平成21年7月15日 耳なし芳一琵琶供養祭 於:下関赤間神宮
奉納曲句: 福原落 奉納演奏者 秋山良造
平家は都落ちを決める。京都を落ち更に、福原を落ちる。行く先に夢も安住も約束されてはいない不安を抱えての船出であった。平一族の人々の緊張と不安の様子を波に漂わせ、淡々と綴られ語られる曲である。まもなく訪れる一族の人々の破滅を後世の人間は、知っているだけにこの船出はより一層哀れに響いてくる。
此の奉納によって私は一族の心の内を、安徳神の御前で不安と破滅と再興の願いも虚しく消えた事を知った上での船出の曲・語りである。聲は詰まって絃は静かに低くしか響かった。
奉奏後、聴者の感想「平曲は、低く静かにまるでお経のように語っている。」この言葉を頂いた時、鎮魂の為の演奏が私の目的であったので良かったのか、やはり力量不足のなした事であったのかと考える。
本日 琵琶3流 筑前・薩摩・平家の奉納であった。