K's 12 INCHES

自分の好きな音楽や毎日の出来事を、ミュージシャン(?)ならではの視点で綴っていきます。

”AOR”第四弾 日本の女性アーティスト編

2005-09-10 09:31:19 | 音楽・楽器など

  台風が過ぎ去った後は、またまた残暑が戻って来ましたね。皆さんはお元気でしょうか?自分はここ数日間忙しくて殆んど寝ていなかったので、ここ二日程記事を書くのを休んで久しぶりにゆっくりさせて頂きました。なので今回は気分も新たに、少しマニアックな内容になるかもしれませんが、”AOR”第四弾ということで日本の女性アーティスト編です。


  まず一枚目は、前回の山下達郎さんのお話の中にも出てきました”吉田美奈子”さんです。1973年にアルバム「扉の冬」でデビュー。バックを務めた”キャラメル・ママ”というバンドは、”坂本龍一”氏や”高橋幸宏”氏と結成した”YMO”(イエロー・マジック・オーケストラ)などで知られるベーシストの”細野晴臣”氏や、”ユーミン”こと松任谷由美さんの御主人であるキーボードの”松任谷正隆”さんなどが在籍していました。そして、4枚目のアルバム「FLAPPER(様々なアーティストに歌われた”夢で逢えたら”も収録)」の”ラスト・ステップ”を達郎さんと共作、1977年の「Twilight Zone」は達郎さんと美奈子さんの共同プロデュースで制作されます。この辺りから達郎さんとのコラボレーションが本格的に始まり、お互いにそれぞれの作品に参加する様になります。しかし、今回御紹介したいのは、その達郎さんとのコラボレーションで作られたアルバムではなく、ニューヨークのミュージシャン達とのセッションを中心に制作された、通算9枚目のアルバム「LIGHT'N UP」です。
  このアルバムは、ランディ・ブレッカーとマイケル・ブレッカーの”ブレッカー・ブラザーズ”やサックスプレイヤーとして名高い”デイヴィット・サンボーン”などのホーンセクションが参加しています。ブラック・コンテンポラリーの香り漂うM1”LIGHT'N UP”や、近年クラブシーンで人気のミディアムナンバーのM2”頬に夜の灯”など、”AOR”と呼んでも差し支えないサウンドが展開されています。M3の”LOVE SHOWER”では達郎さんがホーンとストリングスのアレンジを手掛け、M4の”風”ではこのアルバムでも美奈子さんをサポートしている名ベーシストの”岡澤章”さんとデュエットしています。M6の”斜陽(REFLECTION)”はマイケル・ブレッカーのテナーサックスが印象的なナンバー。そして、ラストのM8”ALCOHOLLER”はこのアルバムでは唯一のファンクナンバーで、金管2本を除く全てのサックスが”清水靖晃”さんの手によるものです。
  美奈子さんは前作の「MONSTER IN TOWN」をリリースした頃から、”ファンクの女王”と呼ばれる様になっていました。しかし、次のアルバム「IN MOTION」をリリース後、所属レコード会社との契約を解除します。そして、再びレコード会社と契約を結ぶまでの間に、作家として中森明菜・西城秀樹・鈴木雅之・薬師丸ひろ子などに曲を提供し、プロデュースも手掛ける様になります。特に鈴木雅之さんへ提供した「LIBERTY」や、美奈子さん自身が歌った「THANKS TO YOU」が知られています。
  この他にも前述した1976年リリースの「FLAPPER」や、CMに使われたゴスペルフィール溢れるアカペラナンバー”BLACK EYE LADY”収録の「MONSTER IN TOWN」、プログラミングされたリズムと幾重にも積み重ねられたヴォーカルが圧倒的な1990年リリースの「GAZER(ゲイザー)」などもお勧めしたいアルバムです。

  続いて御紹介したいのは、知る人ぞ知る女性シンガー”笠井紀美子”さんです。詳しいプロフィールは存じ上げないのですが、60~70年代にジャズシンガーとして活躍されていた方です。今回は1977年にリリースされました、個人的に”AOR”な1枚だと思うアルバム「TOKYO SPECIAL」を御紹介します。実はこのアルバムもある意味達郎さん繋がりでありまして、このアルバムのM1”Vibration(Love Celebration)”は達郎さんが作曲したナンバーです。後に達郎さん御自身が1978年のアルバム「GO AHEAD!」の中で”Love Celebration”というタイトルで歌っています。
  しかし、このアルバムの聴きどころは、ジャズトランぺッターの日野皓正さんのソロがジャジィーで格好いいM4”Very Special Moment”や同じくジャズファンク風のM6”Tokyo Special(Manhattan Special)”、爽やかなフィーリーソウルのM3”夏の初めのイメージ”やM8”Take Me”など。名手と言われるジャズミュージシャンが多数参加していることもあり、ジャズのエッセンスが色濃く感じられます。ですので、”AOR”がお好きな方からすれば「このアルバムを”AOR”と呼んでいいのか?」との御指摘もあるかと思います。しかし、”AOR”はジャズやソウルミュージック、そしてR&Bなどの様々な音楽の要素が複合されたことで出来たジャンルだと思いますので、敢えてここで御紹介させて頂きました。ちなみに、現在はジュエリーデザイナーとして活躍しておられ、1990年には御自身のブランド「kimiko by KIMIKO」を立ち上げられました。
  笠井紀美子さんは一般的にはジャズシンガーとして知られており、特に有名なのがジャズピアニストの”ハービー・ハンコック”と作られたアルバム「Butterfly」(ハービー・ハンコックの”Tell Me A Bedtime Story”や”処女航海”、スティービィー・ワンダーの”As(永遠の誓い)”など)です。個人的には、前述した”Tokyo Special(Manhattan Special)”やロバータ・フラックの名唱で知られる”やさしく歌って(Killing Me Softly With His Song )”などが収録されている、R&Bナンバーを中心に選曲されたベストアルバム「MY FAVORITE SONGS VOL.Ⅱ-EMOTION-」なども聞いてみて欲しい一枚です。

  最後に御紹介するのは、”荒井由美”さんの1975年にリリースされた「COBALT HOUR(コバルト・アワー)」です。そうです、現在の”松任谷由美”さんが御結婚される前の名前です。その荒井由美さんの3枚目のアルバムなんですが、吉田美奈子さんのお話の中に出てきました”キャラメル・ママ”のメンバーが、後に結成したバンド”ティン・パン・アレー”がバックを務めています。そして、このアルバムにも達郎さんと美奈子さんが参加していて、素晴らしいコーラスを聞かせてくれます。とにかくツボをおさえた演奏がグルーヴィーで、このアルバムも”AOR”と称してもいいサウンドが聞けます。曲中にセスナ機のS.E.が効果的に使われている、細野さんのベースが縦横無尽に動き回るM1の”COBALT HOUR”や、ハイ・ファイ・セットなどでも知られているヒット曲のM2”卒業写真”、そして宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」にも使われたM5の”ルージュの伝言”など有名なナンバーが収録されています。これも”AOR”と言えるかどうか賛否があるところだと思いますが、このアルバムも今では聞けることの少なくなった和製”AOR”ポップスの名盤です。


  今回は少し短く書いたつもりなんですが、どうだったでしょうか?またまた長々と書いてしまいましたが、いつも読んで下さる方がいると思うととても嬉しい限りです。特にコメントを下さる方には大変感謝しておりますm(_ _)mまだまだ稚拙な文章でしかありませんが、これからもどうか宜しくお願い致します!(^o^)丿
  さて、次回は”AOR"から少し離れて、自分の好きなミュージシャンやアルバムのことをマニアックな内容を交えながら書いていきたいと思います。おそらく無いとは思うんですが、もしも書いて欲しいミュージシャンやアルバムなどがあればリクエストをお寄せ下さい(笑)これからも様々な話題を書くことが出来るブログとして続けていける様に頑張っていきますので、何卒宜しくお願い致します!

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4 コメント

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なんと… (tama)
2005-09-11 18:55:29
日本の女性アーティストの紹介でしが、「声」が分かるのがユーミンしかいなかった(汗)

まだまだ知らない世界がたくさんありますね~。

でも、すごく新鮮で楽しく読ませていだだきました。

吉田美奈子さんとか笠井紀美子さんとか、関わっているミュージシャンに驚きです!(ブレッカーブラザーズとかハービー・ハンコックとか)

それだけでも、あの二人の曲は聴いてみたいと思っちゃいました。

それと、本来なら前の日記にコメントするべきなのかもしれませんが…↓

私も三谷さんのファンでした!!

初期の頃のesqのアルバムなら私も持ってますよ。ここ数年はチェックしてないんですが、また見てみようかなぁ。

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見にきたよぉ~ (佑妃)
2005-09-12 01:11:52
ここに書いちゃっていいのかなぁ??

メールありがとねぇ んとぉ~何書こう・・(笑

なんか音楽の話がすごいねぇ

知らない人が多かったり・・

うちは多ジャンルだけどあんまり深くは

知らない人が多い(泣

かずくんマニアックだぁ~よ(笑



なんだか忙しそうだね。。頑張ってねぇ

佑はまぁまぁ元気っぽぃからまたメールおくれぇ



てかぁまたまたメールエラーでるぞぉぉぉ~

遅れませんえんちょうだぃ。。(滑

いやいやまぢでねぇ(笑



次回は好きなアーティストかぁ~

さきどりで シャカラビが好き(ぉぃ

がくちゃんも好きだよぉ

ガクトとハイドのコラボのオレンジの太陽って

いう曲おすすめ!

あとプログ読んでて見ててみつけたコブクロ

コブクロは二人の声質と音程がまったく違うから

カラオケで一人で歌う時は注意!(笑

黒田くんの音程でずっといくとインパクトに

かけるし~かといって小渕くんでずっといくと

喉がやられる恐れあり(笑

ライブのチケットおかあさんがとってくれたん

だけどその時体調悪くていけなかったぁ(泣



気付けばコメント長い・・

佑のせいじゃないってことで(笑

メール送れないから・・(いいわけ



P.S プログも仕事もがんばねぇ!それと記事ありがとぉ~
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笠井紀美子最高に良いですね。 (emotion)
2005-09-13 02:41:39
はじめました、TBさせていただきます。



笠井紀美子は良いですよね。私も彼女の歌大好きです(*^^)v



知ってる人が少ないと思いますが・・・・。



若い方はご存知ないでしょね・・・。



もう一度、彼女が歌う‘ROUND&ROUNDが聴きたいですね。もう、歌わないなんてもったいないですね・・・。
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Unknown (KAZU)
2005-09-16 01:26:53
tamaさんへ

 そう言って頂けると、とても嬉しいです。ちょっとマニアックな内容だったかもしれませんが、どんな時代にも良い音楽はあるということですよね。これからも古き良き音楽を紹介していきますので、お時間があればまた読んでやって下さいね。



佑ちゃんへ

 コメント有り難う!(^^ゞマニアックな話でごめんなぁ^^;でも、このブログは自分が書きたいことを書く為に作ったんだから許しておくれ(笑)それにしても、”送れませんえんちょうだい”って凄いなぁ^^;今度はどんなギャグを披露してくれるのか楽しみにしてるぞぉ(^o^)丿しばらくの間はJ-POPの話を書くつもりだから、良かったらまた遊びに来てやって下さいまし(^^ゞ



emotionさんへ

 笠井紀美子さんの話に反応して頂けるとは思っていなかったので嬉しいです、本当に有り難う御座います!稚拙な文章で申し訳ないんですが、もし良かったら遊びに来てみて下さいね。自分は70~80年代のアーテイストも好きですので、その辺りのミュージシャンのことも書こうと思っています。
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