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50年前の味

1977年の冬、残した単位はゼミと英語(笑)のみ。就職も決まり、大学には週2日通えばいいだけだったので、残りは神戸のスキー屋でバイトをしていた。バイト仲間の後輩たちと三宮駅前の屋台で飲むこともしばしばで、その頃は貝焼きと呼ばれるつぼ焼きの屋台が駅前に並んでいた。

これはアカニシという巻貝の貝殻に水を張り、大貝と呼ばれた大アサリ(ウチムラサキと言うらしい)の切身を入れ塩味で煮込んだものだった。仕上げに春菊を入れて出してくれる。それを竹串で突つきながらビールを飲むというものだが、当時珍しくはなかった。

確か500円ちょいで飲めたような覚えがあるが、貝からは濃厚な出汁が出て、最後に飲むのが最高の食べ物だった。この大貝はお好み焼きに入れたりもしてまさに神戸の味なんだが、漁獲量が減って価格が上がり、これを出す店がどんどん減っているそうだ。

もう一度食べたいと思っていたが、三宮にあった店が廃業し、ネットで調べる限り新開地に1店残すだけとなってしまった。こりゃ死ぬ前に一回食っておくかと悪友を誘い、貝つぼ焼き大谷さんへ行ってきた。まずはビールとつぼ焼きをお願いする。

そうそう、これこれ。欲を言えばもうちょい貝殻が大きかったような気もするが、50年の月日が記憶を捻じ曲げている可能性もある。弾力のある切身を噛みしめると、口の中に旨味が広がった。青みは三つ葉が散らされているが春菊より上品な味だ。お店の方に尋ねたらこちらでは昔から三つ葉を使って来たが、春菊を使う店もあったということだった。

メニューには貝が入荷しなかった時は提供できない旨が記載されていた。一見当たり前に思えるが、この貝は冷凍が不可で生でしか使えないと言われていたのを思い出した。この大貝の炒め物を追加する。

今回は懐かしさが先に立ったが、美味いものが消えていくのは残念なことだ。大貝・大アサリ・ウチムラサキ総て同じものを指すそうだ。嘗ては近場の浜でも獲れたそうだが、今は愛知産が主力だそうな。気軽に食べられるようになって欲しいものだ。

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