ここの老社長のお気に入りが、店の近くにあったパウリスタという喫茶店だった。元々は銀座のカフェ=パウリスタ支店だったそうだが、閉店後に店を偲んだ人が名前を引き継いで再開させたそうだ。従ってカフェ=パウリスタとは全く別の店なのだが、当時でも十分に古かった(笑)。現在はその店もなくビルの名前のみにパウリスタ(サンパウロっ子)という言葉が残されている。
所が2日付の朝刊にこのカフェ=パウリスタが1日だけ開かれるという記事が掲載された。なんと近場の甲陽園に大正時代に建てられた3階建て(地下1階、地上2階)の洋館がこのカフェの支店だったのだが、取り壊されることになり、4日の夕方から1日だけパウリスタとして公開するのだと言う。

この建物は以前から知ってはいたが、壁の一部はトタン張りで余り見栄えの良い屋敷には見えなかった。場所的に神戸支店の事務所かと思ったが、大阪の支店だと言う。いつもは閉ざされた玄関が開くと結構素敵に見える。

入口の上にある窓。はめ込まれたステンドグラスが大正時代の洋館らしさを醸し出していた。

磨き込まれた階段は黒光りしている。高い天井もいい雰囲気だ。建物は取り壊しだそうで、せめて階段だけでもどこかに移築せんかなぁ。

建物は1919(大正8)年に建てられたが、周りには撮影所や遊園地までがあったそうだ。残念ながら僕の生まれた頃にはその痕跡すらなかった。写真は24年に開通した甲陽園線。撮影所の写真を見ても現在のどの辺りか見当も付かない。今の夙川女子辺りから撮ったのかな?

冷房無しの上に人も多く、ちょっとこのビデオ部屋はパスしてしまったが、日本の1号店は銀座(1911年12月Open)でなく、実は箕面店(同年6月25日Open)の方が先だそうだ。ただ箕面店はあっという間に閉店して豊中に移転。豊中も数年で閉店している。

地下に続く階段。斜面に建てられているので玄関は1階だが、裏口は地下に相当している。

2階に見える1階が玄関の高さ。真ん中の部屋でUCCがコーヒー、つまがりがクッキーを供してくれた。これが無ければただの屋敷見学(笑)。1日だけのカフェとかろうじて言えたかな。
