平家琵琶定期演奏会(9月9日) 平家物語探訪2-5(35回)秋山良造
曲句:巻七 清水冠者・ 巻九 木曽最期 於:東京四谷石響ホール
巴を語る演奏会であるが終わってみると木曽義仲を語ったようである。
物語では巴の登場は木曽最期の中で戦線離脱を訓され、落ちて行くしかない。巴を語ることは義仲を抜きに語れない。その逆もしかりである。巴の人気は義仲と伴に創られている。美人の女武者・木曽にて幼少の頃より一緒に育ち・共に戦い・天下取りの夢を追いながらも挫折し、義仲討たれた後は菩提を弔い、義仲寺建立の礎を作った健気な女。又は、東国和田義盛の妻となり子を儲けた~~または、源平の戦いを語りながら回国した遊行の女~~。さまざまな伝承話もあるが、それぞれ歴史的確証は乏しいのである。そのような不確かなところが我々の想像心を誘うのではないだろうか。私もその一人である。
これらの曲句のなかには・戦闘・離別・乳母子愛・哀傷・さまざまな状景場面が折り込まれていて人間の死を壮絶に美しくも描いている。
私は、義仲の無念の心の内と、巴の惜別の寂しさを、撥と語りの融和を模索しつつ演奏を行った。
朗読は、山本陽一氏。義仲の夢を力強く語って下さった。
終演後に頂いた言葉 Aさん:さまざまな節が折り重なり、波のように語られて、良い曲ですね。聴いていてとっても励まされました。 Bさん:いまでも義仲が愛されているのはどのようなところなのか?未完の王者の気持ちが解ったようです。
尚、次回定期演奏会は、来春1月に予定いたしております。