情報漏洩のリスクは高まっていくものと考えざるをえません。

 質疑では、カードを持つことによって、申請などの際に関係書類の添付が省略されるなど利便性が高まるとされましたが、わずかの利便性と引き換えにリスクを拡大することが妥当とも思えません。

 本市は、こうした問題のある個人番号制度は中止することこそ国に求めるべきと考えます。

■消費税増税も歳入に

 3つ目に、歳入の13款使用料及び手数料、1項使用料等に消費税が10%に引き上がることに伴い引き上げられた使用料の歳入が措置されている点です。これについては先ほど消費税率の増税に関する条例改正案の部分でのべた通りですので詳細は省略させていただきます。

 以上、本案には3つの問題がありますので、廃案にするべきと考えます。

■資格証発行で命と健康に国保会計

 次に議案第80号平成31年度いわき市国民健康保険事業特別会計について申し上げます。

 本案の問題点の一つは、被保険者資格証明書の交付を継続することが前提の予算となっている点にあります。

 被保険者資格証明書、いわゆる資格証は、国保税を一定期間滞納した加入者に対し発行されてきました。当初は、病気の場合でもなかなか保険証が交付されない事態がありましたが、近年は、病気による申し出により短期保険証が交付され、取り扱いに一定の改善が図られてきています。

 改善については了とするものですが、それでも資格証が交付され続けることには問題があるものと考えます。

 全日本民主医療機関連合会が加入する病院や診療所を通じて毎年実施している「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」では、2018(平成30)年には、何らかの理由で治療が遅れて不幸にして亡くなった方は全国で77人でした。うち38人が無保険、資格証あるいは短期保険証で、保険証に何らかの制限が課された人たちでした。

 資格証の交付を続けることは、全国で起きている不幸な事態を引き起こしかねない状況を継続させることになります。納税相談と生活立て直し支援の仕組みを構築することで、保険証の交付をすすめ、資格証の発行をやめるべきと考えます。

 2つ目は、直診勘定の歳入に、「議案第27号国民健康保険診療所条例の改正について」に基づき、消費税増税に伴う歳入増が反映しており、先に述べた理由により問題があります。

■下水道料金値上げは問題

 次に議案第95号平成31年度いわき市下水道事業会計予算について申し上げます。

 本案は、11月定例会で可決された「いわき市下水道条例の改正について」に基づき、公共下水道料金を平均14.8%引き上げることに伴う歳入の予算措置がされたものです。

 下水道料の値上げには、11月定例会で渡辺博之議員が討論した通り、
一つには、経費回収率の平均値の算出方法や提案に至る経過を考える時にこれ以前の説明と齟齬があったこと、及び、かなり料金が高額になると思われる100%の経費回収率を目指しているなど、提案に至る理由に問題があること、
二つ目に、値上げが市民生活を圧迫する事、
三つ目に、観光交流人口回復の努力に水を差す、
という問題があり、否決すべきと考えます。

 以上、討論してまいりましたが、みなさんのご賛同をお願いして討論といたします。


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