この人は役者であったが、声も可憐でAs Tears Go Byはちょっとしたヒットになった。この曲の作者Mick Jaggerとは有名なカップルで、普通の週刊誌だけでなく音楽雑誌にまで載る位だった。歌と演技の上手い浅田美代子(笑)。彼女が消えて40年近くたってしまった。
先日借りてきたDVDの予告編に彼女の名前を見た。早速『やわらかい手(原題:Irina Palm)』を借り、観てしまった。主人公の名前はマギー。一人息子は結婚して男の子の父親に、夫は数年前に病死しマギーは一人で暮らしている。孫のオリーは難病にかかっており、オーストラリアの専門医の手でしか治る見込みが無いと言われる。
それまでの治療にも大金が必要でマギーは家を売り、それに充ててきた。新しい治療を受けるための金や財産はもはや無い。息子夫婦にはとても余裕が無く、マギーは職探しを始めるが、高齢で特殊技能も無く、すべて断られる。そして藁にもすがる思いで訪ねたのが怪しげな風俗店。そこで彼女は男性相手にサービスをする仕事に就く。
仕事の内容はちょっと説明しにくいのだが、昔新宿にあったという伝説のラッキーホール(笑)。壁に開いた穴を通じ、男性は女性の手によるサービスを受ける。顔は見えない上に手がしっとりと柔らかなマギーは“手のひらのイリナ”として客の絶大な支持を受け、なんとか孫の手術費用6千ポンドを稼ぎ出す。ある日、息子にバレて、仕事を辞めない限り孫には会わせないと叱責される。
マギーを演じるマリアンヌが素晴らしい演技をする。最初はおずおずと、その内に孫の命を助けるためと割り切ってから表情が変わっていく様子が素晴らしい。エロにもお涙頂戴にも流れず、淡々と物語は進んでいく。
最後ははっきりと描かれていない。きっと孫は元気にオーストラリアから帰ってくる、そう思わせるラストだった。風俗店のオーナー、スペイン人(マヨルカ出身と言っていたので、多分そうだと思う)のマクロスとの恋愛感情をほのかに匂わせたまま、物語は終わる。ひとつ間違えば悲惨、もしくは悲劇になるところを、明るい映画(少なくともぼーずはそう感じた)にしたのはひとえにマリアンヌの演技力だと思う。イイ女は歳なんか関係ないんだな。
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