イギリスはやっぱりマズい

イギリス生活の不満を世界の裏側で叫ぶ

ニュースダイジェスト

2005-03-28 07:21:56 | イギリス暮らし
ロンドンに住んでいない人にとっては何のことやら…というネタですが。

ここ数週間、ニュースダイジェストの配信が止まってます。
以前関わったことがあるので、多少何が起こっているか想像はできるのですが。

もちろん、確実なことは言えませんけど、いろんなロンドン関係の掲示板での書き込みを読んで、世の中には知らないことでも知っているかのように断定的に書く人が多いんだなあと改めて痛感してしまいました。
廃刊になったと決めつける人はまだしも、そうと決まったわけでもないのに、「カネ返せ」と叫ぶ人。まあいろいろです。
数年前にも経営者に関していろいろ起きましたが、それでも休刊したことはなかったので、今回の問題は大きいのだとは思いますが…

日本企業からの広告収入でやっているフリーペーパーにとって、日本の不況と日系企業撤退は大きな打撃です。小さなチーズをジャーニーと分け合っている状態です。それでも、彼らは「日本人コミュニティのお役に立てれば」と思って頑張っていると思います。
批判もいろいろあることは承知の上でしょう。
叱咤激励しつつ、あたたかく見守ってあげてはどうかと思います。
手前味噌ですけど。

どら息子

2005-03-24 18:43:02 | イギリス人てこんな人々
 大体2代目はどら息子(どら娘)という偏見は英国にもあるようで。

 日本の企業はどうだか知らないが、英国の企業経営者の世襲はまず考えられない。日本より株主がやいやいうるさいからというのもある。
 そういうわけだから、衛星放送のBスカイBのCEOに、会長であるメディア王ルパート・マードック翁(オーストラリア人)の次男ジェームズ(写真)が指名された時、英国は「なんでじゃー!」と騒然となった。彼は香港の衛星放送会社スターTVなどでそれなりの経歴を積んでいるらしいのだが、「英国じゃそんなに甘くはいかないぞ」と誰もが鼻で笑った。
 彼がトップになって最初の決算の内容も悪かった。株価は前日比20%超急落した。
(株を知らない人のためにいうと、株価は動いても大体1-2%程度のことが多い。10%動くと相当すごい)

 しかし、私はそんなふうに客観的になれない。
 なぜなら、顔が好みだからだ。
 だめだ。だめなのである。
 眼鏡コンプレックスでありかつスーツコンプレックスの私はあの顔に抵抗できない。

 彼は確か30代そこそこだ。決算会見に行った人によると、「なんかさー青いって感じだね。プレゼンも一応上手なんだけど、いちいち"..., right?" "..., right?"って言うんだよ。若者言葉だよね~」と言っていた。
 それすら、かわいい。かわいくて仕方ない。

 この場合の"right"は、「~~~~というわけです。いいですか?」とか「お分かりですか?」という意味である。英国人は付加疑問文を多用するが、「今日は水曜日ですよね」と聞く場合普通なら「Is today Wednesday?」というべきところをよく「Today is Wednesday, right?」と言ったりする。それと似ている。

 アメリカの会社と仕事をすることの多い友達は、ヒュー・グラントの英語を聞いて「なんでこの人何度も何度も"Right"って言うんだろ、口癖かな」と思ったそうである。が、この場合のrightは単なる相槌であって別に口癖というわけではない。むしろ、アメリカ人って言わないのかな~。

 それにつけてもジェームズ、かわいい。

ロンドンのイスラム

2005-03-17 10:13:42 | イギリスの風景
 実家から救援物資が昨日届いたのだが、ポーターがいない時に来たらしく不在通知が入っていた。薬も入ってたので早くほしくて、今日えっちらと取りに行った。


 ロンドンは日本と違ってすべての通りに名前がついており、名前とポストコード(郵便番号)が分かれば、London A to Zという詳細な地図を片手に確実に住所にたどり着くことができて便利だ。長期滞在者にとってこの地図は必需品である。
 だが、ひとつ落とし穴は、かなり長い通りだと通りのどのへんにその番地が当たるのか推測できないことがあること。その場合は実際に通り沿いを歩いて探すしかない。
(このへん、映画「ラブ・アクチュアリー」を見た人はくすりと笑えるはず。彼女の住まいの通りの名前しか知らなかったヒュー・グラントが、番地が分からないために往生するシーンがある)


 郵便局は206 Whitechapel Roadとあった。地図を見ると、その通りはAldgate Eastという駅から続いている。バスでまずAldgate駅まで行き、そこから歩くことに。Aldgate East駅までは歩いて2分ほどである。
 ところが、Aldgate East駅からWhitechapel Roadを探し当てたものの、その番地は70であった…まだまだ先じゃん!
(もうひとつちなみに言うと、番地は通りに沿って奇数と偶数に分かれている。たとえば、20番の隣の番地は18か22番である)


 その辺はBrick laneというパキスタンやバングラデシュ人街。安くておいしいインド料理屋の並ぶ地域として有名。イスラム風の人々でごった返しており、ふと見ると東ロンドン・モスク(イスラム教徒の礼拝堂、写真)まであった。
 結局206番はWhitechapel駅のほぼ向かい側にあった。私は一駅歩かされたというわけだ。


 Whitechapelは昔、19世紀末、ロンドンを震撼させた殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」(切り裂きジャック)の連続殺人事件が起きた場所として有名。今でも治安の良い場所とはいえないし、なんだかゴミゴミしている。活気があっていい、家賃も安い、と日本人留学生も結構住んでいるらしいが、私はあまり好きじゃない。
 英国人は、日本人が飲み会の後ラーメン屋で締めるように、カレー屋かケバブ屋で締めるのが普通。だから、Brick Laneは飲み会の後には便利なんだけどね。

You're gonna carry that weight.

2005-03-16 18:04:56 | イギリスの音楽
 朝目覚めてからずーっと、

You never give me your money (君は金をよこさない)
You only give me your funny paper (君がくれるのはヘンな紙切れだけ)
And in the middle of negotiations, you break down (ちゃんと金をくれと話を始めると、すぐに泣き落としに入る)

(ここで変わって)
Boy, you're gonna carry that weight, carry that weight a long time(君は重荷を背負って生きていくんだ、これからの長い人生を)


と歌いながら泣いておりました。なにしてんだ。


 昨日見たアニメ「Cowboy Bebop」の(悲しい)最後に「You're gonna carry that weight.」と書いてあり、それ以来The Beatlesの"Carry that weight"が頭から離れないのだ。それも哀しい気持ちの。
 で本来であればその曲だけ回ればいいのだが、最後のオリジナルアルバムとなった69年作の"Abbey Road"(ロンドンの通りの名前。何度も行ったことあり)ではそこからYou never give me your moneyに続くので、つい続けて歌ってしまうというだけなのだが。

 いや、しかしこのGolden Slumber~Carry That Weight~The Endのたたみかけはいつ聴いても背筋が寒くなるほど感動的だ。
 洋カラ仲間によると、あのB面(さすが、レコードで聴いていたリアルタイム世代である)は「もうメンバーの心は離れてしまったが、最後だからと力を振り絞った感じが曲にも表れていて切ない」そうである。そうか、そういう意味でも、最後に「You're gonna carry that weight.」と入れたのは秀逸だったかもしれない。


 趣味でちょっとした短編小説も書くのだが、音楽を聴いて思いつくネタが多い。私にとって音楽は、創作手段である文章とは切っても切れない関係にあるようで、親和性が高い。音楽を聴いて生まれた創作のことは、音楽を聴くと必ず思い出す。Carry that weightも(自分の創作ではないにしろ)これからずっと悲しい気持ちを思い出すものになるのだろうか。



(蛇足)
 正確に言うと、Carry that weightの一部にYou never...のメロディが挿入されている形なのだが、その部分の歌詞はオリジナルのYou never...とは異なっている。私はオリジナルのYou never...の歌詞をCarry that weightにくっつけて歌っている。と書いて果たしてどれだけの人が理解してくれるのか?)
 もうひとつうんちくをたれると、歌詞に出てくる「君」とは恋人のことではなく、マネージャーのアラン・クレインのこと。長くメンバーと蜜月時代をすごした糟糠の?マネージャー、ブライアン・エプスタインの自殺後後任となったが、メンバーと折り合いが悪かった。

「たぶん」と「まぁね」

2005-03-15 00:23:39 | 英語気づき
 引き続き英語の話。単語としては難しくないけど使い方が難しい英語について。

 知人(日本人)の娘さんと会う機会があった。
 娘さんは小学校にあがったばかりと6年生。こっちの学校でイギリス人と4年以上学んでたので、どっちかというと英語の方が楽らしい。英人に言わせると「私よりロンドンアクセントだ!」そうだ。子供は耳がいいしのう。

 ネイティブが結構よく使う表現に「sort of」(「まぁね」「ちょっとね」「そんな感じ」)というのがあるが、それも使えてたし…私なんかそれ使えるようになったの来て3年後だよ!
 って話をしたら、同僚(ちょっと日本語しゃべる)が「私が使うの難しい日本語の常套句は『さぁ…』よ」だそうな。そんなものか。
 日本人て判断を保留することがよくあって、その時に「さぁ…」ってすごく便利な表現だけど、英語圏ではあまりそういう時はないからぴんとこないんだろうな。

 英語をある程度習った日本人が使いたがるあいまい表現に「so-so」(まぁまぁ)とか「maybe」(たぶん)というのがある。so-soは判断を保留する=判断を逃げる、というニュアンスなので、「はっきりいえないのには何かあるんだろう」と勘ぐられてしまうことがある。
 それと、maybeは「たぶん」と訳されるが、実は日本語のニュアンスよりすごくあいまいだ。「そう、かもしれないけどさ…」という感じ。だから、「どっちなんだよ!」と思われても文句は言えない。確率が高いなら、「probably」を使ったほうがしっくりくるし誤解も受けない。


 これが「maybe」だよ、と思う歌詞をひとつ。

I've got two tickets to Iron Maiden baby
Come with me Friday, don't say maybe (Wheatus / Teenage Dirtbag)

(ねえ、アイアン・メイデンのチケットを2枚持ってるの。金曜日、いっしょに行かない? 
「ま、行くかも、ね」なんて言わないでね)

英国人は「クイーンズイングリッシュ」を話さない

2005-03-14 14:50:44 | 英語気づき
 英国というと日本人は「わー、いいよねえ、クイーンズ・イングリッシュでしょ」と言う人が多い。
 が、正確に言うと女王のしゃべってる英語と、BBCのアナウンサーやら普通の英国人の話すきれいな英語とはちと違う。女王に限定しなくても、女王を含めたアッパークラス(上流階級)の英語は違うのである。
 外人としてはアッパークラスの英語を話すメリットはないので、普通の「英国人の英語」について述べてみたい。


 「間違えたら問題になるイギリス英語とアメリカ英語の違いは?」と聞かれることもあるが、そういうのはないと思う。イギリス人もさすがにハリウッド映画などでアメリカ英語に慣れているからである。
 ただ、問題にはならないが失敗になることはある。
 外人がよくやってしまうのが、地下鉄に乗ろうとして地下道を歩いてしまうこと。つまり、
米:subway(地下鉄)←学校教育ではこっちを習う
英:subway(地下道)、underground(地下鉄)
 なのである。

 一応知っておいた方がいいんじゃないかなと思うのは、billとchequeだろう。
 店で「お勘定を」というときアメリカ英語ではCan I have a check?というが、イギリスではcheck(正しくはchequeとつづる)というと勘定書のことではなく通常は「小切手」のことなのだ。だから、イギリスではCan I have a bill?というのが正しい。こっちでよく「Can I have a check?」といっている日本人を見ると、通じることは通じるが、ちょっと悲しくなる。

 ほかにもこんなのがある。

・have got
 英国では現在完了形を結構好む。「持っている」の意味でDo you have..?を使うことはあまりなく、Have you got...?という。

・queue(キュー)
 名詞(「列」の意味)でも動詞(「列を作って待つ」)でも使う。たとえば、
 英:Are you queuing?
 米:Are you waiting in line?

・lovely
 「愛らしい」という意味もあるだろうが、普通は「fine」とか「great」の意味。
 銀行などで書類を提出すれば「lovely」。天気がちょっとばかりよくても「Lovely weather, isn't it?」(お天気いいわね)。なんでもlovelyである。
 ちなみにイギリス英語は付加疑問文も結構好き。「isn't it?」は早く言うと「イズニ」に聞こえる。

・football
 サッカーのこと。でもアメフトのことはちゃんとAmerican footballという。

・Z
 英:「ゼット」
 米:「ズィー」
 意外と知られていない。

・石油
 英:petrol
 米:gas

・can't
 英:カーント、と発音(これも場合によるが)
 米:キャント

・茄子
 英:aubergine(オーバージーン)
 米:egg plant
 こっちでクイズ番組の問題になってたくらいなので、egg plantの意味を知らない英国人は結構いると思われる。


 発音は、アメリカ英語ほど舌を巻かないのが普通(地域によって差はあるので念のため)。日本人に言わせると、アメリカ英語よりジャパニーズイングリッシュの発音に近いように聞こえる。が、かといってやはりジャパニーズとは違うので、油断して発音するとかけ離れたものになってしまうので注意が必要。
 だから、かえって母国語との差がはっきりしているアメリカ英語の方が発音しやすいという人もいる。

グラスゴーへの旅(最終回) --スコットランドは英国だった

2005-03-08 17:51:14 | イギリスの風景
 後ろのピンク色の3人の猛抗議を尻目に、英国暮らしの必須能力=諦念を発揮し、それでも呆然とそばのカフェにふらふら向かう私であった。
 時間は午前11時。
 約束の時間午後5時45分までは7時間近くあるのだ。
 それに、乗れるかどうか保障できないときた。

 私はそもそも暇をつぶすのが大の苦手である。
 1人になるときは必ず、暇にならないようにiPod miniと文庫本(か新聞)を持ち歩く。
 もちろんこの日も両方用意していた。が、iPodは電池に限りがあるし、文庫本だって読んでしまえば終わりである。それに私は読むのが結構早い。再読もほとんどしない。


 朝気がせいて早くホテルを出てきたために、朝食はろくにとっていなかった(酢入りのサンドイッチ除く)ので、仕方なくカフェでスコティッシュ・ブレックファストを頼む。スコティッシュと言っても、ほとんどイングリッシュと変わらない。
 私はベークドビーンズが大・大・ダイキライなので、盛り付けないように頼むと、思い切りスコティッシュアクセントのやる気なさそな姉ちゃんは怪訝そうな顔をしながら、干からびたようなベーコンとポロポロすぎるスクランブルエッグを頼りない手つきで皿に盛った。
 ベークドビーンズを要らないと言ったんだから、その分ほかのものを多めにしてくれてもいいのに気の効かない姉ちゃんだ。


 レジの担当は気のよさそうなひょろい兄ちゃんだった。
 おつりを返してくれたのはいいが、どうもお札の色合いに見慣れないものが…と思ったら、スコットランドのお札であった。そう、スコットランドにも実は中央銀行があって、独自の通貨が流通しているのである。それも、何行かの銀行が複数種類出しているものだから、日本人が通常「イギリスのお金」と思っているお札が何種類もあるのだ。
 スコットランドはもちろん、イングランド同様英国なので、スコットランドのお金だって英国全土で通用するはずなのだが、実際にはそうはなっていない。ロンドンでは間違いなく、スコットランドのお札は嫌がられる。法律違反だろうけど実際問題そうなのだ。

 実は前日、ATMでお金を下ろしたときも出てきたお札がスコティッシュノート(お札)であった。げっ、と思ったが、昨日はその後ここにいる間に使えばいいやと思ったし、実際そうしたので、この時手元にあったのはすべてイングランドのお金であった。
 しかし、これから私はまっすぐロンドンに帰るのだ。使う機会は当分来ない。

 「イングランドのお札でください」
と言いたい。
 言えるだろうか。
 このおにいちゃんが実はすごいスコットランドに誇りを持っている人だったら、怒るかもしれない。その誇りを傷つけたくはない。
 私は別にスコットランドを蔑視しているわけではない。そんなことができるはずがない。なぜなら、私はイングランド、スコットランド、アイルランド、ウエールズの四つ巴の血塗られた闘争からは蚊帳の外にある単なるガイジンなのだ。そんな意図などもてるはずがない。単に、ロンドンに住んでいて、使うのに支障があるからというだけの理由なのだ。
 それをこの人に分かってもらえるだろうか。


 私は恐る恐る、そんな血塗られた歴史のことなんて知らない無邪気な観光客の仮面をかぶって言ってみた。


 「あのう、イングランドのお金でくれませんか?」
 「いいよ」

 兄ちゃんはあっさり、見慣れたお札を何枚かくれたのだった。
 な、なんだ…
 やっぱり、ガイジンのたわごとはどうでもいいらしい。


 はあ、とため息をついて禁煙席に座る。
 料理は美味しいとは言えない。
 そこで思いついた。電車で帰るってのはどうだろう、と。
 すぐに、携帯でロンドンの友達に電話して、事情を話して電車の時刻と所要時間と料金を調べてもらった。確か、グラスゴー・セントラル駅からVirgin Trainが出ているはずである。
 しかし、友達の調査結果はこうだった。
 「えっとね、Virgin Trainだと乗り換え3回でロンドンに4時間半で着くよ。…でも、当日料金だから100ポンド越えるね」

 …100ポンド。100ポンドはデカい。それでなくてもここに来るだけでも予定外の出費なのである。
 次の飛行機に乗るのでさえ追加料金40ポンドいるってのに。
 私は電車をあきらめ、覚悟を決めてバゲージ・クレームの場所へいき、一番すみのソファに陣取った。そのソファは布ばりで、体温は奪われないし、3つ続いているのでごろんと横になることが出来る。不幸中の幸いだった。

 買ってきた新聞もあらかた読んでしまい、文庫本も読み終え、音楽にも飽きた。
 そこで昼過ぎ、懸案のニューカッスル対チェルシーのサッカーの試合が始まったのだった。


 実は、私が朝早い飛行機で帰ろうと思った理由がこれだった。予定通り昼くらいにロンドンに着けば、夕方のサッカーの試合に間に合うはずだった(自宅観戦だが)。
 しかし間に合わなくなってしまった以上は仕方ないので、携帯でサッカーサイトに15分おきくらいにアクセスし、成り行きを見守ることに。
 ところが、なんとわがチェルシーは開始早々1点入れられてしまったのである。
 得点を見た時、わが目を疑った。
 ニューカッスルなんかに、こんなに早く入れられるなんて!

 15分おきくらいにアクセスし、じりじりしながら同点ゴールを待つ私。
 しかし、結局それはならず、チェルシーはFAカップから脱落してしまったのだった…
 実は後で聞いてみると、壮絶な試合だったらしい。けが人は出る、退場で1人減る、雪でピッチはドロドロ…「ヒナキさん見なくて良かったよ」と言われたほどだった。でも、いまだに「私が見なかったから負けたのかも」と少し思っている。


 神経質な私はどうもそんな場所では眠れず、結局目をつぶっていたのは1時間ほど。
 暇で暇で死ぬそうになりながら、なんとか約束の時間がきた。
 少し待たされたが、無事6時過ぎの便に乗れ、夜にロンドンに着いたのであった。
 「次の便に乗れます」といわれた時、例のピンクの3人組はガッツポーズをして喜んでいた。あのう…そもそも、7時間待たされた時点で収支は大赤字なんですが? そんなにうれしいですか?と思った。しかし、さっきのことはころっと忘れて「今この刹那を楽しむ」能力が、英国人の強みなのかもしれないと思った。

 その3人は、乗り込む時すれ違いざまに意味ありげな微笑を送ってきた。
 どうもこんなところで、妙な連帯感が生まれたらしかった…。

(終)

グラスゴーへの旅(2) --スコットランドは英国だった

2005-03-07 12:53:41 | イギリスの交通機関
(ちょっと間あいちゃってすみません)

 空港行きの8時48分の電車を待つ私。
 しかし、その前の42分のがまだ来ない。

 だだっぴろいグラスゴー・セントラル駅構内でじりじりと待つ私(たち)。
 そして、折り返すべく電車が入ってきたのは15分くらいも後のことでした。
 しかしそれは、当然42分に出るはずの1本前の電車です。私たちの乗るべき電車は、次に入ってくる電車のはず。
 ああまだ待つのか…とため息をつく私たち。乗務員たちは楽しそうに談笑しながら電車に乗り込んで行きます。電車が遅れようが、決して彼らにとっては自分たちの責任ではないのですから…!!!

 ところが、いい加減なことに、その電車の行き先がぱたりと変わり、空港行きになったではないですか! そんなのあり!?と思いつつも、好都合なのでいっせいに乗り込む私たち。10人くらいもいたでしょうか。
 かくして、結局空港行きの電車は予定を20分も遅れて出発しました。


 これですんなり進んでくれれば間に合うはず。
 しかし、来た時は20分くらい遅れたので、今回も20分遅れるとするとギリギリです。
 でもそれを考えても仕方がありません。私が気をもんでも電車が猛スピードで走ってくれるわけではないのです。そんなことをいちいち不安がっていては到底こんな国で暮らしていけません。
 私は明鏡止水の心境になり、iPod miniでHuman Leagueを聴き始めました。


 途中までは、すんなり進んでいました。
 が、そのうちやっぱり速度がスローダウン…そしてとうとう、途中の牧草地帯で止まってしまいました。
 車内アナウンスは「離合する対向列車が遅れているのでここで待ちます」とのこと。
 数分の予定が、数十分になり…


 結局、飛行機が10時50分発のところ、最寄のPrestwick空港に着いたのは10時40分でした。
 これじゃ無理です(涙)
 スコットランドといえども、英国なんだということを痛感…。


 次の便になんとか乗せてもらおうとチェックインカウンターに行くと、そこはもぬけの殻で、一人女性が残務処理をしているだけでした。どうもこの空港にはライアンエアしか通っていないらしい。その人に聞くと、ちょっとだけ気の毒そうな顔をされて(実は彼女はこの後のワタシの運命を知っていたからなんですが…)、ほかのカウンターを教えてくれました。
 この日の荷物は小さなリュックだけだったので、小回りは効きます。

 さて、カウンター。これもライアン専用なのですが、空港全体が工事中ということもあってか、まるでベニヤ板の掘っ立て小屋のような施設です。
 遅れたのはライアンのせいじゃないし、いろいろ理由をつけたとしても彼らが謝らないのは分かっているので、ごく普通のことのように
 「ロンドン行きに間に合わなかったんです。電車が遅れて」
と言いました。すると、カウンターの女性は私よりもっと普通の表情でこう言いました。

 「次の便はeighteen fiftyになります」

 …今なんと?
 えいてぃーーーん・ふぃふてぃ??
 (本当に鸚鵡返しに言った私)

 それは夕方の6時50分ということですか?
 今11時なんですが??
 夕方まで満席なんですか!?!?

 「待ちリストに登録しておきますが、あなたは5番目です。乗れるという保証はできません。では6時15分前に来てください」

 もちろん、電車が遅れたのはライアンのせいではないので、ソーリーのソの字も「お気の毒に」という色もなんもなし。
 私の後に続いたピンク色の服を着た3人組の女性は、達者な英語(まあイギリス人だから)でかみついていたが、どうなるものでもありません。


 呆然としながら一度はカウンターを去った私、そういえばその夕方の便までにキャンセルがあったら乗せてもらえるかもしれないじゃんと思い、もう一度引き返して聞いてみました。
 「ですので、それは6時15分前にならないとこちらでは分かりかねます」
 な、なんでよ? ともう一度説明しかけて気づいたこと。
 まさかとは思うが。
 「まさか、10時50分の次の便が18時50分…とか」
 こっくりうなずくライアンエアカウンター係。

 ・・・・・・・・・・・

 えええええーーーーーーー!!?!?!?

(まだ続く)