K's 12 INCHES

自分の好きな音楽や毎日の出来事を、ミュージシャン(?)ならではの視点で綴っていきます。

”AOR”第三弾 日本の男性アーティスト編

2005-09-07 17:40:40 | 音楽・楽器など

  日本各地に甚大な被害をもたらした台風14号ですが、大阪には接近することなく日本海に抜けて行きました。皆さんがお住まいの地域はどうだったでしょうか?このブログに来て下さる方々が御無事であることを、心から祈っております。


  さて、先日から書いています”AOR”のお話ですが、早くも3回目になりました。今回は、個人的に日本の”AOR”サウンドだと思うアーティストのアルバムを紹介したいと思います。しかし、これが”AOR”だと感じるニュアンスは人それぞれによって違うところがある為、あくまでも個人的な主観で書いていることを御理解頂ければ幸いです。

  まず1枚目は、驚異的な歌唱力で知られるボーカリスト佐藤竹善氏を擁する、三人組のユニット”SING LIKE TALKING”の1994年にリリースされた通算7枚目のオリジナルアルバム「togetherness」です。SING LIKE TALKINGは、今では珍しくなくなったボーカル(佐藤竹善氏)・ギター(西村智彦氏)・キーボード(藤田千章氏)の3人編成ですので、いわゆるリズム隊がいないユニットです。しかし、レコーディングやライブをサポートするメンバーは、現在の日本のミュージックシーンを代表する人達ばかりです。中でも、ドラムの沼澤尚氏や元オルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニスト塩谷哲氏、元(?)プリンスやシーラ・Eなどのサポートを経て、のちに沼澤尚氏などのメンバーで結成したバンド””13CATS”キャット・グレイ(キーボード)など、豊かな知識と豊富な活動経験を持つメンバーばかりです。
  そんな素晴らしいメンバー達と共に作り上げたこのアルバムは、まさに”AOR”のエッセンスが散りばめられたナンバーばかりです。イントロからブラスセクションが華々しいフレーズを吹き上げ、粘り気のあるファンク風のリズムで最後まで突き進むM1”Together”、一転して少し軽い打ち込みのリズムが心地良いポップチューンのM2”Joy”、そして、まさにこれが”AOR”とも言うべきサウンドが満ち溢れているM3の”風に抱かれて”、キャット・グレイによる手弾きとは思えないシンセ・ベースが淡い雰囲気を醸し出すM6の”幻に恋する日々”、そして最後を締めくくる、優しい音色のエレクトリック・ピアノと小編成のストリングスが凛々しく響くM11の”点し火のように”。様々なタイプの曲がありますが、どのナンバーにも”AOR”と呼ぶのにふさわしい彩りがあります。
  最近では、佐藤竹善氏がコブクロとのコラボレーションで”木蘭の涙スターダスト・レビューのカバー)”をリリースするなど個人のソロ活動が中心で、SING LIKE TALKINGとしての活動は目立ったものがない為ファンとしては寂しいところですが、このアルバムの様に”AOR”テイスト溢れるアルバムをまた作って欲しいと願うばかりです。

  続く2枚目は、あの”山下達郎”さんです。達郎さんと言えば、皆さん御存知の”クリスマス・イヴ”を始めとして多くのヒット曲がありますが、今回は達郎さんがブレイクするきっかけとなった、1980年リリースの「RIDE ON TIME」です。タイトル・チューンの”RIDE ON TIME”は、当時マクセル・カセットテープのCM(ちなみに御本人出演でした!)でオンエアされたことがきっかけでヒットしたんですが、最近ではSMAPの木村拓也が主人公を演じたテレビドラマ「GOOD LUCK!!」の主題歌としても使われていたので、このドラマで初めて聞いた方もおられると思います。
  達郎さんを”AOR”と呼ぶことには様々な意見があることかと思いますが、達郎さんが作り出すサウンドには”AOR”やファンク、そしてR&Bやソウル・ミュージックなどの要素が随所にあることは疑う余地がありません。ですので、ここでは冒頭にも書きました通り、あくまで個人的な主観による”AOR”という視点から、このアルバムのことを書かせて頂きたいと思います。
  このアルバムは、ドライブするベースとそれに絡むドラムが微妙な揺れを弾き出す”いつか(SOMEDAY)”で幕を開けます。この曲で聴ける孤高のボーカリスト”吉田美奈子”さんのコーラスはとても素晴らしく、次のアルバム「FOR YOU」まではこの達郎さんと吉田美奈子さんによる鉄壁のコンビネーションで作られていたと言っても過言ではありません。続くM2の”DAYDREAM”では、ファルセットを使い分けて歌詞にある通り色とりどりの声を聞かせてくれます。そして、先程のM4”RIDE ON TIME(アルバム・バージョン)”、達郎さんがソロデビュー以前に在籍していたバンド”SUGAR BABE”へのオマージュを歌ったM6”MY SUGAR BABE”、メロウなサックスが印象的なスローナンバーのM8”雲のゆくえに”、達郎さん自身によるアコースティック・ピアノが余韻に残るM9”おやすみ(GOOD NIGHT)”で終わりを迎えます。
  このアルバムを始め、ソロデビューから6枚目のオリジナルアルバム「FOR YOU」までの全7枚(内1枚はライブアルバム)がボーナストラックを追加した形で2002年に再発されたんですが、各アルバムに達郎さん自身による解説とライナー・ノーツが掲載されており、その中で当時の達郎さんを取り巻く状況やレコーディングのエピソードなどが書かれています。他に例を見ない独特の音楽性はもちろんのこと、こうしたスタンスが現在に至るまで一貫していることもファンの心を捕らえて離さない理由ではないでしょうか。デビュー30周年を迎える本年も9月14日にニューアルバム「SONORITE(ソノリテ)」をリリースする達郎さん、また新たな歌声を聞かせてくれることが何よりの楽しみです。

  かなり長くなってしまいましたが、最後に紹介するのは前述しました山下達郎さんを敬愛していることでも知られる”角松敏生”さんです。達郎さんの「FOR YOU」がリリースされた1981年にアルバム「SEE BREEZE」でデビュー。当時はようやく洋楽テイストのポップスが注目される様になった頃で、リゾートポップスなるものが流行していた時代でもありました。そんな中でデビューした角松さんですが、次第にN.Y.ファンクやヒップホップの手法を取り入れたサウンドで、注目され始めていた当時最先端だったダンスミュージックのテイスト溢れる楽曲で頭角を現し始めます。そんな角松さんですが、デビュー当時から”AOR”のインフルエンスがあり、次第にその要素は色濃くなっていきます。今回御紹介する通算8枚目のオリジナルアルバム「Reasons for Thousand Lovers」にも、随所に”AOR”サウンドが聞こえてきます。
  オープニングのM1”飴色の街”はそれまでの角松サウンドとは少し違いますが、ミュージシャンがお好きな方なら御存知の村上”ポンタ”秀一さんのドラムや、間奏でギター・ソロを弾いているジェイ・グレイドンなどの、豪華なミュージシャン陣の演奏が光る角松さんらしい淡い曲です。そして、個人的に思い入れのある、雨の夜に似合いそうなM3”Knock My Door”、角松さんが影響を公言していたシンセファンクユニット”THE SYSTEM”とのコラボレーションであるM6”OKINAWA”とM7の”Reason...”、そしてフュージョンバンド”STUFF”で一世を風靡した驚愕のピアニスト故”リチャード・ティー”やエリック・クラプトンのツアーなどで知られるドラマー”スティーブ・ガッド”らが演奏を繰り広げるシャッフルのM9”Moonlight Tokyo Bay”など、静かながらも情感深いサウンドの中に”AOR”の香りが漂っています。
  個人的にはこのアルバムの他にも、日米の豪華なメンバーで製作された1991年の「ALL IS VANITY」や、日本古来の伝統ある楽器である鼓やOkiさんによる”トンコリ”などと、アイヌや沖縄の独特なコーラスを融合しポップスに取り入れた意欲作「INCARNATIO」(2002年リリース)なども好きです。


  大変長く書いてしまいましたが、これでも割愛した部分がかなりあり、書きたいことは沢山あります。まだまだ稚拙な文章力しかない為読みづらいところもあるかと思いますが、こういった内容でも読んで下さる方がいらっしゃれば本当に嬉しい限りです。少しずつでも向上しながら自分なりに書いていきます所存ですので、どうかお付き合いの程を宜しくお願い致します。
  今回は日本の男性アーティスト編でしたので、次回は女性アーティスト編です(笑)ここまで書いてしまうと時間が係る作業になってしまいますが、次はどんなことを書こうかなと考えるのも楽しみの一つになります。どうか気軽に読んで下されば幸いです。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメントをいただきまして、ありがとうございます。 (プスカシュ(kman3228))
2005-09-07 20:59:27
お茶栽培BLOG「あるがままに」を書いておるものです。コメントをいただきましてありがとうございました。さっそく、見させていただきました。

うーん音楽の世界も奥が深いですね。じぶんも佐藤竹善、吉田美奈子、シュガーベイブなんかも好きです。よくCD買いまくってました。(なつかしい・・。10年前、ちょうど中学、高校時代ですが)

角松敏生氏は今年地元四日市LIVEで完全にはまってしまいました。その後は東京国際フォーラムに日帰り強行スケジュールで行ったりと、もう完全にどっぷりです。(稲沢LIVEも行く予定です)

なんか角松氏の曲は、イメージできるというかなんというかとにかく自分に合う曲というか・・・。(意味不明)

自分も音楽はとても好きなほうなので(CD聞く程度ですが)、いろいろ楽しみに拝見させていただきますね。(ていうか、勉強させてもらいます。)

長くなりましたが、これからもよろしくお願いします。

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第三弾はやぁ♪(笑) (唖吏子ーARISS-)
2005-09-07 23:37:19
一言びっくりです^^w

KAZUさんの紹介されるのを見て少しは勉強している

んですが。。(爆)

でも、コブクロが出てきてなんかやっとお話に参加

できたみたいでうれしかったです♪(単純な奴ですみません^^;)

読んでて「あぁ~!」ってつい言ってしまいました・・w

コブクロとコラボしてた人でしたか^^



話変わっちゃいますが台風それましたね^^

でも風でアンテナと自転車破損しました。。

しかも、自転車倒れて車に傷がil||li _| ̄|● il||li

アンテナはなんとかもってますがテレビの画質が

悪いです^^;あんまりテレビ見ないので

いいんですが^^

東北から↑が心配ですね。。九州はかなりの被害でちゃってましたし・・;;

あぁ。。いつもコメント長くなってすみません^^;

他の方に悪いのでこのあたりで♪



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9月14日 (sugarmountain)
2005-09-08 10:31:48
楽しみです。
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Unknown (tama)
2005-09-09 00:12:37
佐藤竹善さんの声って結構好きだったりします。

「木蘭の涙」のカバーはラジオで聴きました。

実は私、元スタレビファンでして…。ラジオからこの曲が竹善さんの声で流れてきた時はビックリしましたし、思いっきり反応してました。

山下達郎さんの声もこれまた結構好き。

曲は「GET BACK IN LOVE」がスゴク好きです。

実は、達郎さんのツアーやレコーディングに、バックコーラスでスタレビの元キーボーディストの三谷泰弘氏が参加してるんですよ(*´∀`)
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お世話になっております。 (プスカシュ(Kman3228))
2005-09-09 02:16:15
またまたご来訪いただきありがとうございます。

リンクについては、自由にしていただいて結構です。(ていうかありがたいです。)こちらもリンクさせていただきたいくらいです。

(ぜひさせてください。連絡おまちしております。)



また暇なときに訪れてやってくださいね。

てなことで、よろしくお願いします。
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実は・・・ (jazzkun)
2005-09-09 10:43:42
竹善さんや塩谷さんとは、ステージをご一緒したことがあるんです。ずいぶんと前ですが、竹善さんのクロスフィンガーだったかな??のライブで、大阪のフェスティバルであった時、キロロとか露崎晴美さんとかとご一緒しました。といっても、アンコールのステージで「SPIRIT OF LOVE 」のバックコーラスとして参加しました。懐かしい思い出です。ほんとにすばらしいミュージシャンでした。
返信する
お邪魔致します。 (ROZEN DOLL 弧雨)
2005-09-09 13:11:38
コメント頂きありがとうございました。

コメントの返答させて頂きましたのでお伝えに

伺いました。

私用の事なのでこちらに書くと他ユーザー様の

ご迷惑になるかと思い詳しくはROZENの方に書いておきました。

勝手なご訪問お許し下さいませ。



            ROZEN DOLL:STAFF 弧雨

返信する
コメントどうもです♪ (唖吏子-ARISS-)
2005-09-09 22:21:44
スタッフから事情は聞いてるかと思いますが平気なんで大丈夫です^^

ご心配かけてすみません;;

リンクに関してはKAZUさんのお考えに甘えさせて

もらいます^^

季節の変わりはいつも体調崩すほうなので;

プログへのコメント心に響くものがありました♪

スタッフも喜んでます^^お気遣いほんとに

ありがとうです☆

コメントの一報を受けて思わずきちゃいました^^;



KAZUさんもお体大事にして下さい^^

プログの方も頑張って下さい♪



今回はROZENの管理人としてではなく個人的に

コメントしたかったのでURLは貼りませんね^^



KAZUさんのプログ更新楽しみにしてます☆

唖吏子でした^^
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コメントありがとうございます! (KAZU)
2005-09-11 13:15:01
プスカシュさんへ

 何だか好きな音楽が似ている様でとても嬉しいです、プスカシュさんもティンパン系がお好きみたいですね。今回の吉田美奈子さんはどうでしたか?良かったらまた感想を下さいね。



tamaさんへ

 おぉ!tamaさんもスタレビファンだったんですかー、実は自分もその一人です^^;同じ楽器ということもあり、やっぱり三谷さんのファンです。なので、esqのアルバムも持っていますよ。達郎さんの「GET BACK IN LOVE」、実はカラオケでよく歌う曲なんです^^;でも、難しい曲なのでいつも苦労しています^^;



JAZZKUNさんへ

 同じステージで歌えるなんて・・・、「凄いっ!」の一言です^^;「SPIRIT OF LOVE」はいい曲ですよね、自分も大好きです。”クロスフィンガー”って、確かライブアルバムが出ていますよね?じゃあ、もしかしたらJAZZKUNさんの声も入っているかもしれないですよね?露崎春美さんも大好きで、以前とあるライブで露崎さんの曲をコピーしたことがありました。



弧雨さんへ

 本館作業中にも係わらず、わざわざ御来訪して頂いて本当に有難う御座います!唖吏子さんからの伝言確認させて頂きました。そちらのブログの方で頂いたコメント、とても嬉しかったですよ。こちらでも出来ることがあればさせて頂きますので、良かったら是非御一報下さいね。



唖吏子さんへ

 体調を崩しているのにも係わらず、わざわざ来て下さって本当に有難う御座います!コブクロは”エール”という曲が好きなんですが、歌おうとするとどの曲も難しいですよね。季節の変わり目は体調を崩しやすいと思うので、お体には本当に気をつけて下さいね。体調が一日でも早く良くなることを祈っています。





皆さんへ

 このブログを始めてからそれ程経っていないのですが、様々な方に来て頂ける様になりました。本当に有難う御座います!そして、このブログを通して知り合えた方がいることは感謝の気持ちで一杯です。どうかこれからもお付き合いの程を宜しくお願い致します!m(_ _)m出来るだけ更新していきますので、またの御来訪を心よりお待ちしております!
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