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伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

体験型経済教育施設「エリム」でオープンセレモニー

2014年05月28日 | 学校教育
 震災後、カタールフレンド基金を活用して建設された体験型経済教育施設「Elem(エリム)」が完成し、カタール国のハリッド・ビン・モハメド・アルアティーヤ外務担当国務大臣を招いてオープンセレモニーが行われました。愛称の「エリム」はアラビア語で「教育」の意味なのだそうです。開式を祝った子どもたちは、「震災や原発事故で不安を感じている中、この施設ができることを喜び、楽しみにしていました。カタール国とジュニア・アチーブメントに感謝し、学んでいきたい」と英語と日本語であいさつしていました。



 この施設は、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本が提供するプログラムのうち、スチューデント・シティー(いわき市では小学5年生が実施)とファイナンス・パーク(同じく中学2年生が実施)を導入し、子ども達が仕事と消費、家計と契約行為などを体験的に学ぶ施設で、今年度から各学校が施設を活用した授業を展開することになっています。

 このプログラムはスチューデント・シティーの場合、各校の教室で8時間から10時間の事前学習を行った上で、エリムで労働と賃金の受領、賃金に見合った消費ができるよう家計簿をつけながら計画的に生活することを体験します。終了後には1時間程度のまとめの学習時間がとられます。

 またファイナンス・パークでは、収入に見合った生活設計をできる力を身につけるため、同じく事前学習と、光熱水量やローンなどの契約行為をエリムで6時間体験学習、事後1時間程度のまとめの学習を行います。

 ジュニア・アチーブメントは、これらのプログラムで「子どもたちが『社会の仕組みや経済の働き』を正しく理解し、自分の確たる意志で進路選択・将来設計が行えるよう、主体的に社会が自立していくための選択と意志決定力を育む」ことができるとしています。

 いわき市ではいずれのプログラムも総合学習の時間を活用して行うことにしており、大半の学校が参加することにしているようです。

 オープニング・セレモニーで清水敏男いわき市長は、「学んだ子ども達が日本と世界に羽ばたくよう願っている」とあいさつしました。またカタール国外務担当国務大臣は、「震災に心が痛みます。友人の被災は私達の被災と同じだからです。日本人は被災の中でも整然と対応し、特に東北の方々の粘り強さに敬服しています。私達は教育、スポーツ、経済など広い分野で協力しています。このエリムは子どもたちに素晴らしい成果を残すでしょう。今後も、素晴らしい友好関係が続くことを願っています」とあいさつしました。

 あいさつの通り、このエリムを活用して行われる学習プログラムが子どもたちの生きる力をしっかり育てることを願っています。そのためにも市議会文教常任委員会が、京都の「学びの街・生き方探求館」視察で学んだことを本市でも生かしていくことが必要だと思います。

 このプログラムを実行するためには、体験型の店舗として出店する事業所の協力に加え、子どもたちの体験を支援する保護者・市民ボランティアの参加が欠かせません。京都市では、保護者ボランティアに加え市民ボランティアを組織し、ボランティア参加者には市営バスや市営地下鉄の1,000円の回数券を交付し、交通費だけですが活動支援をしているというのです。また、子どもたちが施設を利用する際の借り上げバス代も予算化し、施設利用にあたって新たな負担が生じないようにしている、と言っていました。

 費用負担の件はこれまでも取り上げてきたのですが、ボランティアの交通費については保護者は「子どもたちとバスで来ることになると考えているのでかからない」、市民ボランティアは「今年の夏休み期間中に募集したいと考えており、交通費については検討したい」、また子どもたちの借り上げバス代については、当初は「遠足などと同じく保護者負担」としていましたが、今年2月の委員会では「総合学習の時間で行っていた他の行事の振替になり、新たな負担はかからないと考えているが、実態は調査をしてみたい」としていました。

 いくつかの学校で聞いてみると、「別の行事の中止でバスの利用が減ることはなく、体験型施設の利用でバス負担が新たに増えることになります」といいます。学校によると思いますが、新たな負担が生じることが明らかですし、そもそもバス代を市側が用意することにしていれば、従来、バスを利用してきた学習内容を削らずに、安心してエリムでの体験型教育を利用することにしたのではないか、と疑問もわいてきます。

 また、平地区で比較的施設に近い学校は徒歩での利用が可能なようで、近隣学校と距離のある学校では保護者の負担に格差が生じることにもなっています。こうした事も踏まえて、新たな負担を生じさせないよう市が予算をしっかりつけることが今後の課題になるでしょう。

 私自身の6月定例会の課題としています。


 


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