災害公営住宅に入居している津波等被災者のうち入居基準の収入を超える入居者が、市の独自減免の対象外になると同時に、国の基準で割増家賃(近傍同種家賃=近傍の同程度の賃貸住宅と同程度の家賃)となり、退去努力が課せられることから、家賃が大幅に上昇すると、被災者の間で問題になっていました。一つのモデルケースでは、これまで4万8,900円が11万6,500円まで値上がりしてしまうのです。
昨年の12月定例会の一般質問で、市は「対応を検討したい」としていましたが、今月29日に対応策について会派に対する説明が行われました。
「市独自の災害公営住宅家賃減免制度の拡充について」という説明資料によると、「平成32年度までに収入超過者として認定される方に対して、近傍同種家賃までの引き上げ期間を延長することにより、現行制度の各年における割増後の家賃を改装に応じて減額する激変緩和措置を講ずる」としています。具体的には収入区分が7段階、8段階の入居者に対して2年間だけ減額の期間を新たに設けることによって、近傍同種家賃となる期間を延長しようというものです。
この新制度の対象となる収入超過者は、3年間で258名となる見込みで、総額でおおよそ2億円、来年度は3,300万円の予算措置が必要と見込んでいるといいます。
新たな制度が検討されたことは評価されるとしても、これが被災者の声に沿うものかというと、そうは言えません。
1月28日に、災害公営住宅の一つ内郷砂子田団地の集会所で、市議会議員有志が呼びかけた「災害市営住宅の家賃などについて考える議員と住民の意見交換会」が開かれました。会場には40名ほどの被災者が姿を見せ、志帥会と共産党市議団の所属議員9名が出席しました。
意見交換会でいわき明星大学教養学部の高木竜輔淳教授は、2年前に実施した災害公営住宅入居者へのアンケート調査を踏まえ、高所得層がコミュニティ形成に比較的大きな役割をは対しており、団地から流出することで、コミュニティ維持や団地生活への対応が難しくなる可能性があるなどと説明しました。
住民からは、「災害公営住宅のコミュニティ形成が大変で、個人の経済的利益のみでなくコミュニティ形成に必要な家賃充実を望みます」や、「これまで2回引っ越し、災害公営住宅を3年でまた引っ越さなければならないのは、経済上も、精神上も機微いしい。子どもの教育にお金もかかり、その返済途上にあるため、すぐに家を建てられる状況にない」「引っ越し先を探してみたが、アパートが見つからなかった。な引っ越せば子どもの転校が伴うことになるし、親の介護にお金もかかっている状況があり、引っ越しは無理と思っている」などの意見とともに、「震災の痛みは5年たっても、10年たっても忘れることはできない。被災者もやっと生活が安定したところ。もう少し被災者に寄り添った行政を望みたい」などの要望が語られました。
今回の新たな措置は、こうした住民の声に応えることになっているとはいいがたい内容です。あらためて新制度の内容をご覧ください。
新制度の説明の中で土木部の担当者は、「住宅政策としては何がいいか」の観点から、今回の新制度を検討してきたといいます。
しかし、震災被災者への対応は、住宅政策の観点より、復興政策にかかわる重要な問題であり、津波被災地の復興の観点から近傍に災害公営住宅を建設したり、津波被災地に区画整理事業を起こし基盤整備を図ってきたこと、また住民のコミュニティ形成に取り組むことなどを通じて、被災者と被災地の復興に取り組んできたことを考慮するならば、収入を超過することをもって家賃を引き上げ、現時点で収入超過者に退去を求めるような施策は、復興政策に逆行するものと言わざるを得ません。
制度の検討は、住宅政策を担当する土木部でされたようですが、むしろ市長が被災者と被災地に寄り添った復興政策の観点から、より充実した制度を判断すべきものと思えます。
この制度は、来年度予算案の中で審議されることになります。しっかりとした論戦の準備をしなくては。
昨年の12月定例会の一般質問で、市は「対応を検討したい」としていましたが、今月29日に対応策について会派に対する説明が行われました。
「市独自の災害公営住宅家賃減免制度の拡充について」という説明資料によると、「平成32年度までに収入超過者として認定される方に対して、近傍同種家賃までの引き上げ期間を延長することにより、現行制度の各年における割増後の家賃を改装に応じて減額する激変緩和措置を講ずる」としています。具体的には収入区分が7段階、8段階の入居者に対して2年間だけ減額の期間を新たに設けることによって、近傍同種家賃となる期間を延長しようというものです。
会派説明資料
この新制度の対象となる収入超過者は、3年間で258名となる見込みで、総額でおおよそ2億円、来年度は3,300万円の予算措置が必要と見込んでいるといいます。
新たな制度が検討されたことは評価されるとしても、これが被災者の声に沿うものかというと、そうは言えません。
1月28日に、災害公営住宅の一つ内郷砂子田団地の集会所で、市議会議員有志が呼びかけた「災害市営住宅の家賃などについて考える議員と住民の意見交換会」が開かれました。会場には40名ほどの被災者が姿を見せ、志帥会と共産党市議団の所属議員9名が出席しました。
意見交換会でいわき明星大学教養学部の高木竜輔淳教授は、2年前に実施した災害公営住宅入居者へのアンケート調査を踏まえ、高所得層がコミュニティ形成に比較的大きな役割をは対しており、団地から流出することで、コミュニティ維持や団地生活への対応が難しくなる可能性があるなどと説明しました。
住民からは、「災害公営住宅のコミュニティ形成が大変で、個人の経済的利益のみでなくコミュニティ形成に必要な家賃充実を望みます」や、「これまで2回引っ越し、災害公営住宅を3年でまた引っ越さなければならないのは、経済上も、精神上も機微いしい。子どもの教育にお金もかかり、その返済途上にあるため、すぐに家を建てられる状況にない」「引っ越し先を探してみたが、アパートが見つからなかった。な引っ越せば子どもの転校が伴うことになるし、親の介護にお金もかかっている状況があり、引っ越しは無理と思っている」などの意見とともに、「震災の痛みは5年たっても、10年たっても忘れることはできない。被災者もやっと生活が安定したところ。もう少し被災者に寄り添った行政を望みたい」などの要望が語られました。
今回の新たな措置は、こうした住民の声に応えることになっているとはいいがたい内容です。あらためて新制度の内容をご覧ください。
新制度の説明の中で土木部の担当者は、「住宅政策としては何がいいか」の観点から、今回の新制度を検討してきたといいます。
しかし、震災被災者への対応は、住宅政策の観点より、復興政策にかかわる重要な問題であり、津波被災地の復興の観点から近傍に災害公営住宅を建設したり、津波被災地に区画整理事業を起こし基盤整備を図ってきたこと、また住民のコミュニティ形成に取り組むことなどを通じて、被災者と被災地の復興に取り組んできたことを考慮するならば、収入を超過することをもって家賃を引き上げ、現時点で収入超過者に退去を求めるような施策は、復興政策に逆行するものと言わざるを得ません。
制度の検討は、住宅政策を担当する土木部でされたようですが、むしろ市長が被災者と被災地に寄り添った復興政策の観点から、より充実した制度を判断すべきものと思えます。
この制度は、来年度予算案の中で審議されることになります。しっかりとした論戦の準備をしなくては。
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