カラコラム

2009-07-06 08:42:36 | 散らかって、活字中毒
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 『カラコラム』(あの、今西錦司!?)と云う本を貰い読んでいる。その本は染みだらけで、漢字は昔で読み辛いことこの上ないのだが、本に登場する氷河や山々は、僕の中にキラキラと輝いているものだから、興奮が蘇るのだ。カラコラム(カラコロム)ギルギットを中心としたパキスタン北部の冒険記。

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 氷河を初めて近くで視た時、「視るんじゃなかった…」と後悔したのを覚えている。ラカポシの氷河に誘われピクニック気分で視にいったんだった。「視るんじゃなかった…」と言うのは、余りに異様で美しかったからで、知らない方が良かった…、知らなくても良かった…、知ることで何か地平が広がるようで、行かなくてもいい所に、厄介な景色…と、思った。厄介な景色は、直ぐに行動力を持って、日常化されたんだけど。

 すっかり忘れていたのに…。

 本に出てくる植物の生えない硬い土や、乾燥した空気、濁った飲み水、鬱陶しくも親切な人々やら何やら、僕を呼んでいるようで…、でも、あのギザギザの稜線は恐ろしく無慈悲なのに。何気に、手触りを越えたビジョンを残していた。

 ギザギザの山々、地元の人が書いてくれた適当な地図、凄まじい氷、アイベックスを追う猟師、ギーというバターを作る親爺、宝石を掘る目の輝きを失った人々、暇を持て余し過ぎている集落、何の葉っぱか分からないカレー、高地で逞しく生きる蝿、何回かの峠を越えて現れる美しい村、土石流によって一瞬にして消えた村、ボールペンを欲しがる子供たち、石を組んで作られた家、ミネラルを多量過ぎる程含んだ濁った飲み水、ふんざうぉーたーとダンス、バルティの言葉、何もない山肌に刻まれた何に使うのか分からない道の筋、頼もしいランクル、人の好いガイドと往復12時間の散歩、いつか流れる川。



 別に、忘れたままで良かったのに…。

 

 僕に関して言えば…、



 冒険記なんて、読むもんじゃない。

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