本当は帰りたかった。クリスマスイブと浮かれたいわけではない。今日はヤンの一周忌、あいつの好物、柿とビーフジャーキーをつまみにしんみり飲んでやるかと思っていた。柿のつまみじゃ、飲む前から熟柿の匂いがして下戸なら酔うかもしれないなんて馬鹿な事まで考えた。
ヤンの柿好きについては何回も書いたが、2~3日なら柿だけで暮らせたんじゃないかと思う。何時だったか、初冬に植木屋を呼んだ事があった。最終日は時間が余っていたので、母では絶対に採れないてっぺんになった柿を取ってくれるよう頼んだ。植木屋は『判りました。縁側のカゴに入れておきます』と引き受けてくれた。
彼が帰った後、母はカゴが空な事に気付き『やだわー。植木屋さん、柿採るの忘れてる』とぼやいていた。翌朝、久しぶりなので張り切ってヤンと海まで散歩し、帰って餌をやろうとした。あれ?残っている。気まぐれに偏食(たまーにあるものを食べなくなり、しばらくするとまた食べ出す)なのでドッグフードを残すことはあったが、今回ほとんど手をつけていない。気が変わるかと新しいのを入れてやったが見向きもしない。
食欲は無いが元気は一杯なので、とりあえず絶食させて様子を見ることにした。しばらくすると庭で母の叫び声が聞こえた。『なにー、これ?!』行ってみると15cmくらいの塊が3本庭に横たわっている。よく見ると柿の種が透明のチューブに詰められたかの様に連なっている。母に尋ねるとそこでヤンがしゃがんでいたというのだ。
うーん、そーか、判った。しかし、未消化の種だけうまいこと出したなぁ(笑)。こいつ嫌ほど柿を食ったな。そうか、植木屋が摘んだ一カゴ全部食ったのに違いない。そんだけ食ったら晩飯どころか翌日の朝飯も食えるわけが無い。今度やったら、一日飯抜くぞとしかりつける。(犬耳東風だったが)
改めて種を見る。どう見ても種だけで〇ンコには見えない。きれいに一個一個、接着したかのごとく連なっているのだ。スプレーでクリア塗装したら絶妙のオブジェになりそうだった。ヤンの傑作?それとも遺作か?ま、絶対に自分の部屋には置きたくないなぁ。
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