ベーシスト 青木智仁さん逝く

　しばらくの間お休みしていたこのブログを再開させようと思い、どんなことを書こうかと考えていたのですが、まさか復活第一回目がこんな内容になろうとは・・・。タイトルにもある様に、ジャズ・フュージョン界のみならず様々なジャンルで活躍されていましたベーシストの青木智仁さんが、６月１２日に心不全の為亡くなられました。奇しくもこの日は青木さんにとって４９回目の誕生日であったそうです。自分はとあるサイトでこの訃報を目にしたのですが、最初は信じられませんでした。「何を言ってるんだろう？」という様な感じでしかなかったのですが、青木さんのファンサイトなどではっきりとその事実が報告されており、事実として受け止めなければならなくなりました。それからは、様々なサイトを見て回りながら何とか自分を落ち着かせようとする始末でした。自分が青木さんのことを知ったのは、角松敏生さんのサポート（この表現は適切ではないのですが）をしていたことからでした。青木さんは角松さんがデビュー間もない頃からサポートされており、角松さんにとってなくてはならないベーシストでした。聞いて頂けると分かると思うんですが、とても柔らかい音色でありながら弾けそうな弾力があり、フィンガーであろうがスラップであろうが力強くボトムを支えることが出来る、名実ともに日本屈指のベーシストであったことは間違いありません。どなたかがあるサイトで「日本音楽界の宝を失った」と書かれておられましたが、青木さんの逝去に改めてその存在の大きさを感じられずにはいられませんでした。
　
　今回はその青木さんの追悼の意味を込めて、青木さん名義のソロアルバムを二枚御紹介しようと思います。まず一枚目は、１９８９年に発売された初めてのソロアルバム「DOUBLE FACE」です。この１st.ソロアルバムは角松さんが全面的にプロデュースされていますが、フュージョンやジャズのテイスト溢れるものになっており、青木さんのプレイの魅力が至るところで聞ける素晴らしいインストゥルメンタル・アルバムです。そして、多彩なゲスト・プレイヤーのソロが随所に織り込まれながら、青木さんの音世界が繰り広げられています。「DOUBLE FACE」は角松さんの作曲・アレンジによるM1「Triboro Bridge～Memories of M.K.」で幕を開けます。奇しくも青木さんと同じ様に夭折してしまったベーシスト、ジャコ・パストリアスに捧げたM2の「Mr.J.F.P」、同じくベーシストである岡沢章さんをヴォーカルに迎えた渋いナンバーのM4「Don't Ever Hurt Me」、パーカッションの斎藤ノブさんやドラムの村上秀一さんを中心に結成されたバンドNOBU CAINEのメンバーで演奏されるM5の「Linda」、日野皓正さんのトランペット・ソロが聞けるM6の「Amboseli」、青木さんの愛娘さんに送られたM7の「Risa」、日本の名ギタリストである鈴木茂さん作曲のM8「砂の女」では角松さんがヴォーカルをとり、その鈴木茂さんがギター・ソロで登場します。そして、ビートルズ・ナンバーであるM10「With A Little Help From My Friends」では、角松さんのバンドメンバーによるコーラスをバックに青木さんが歌う、何とも微笑ましいナンバーです。そして、最後は青木さんの愛娘さんに送られたナンバー「Risa」がもう一度流れるM11「Risa Reprise」で締めくくられます。

　長くなってしまいましたが、青木さんの偉大な足跡を辿るには短すぎる程だと思います。ですので、今回は極めて私観が入ってしまうことをお許し頂ければと思います。次回は二枚目のソロアルバム「EXPERIENCE」を御紹介します。