症状が出る前の治療「未病治療」に用いる
ツボ はあるのか【東洋医学を正しく知って不調改善】
【東洋医学を正しく知って不調改善】
西洋医学では何らかの症状が表れてから治療が行われるものですが、
東洋医学ではそれだけに限りません。症状が出る前の治療、
いわゆる「未病治療」を重要視しています。
そのため東洋医学の治療には「舌診」、脈を診る「脈診」、
お腹を診る「腹診」といった独特な診断方法があります。
これらによって体の状態を観察することで、
患者さんの体がいまどのような状態かを判断するのです。
過去の連載でも述べられたように体の基本は臓腑であり、
例えば「肝」が悪ければ、イライラしやすい、
目が疲れやすいなどの症状が表れやすい体質となります。
未病治療とは、体の状態を観察し、患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、やがてはこんな症状も出るだろう」
と予測し、先回りしてアプローチをする治療といえます。
その場合の治療で、例えば経穴(ツボ)を用いて行う場合ですと、
実際に治療する施術者により選択する経穴は異なります。
ただ、仮に病の原因である臓腑に焦点を置くのであれば、
臓腑の病に用いるツボに「要穴」というものがあり、
その中でも代表格のツボを「原穴」と呼んでいます。
この原穴は原点の「原」であり、病の原因の源でもあります。
原穴は全部で12穴あり、そのほとんどは手首回りや足首回りに存在しています。
実際にどの原穴を用いるかは診断によるものの、
もしも手首回り、足首回りを自分の指で押し、心地良い場所があるならば、
その人にとっての「未病」に対するツボといっても間違いはないでしょう。
(徳江謙太/鍼灸師)