イギリスはやっぱりマズい

イギリス生活の不満を世界の裏側で叫ぶ

"Sorry"の重み

2005-01-29 16:50:54 | イギリス人てこんな人々
 イラクの邦人人質事件(一部では「三馬鹿」と呼ばれている)について語り合った時、友達が「(人質の家族が)日本の場合何があっても絶対最初にしなきゃいけない『謝罪』をしないで政府批判したりしたのが完全に反感かったよね」と言っていて、まったくそのとおりだと思った。

 日本人はなぜか、悪いと思ってなくても頭をさげたり「すみません」と言うことが義務みたいになっている。「必要以上の敵意は持ち合わせていません」という「お断り」みたいなものなのかもしれない。むしろ相手の悪さを批判する時でも、ストレートに「これ間違ってます」と言わず「すみませんが、これ間違ってるんじゃないでしょうか」と言う。
 日本人が一生でもっとも多く口にする言葉は「すみません」だそうだが、さもありなんである。


 しかし、わりとよく知られていることだが英国人はなかなか「ごめんなさい」を言わない。
 英語で言うと"sorry"とか"apologise"(※"apologize"は米語のつづり)だが、謝罪をしたら自分の権利を侵害されるとでも思っているようだ。
 そういう教育をされてきたのだろうと思う。
 別にそれを悪いと言っているのではない。日本人は確かに「すみません」を連発するが、心のそこから謝っているかというと疑問な場合も多いからだ。


 イギリスに来た時英語の家庭教師と「苦情の言い方」のロールプレイをした。日本人の考えを直訳して「Excuse me, I'd like to complain...」と言ったら怒られた。
 "complain"(苦情を言う)は文句なのであり、"would like"という丁寧語は必要ない。「"would like"はたとえば"紅茶をいただけますか?"というような時に使う表現よ。そんなのを文句いう時使ってどうするの」と。あなたは苦情を言う権利があるのだからもっと怒ったように強い調子で言いなさい、でないと相手は言うことを聞いてくれないわよ、と。
(それで私は、机をバンバン叩いたり声をあらげたりする演技や、「○日以内にしてくれないと○○する」などの脅迫の仕方を教わった)
 この演技があれば苦情が聞き入れられるかというと勿論保証の限りではないのだが、少なくともしたてにでながら言う苦情よりは処理速度が速まることは間違いない。


 こっちの新聞にも、経営破たんしてそろって頭さげてる日本企業の経営者の写真がよく載るけど、こちらではやっぱ相当ヘンに映るんだと思う。
 英国だってヘンな国だけどね。
 そうそう、よく回送中のバスの行き先表示に「Sorry, we're not in service」と書いてあるけど、あれはsorryといいながら全然謝ってないからね。