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ワイン物語(その2)

人間が住むに足る国には必ずあるものは? それは酒屋である(笑)。無論ドイツにも酒屋はあるし、スーパーに行けば鯨が2日酔いするほどのビールやワインが置いてある。ところが私が好きなのは産地を訪ね、味見しながらワインを買うことであった。

私が一番好きなのは緑の瓶に詰められたモーゼルワインだ。若干甘めではあるがフルーティな香りを持つ、黄金色の液体は毎日飲んでも飽きなかった。日本ではベルンカステルとピースポートという2大産地が有名であるが、モーゼル川に沿って車を走らせ、昼過ぎに日当たりのいい所でワインを買えば大抵ハズレが無い。つくづくワインは太陽の贈り物だと思う。

2大産地の間に私が必ず寄るコール叔父さんのワイン蔵があった。ここに限らずドイツのワイン蔵では軽食を出してくれる所が結構存在する。が、居心地の良さはここが一番。チーズをつまみながら端から試飲する。リースリングがポピュラーだが、ケルナーという種類も悪くなかった。

代金を支払い、20本ほどのワインを車のトランクに仕舞い込みながらコールさんに『この中に20年保管して飲めるワインがありますか?実は娘が生まれたので、彼女が大人になったとき一緒に飲みたいんだ』と尋ねてみた。すると彼は蔵に戻り2本のワインを持ってきてくれた。「こいつは特に出来のいい奴だ。これなら大丈夫」そう彼は言った。

『ありがとう。いくらですか?』追加の分を払おうとする私に「コイツはお前さんにじゃない。あんたの娘にプレゼントだよ」とにっこり笑って言ってくれた。ドイツでは本数を買ったからといって、オマケを付けてくれることはほとんど無い。また、奥からわざわざ探してきてくれたのが嬉しかった。そのワインは帰国まで大事に保管された。(もう少しだけ続く)
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