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酒飲みの作法

子供の頃、京都に住んでいた母方の祖父母を訪ねるのが楽しみだった。同居していた父方の祖母は7人の子沢山、どうもジャリには飽き飽きしていたようで可愛がられた覚えがない・・・まぁ筆者がいわゆる可愛いお坊ちゃまでなかったことも原因だったかも(笑)。その点、悪ガキ好きだった京都の祖父母は本当に可愛がってくれ、長じては2~3日一人で泊まってくることも度々だった。

祖父はいわゆる昔の男性で料理は祖母に任せっきりだったが、夕食の燗付けだけは必ず自分でやっていた。ずっしりと重い錫のチロリに目一杯、菊正宗の一升瓶から酒を注ぐのだが、そのままだとこぼれるのでチロリに口を付け一口すすってから湯を沸かした鍋に入れる。1~2度チロリを持ち上げ、底を触っては鍋に戻していた。(註:酒タンポという芸のない名称の方がポピュラーだが、筆者は絶対にチロリを使いたい)

子供心に『あふれるまで入れずにお代わりすりゃいいのに』と思っていたのだが、後年母から聞いた話では、医者と祖母から『晩酌は1合だけ』と釘を刺されていたそうだ。口でお迎えに行く時がすごく楽しそうだったのを思い出す。これを酒飲みのいやしさと言ってはいけないと思う。規定量を守ろうと・・・守ってないけど・・・するところが可愛いじゃないか。

女性のほっぺたと杯は自分からお迎えに行くのが正しい作法(笑)・・・差し出してくれても有り難く受け入れるが。ここで腹が立つのはお迎えの必要がない、しみったれた注ぎ方。ワインのドでかいグラスになみなみと注げとは言うつもりはないが、受け皿付きのコップは溢れさせるのがマナーだろ(笑)。中には八分目で済ます店まであるが、それなら受け皿はイラン!!



この辺は立ち飲み屋の方が気取った店より気が利いており、受け皿の下にまたもう1枚皿を敷きたくなるくらいに盛ってくれる店もある。表面張力でコップのふちから盛り上がった酒にそっと口を付けすする。受け皿に溜まってる分を推し量ってコップから飲み、受け皿の酒をコップに戻すが、コップの底から浸かっていた酒を垂らさないように底を受け皿のふちで拭う。



目測を誤ると再度コップの中身を減らさなくてはいけない時もあるが、それもまた楽しい(笑)。こんなことを家でもやっていると、段々爺さんの境地に近づいてきたなと感じてしまう。
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