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はづきちさんのはまりもの

まだあったので日記帳になりました

ぱあとなあ12 二人の距離 (SS) 

2010-09-15 21:12:51 | ぱあとなあ(SS)

結果的に敗退はいい方に転がったのだと思う
俺は慎重さを取り戻し
少しでも疑問を持った相手とのブッキングは極力避け
春香が確実に取れる仕事、その場で一番輝くもので成功を収める事にしたのだ
小規模な仕事でも連続して成功すれば、同じ規模の仕事でも評価は高くなる
次の仕事を見据えた、今の仕事
製作サイドに与える安心を武器にコツコツと動く
安定感が春香の武器
それがこの仕事のやり方でわかってきた
春香自身もそれを意識し始めたのか、ブレが無く結果を出してくれている

「じゃあ次は少し大きく」
「ああ、今なら雑誌で特集が組まれてるからいけるだろう」
「ですね、ああ、それと衣装なんですが」
もはや恒例となった仕事の打ち合わせ
以前では俺が独りで決めてきたような事も今は春香を交えて話す事にしている
「…それで、CM撮影の…どうした?」
「千早さん、あっという間に駆け上がりましたね…」
視線の先のTVにはあの如月千早が映っていた
彼女はあのオーディションで歌った「蒼い鳥」を引っ下げて
勢いに乗ったまま、瞬く間に大物アイドルの仲間入りを果たしたのだ
年末の国内最高峰の歌番組にも出演が既に決まったと言う噂も流れる程に
「ああ、凄いな」
「えっ!?それだけですか?」
目を丸める春香
その顔は不思議そうだ
「それだけって…凄いじゃん」
「いや、あんな大器が近くに転がってたのに惜しいことしたとか!」
「別に」
ケロッと答える俺に信じられないような顔をする
「な、なんで!千早さんとだったらもうSランクだなーとか!」
「Sにはこれからなるから、一緒だよ」
「いやなりたいし、なるつもりですけど!」
「俺はそれなら春香がいい」
「ええっ!」
急に顔が赤くなって、下を見つめてる春香
表情がコロコロ変わって見ていて飽きない子だ
「いいか、俺は春香を信頼している、それは春香もだろう?」
「…ええ、まあそうなんですけど、こう面と向かって言われると」
「俺たちはパートナーなんだ、なにを恥ずかしがる事がある!」
「…そうですね!私たちはパートナーでした!」
そう言って硬く握手をする
いつの間にか出来たお互いの合図
強く握った手には熱がこもっている
「さあ!仕事の続きだ!」
「はい!」

まだまだ書類は山積みだし、その内半分は春香も目を通す企画書だ
時間はどれだけあっても足りない
そう!これだって今日中に…
「…ってもうこんな時間か!春香、帰らないと」
「でもまだ目を通さなきゃいけないの残ってますよ」
「そうだけどこれ以上遅いとまずいだろう」
車で送り迎えしているとは言え、春香の実家は遠い
この仕事を終えてからとなると確実に付く頃には朝と言う事態になってしまう
「明日は午後からとは言えそれは辛いだろう」
「でもこの書類の束、明日の朝までですよね」
「そうなんだが…まあ先方に明日の朝、俺から謝っとくから」
「ダメです!」
「えっ?」
「折角付いた安心して仕事が出来るイメージが崩れます!」
「いやまあそれは」
「しかも来週はオーディションなのに!今が一番大事なんですよ!」
「ううむ…」
確かに避けたいことではあるが…
「じゃあどうするんだ?」
「私!今日は泊り込みます!」
「…はぁ!?」
「こういう事もあろうかと!事務所に布団を持ち込んでおきました!」
そう言ってロッカーから布団を取り出す春香
ロッカーってなんだっけとも思う収納力だ
「…新品だな」
「あろうかもと思って入れておいただけですから」
胸を張っている姿を見ると
なんとなくこのセリフが言いたかっただけなのではないかとも思える
「いや、しかし…」
「他に方法があるんですか!」
「無いんだが…ちょっとそれはまずい様な…」
「私は大丈夫です」
きっぱりと言い放つ俺の担当アイドル
その顔は「もう決めました!」と言う決意に溢れている
そしてこの顔の時の春香の意見を覆せた事は…俺は一度も無い

TVからは「蒼い鳥」が静かに流れていた
もちろん頭になんか入ってこなかったが



そのちょっと後のお話

「まあ、こうなる気はしてたんだけどね…」
私は精根尽き果ててソファーで寝ているプロデューサーさんの顔を見る
結局仕事の話に熱が入り全てが片付いたのが午前3時
顔を洗ってくる間にプロデューサーさんは突っ伏して寝ていた
体勢をずらしソファーに横たえさせてタオルケットをかける
「これじゃあどっちが年上かわかりませんね」
眠るプロデューサーさんの顔を見て自然に笑みが出た
毎日遅くまで働いてるのは私も知ってる
それでも「春香が頑張ってるんだ!俺も頑張るぞ!」って言ってくれる
そんな姿が私の頑張りになってることを
プロデューサーさんはきっと知らないんだろうな
「全くこんな無防備な顔して…私だけ意識してるのがバカみたい」
まあもう長い付き合いだし
今更意識する私の方がバカな話かもしれない

「そういえばこんな近くでおやすみなさいって言うの初めてだな…」
そんな事を思いながら布団にもぐる
直ぐに私の意識は落ちていく
その寸前に呟く様に

「おやすみなさい、プロデューサーさん」


明日は多分いい日だって思う
だって目覚めたら一番信頼してる人がいるんだから




ぱあとなあ11 その意味は (SS)

2010-05-22 03:56:32 | ぱあとなあ(SS)
「そうか…君か…」
目の前の少女なら
あの「ダイヤの原石」とも思えた少女ならできた話かもしれない
「…あの、プロデューサーさん?」

まだ涙の晴れぬ顔で尋ねる春香
その春香に説明するように語りだす
「彼女は…俺が少しの間見ていた子だ」
とは言っても公的ではない
グッツ販売や裏方作業をしていた、いわゆるプロデューサー休業期間
その間に一人で自主練に励む彼女を見て、レッスンに付き合った
候補生として担当プロデューサーを待ち続け
デビューを夢見てその日のために、自分を鍛え続ける彼女に
気まぐれに手を貸した
わずか一ヶ月
だが充実した一ヶ月でもあった
懐かしい日を思い出しながらも
あの日とは違う、敵意を持った目の前の少女
「ええ、私はあなたに認められなかった」
「そうじゃない!」
勝手なことを言ったのだろう
口から出た言葉は本心ではあったが、その言葉は力など無い
事実、放り出してしまったのだから
「ならば、なぜ私をっ…」
言いかけた言葉を押さえ込み、少女はキッと春香に目線を向ける
「いえ、それは言いません、結果として私には不要なものでしたから」
「不要って…何が?」
恐る恐る聞く春香
俺には答えはわかっていた
それはいつまでたっても勝利者である彼女の元に現れない人物
本来ならば彼女の隣に常に存在する人間
「プロデューサーよ、天海さん」
それは断固とした崩れぬ意志から出た言葉
「勝利、成功といった孤高の門は一人でくぐるもの」
少女はコツリコツリとこちらに近づいてくる
迷いなくまっすぐに
「今日この時、そう確信しました」
見下ろす目、威圧感のある言葉
「あなた達に勝つことで」
切れ長な目が抱く視線はどこまでも冷たい
まるで氷のような
「私は独りで来た、そしてあなた達に勝った」
すぅと息を一息吸い込み、躍動の無い声で言い放つ
「私にあなたは要らない」
俺達に背を向け去っていくその少女は
威厳と自信
そして孤独を纏ってる様にも見えた

「プロデューサーさん…」
呟くような声に顔を向ける
そこには真剣な顔の春香がいた
「あの人との戦いは避けます」
「え?」
「歌という土俵じゃ勝てません、悔しいですけど」
顎に手をあて、しかめっ面の春香
いや…さっきまで涙目で茫然自失としていたはずなのだが
「今日の一敗で色々崩れてしまいましたから、プランが」
「お前、もうそんな、ってプラン?」
「いつまでも挫けてちゃいけませんし!」
「いや、立ち直りが早いことはいい事なんだけどさ」
色々とショックなことがあったはずのに…
「?、どうしたんですか?」
「いや、春香は立派になったなあと…」
「…私が立派になったならそれはプロデューサーさんのおかげです!」
少し笑って春香が言う
もしかして俺の指導が春香の根底に影響を与えてたのだろうか?
それとも無意識の内に俺の振る舞いから春香が得るものが?
「え?それはどう言う…?」
「プロデューサーさんがだらしないので、私がしっかりしなきゃいけませんから!」
うん、正しい
実に正しい、まさしく正解だが…
「年上の男としてちょっと傷つく」
「もう、プロデューサーさんったら!」
拗ねたような俺をパシパシと楽しそうにはたく春香
それはもう本当に楽しそうに
「こういう時ぐらい少し頼って欲しかったなーと」
小声で呟いた女々しい俺に
「隣に居てくれてるだけで…」
一瞬間があって
「私はいつもプロデューサーさんに頼りっぱなしなんですよ!」
と明るく微笑んでくれる春香が
本当に頼もしく思えた


ぱあとなあ10 翼持つもの (SS)

2010-04-16 00:32:55 | ぱあとなあ(SS)
「嘘…」
「まさか…こんなことが…」
努力が足りなかったとは言わない
準備が足りなかったとは言わない
ただ
そこに立っていたのは
圧倒的な歌唱力を持つ
本物の天才だった

「残念だったな…」
「…ごめんなさい、プロデューサーさん…」
消沈した春香が小さく謝る
「謝る必要なんてない、春香が謝るなら俺だって」
「いえ、多分どこかで油断してたんです」
その視線の先には
勝者としてスポットライトを浴びている後輩の姿があった
まさかとは思ったが
あの子が出てきてしまった
しかも明らかに俺達に敵意を抱いた敵として

「次のオーディション…ボーカルマスターか」
「ええ、そろそろいいんじゃないかと!」
春香の提案は俺も大体同意見だった
「たしかにこの日程なら、近くに開催されるこっちに焦点が行きそうだ」
「ええ、アイドルビジョンは珍しく大きなオーディションですからね」

アイドルビジョンとは不定期に開催されるオーディションだ
それは流行が停滞した時に、その流行の流れを変えるために出てくるとも言われ
新しい流行が確実にそこから発信される
自然とその注目度は高まり
勝者はその流行のトップとして爆発的に人気と地位を得る
Sランクとも呼ばれるアイドル達は
ほぼこのオーディションを勝ち抜いたものばかり

そのため高ランクアイドル達は
アイドルビジョンにエントリーをするだろう
ならば少々注目が薄れても、合格枠が厳しく
ランクアップ条件でもあるボーカルマスターをその隙に受けるのは良策だと言える
「現時点での参加アイドルにも格上は居なさそうだしな」
リストをめくり確認する
その中には春香と同ランクはほぼ居ない
ランク上の人間は先ほどのアイドルビジョンに行くし
ランク下は回避して違うオーディションに向かうのだろう
ここで早いうちに春香が参加表明をすれば
同ランクぐらいの冒険しないアイドルは大抵回避する
そうすればかなり優位にオーディションに望める事になる

「うん…?うちの事務所から?」
リストの所属事務所欄に同じ事務所を見つけた俺に、春香が呟く様に確認した
「…如月千早さんですか?」
「ああ、知り合いかい?」
「会ったのはこの間初めてだったんですけど…」
少々浮かない顔の春香
いや、これは疑問というか不に落ちない顔をしてる
「実は事務所で宣戦布告されたんですよ」
「…は?」
「私にもよくわからないんです」
そう言いながら頭を捻る春香
そりゃあ突然同じ事務所のアイドルに宣戦布告って
しかも初対面で
「なにか恨まれるようなことしましたっけ…?」
「しかもランク的にはこの子ほぼデビューに近いみたいだ」
「う~ん?ますます謎です…」
参加リストの情報だけではそこまで詳しくはわからない
わかったのは名前と同事務所、そして戦歴が無いってことぐらいだ
「オーディション参加無し…これだと殆どこの子の情報無いな」
「でもデビューしてすぐボーカルマスターだなんて」
敵とは言え心配した口調の春香
普通に考えれば無茶、無謀
「しかもランク上の春香にわざわざ宣戦布告まで」
「変わった子ですよね?」
「ああ」
変わってる?
いやこれは…
「おかしい」
「へ?」
「春香、ボーカルマスターの参加資格知ってるかい?」
「はい、知名度もしくは実力が一定以上の…」
ハッとする春香
「知名度が無いなら」
「実力…」


わかっていたはずなのに
「ゴメンな、春香」
「いえ…私こそっ、ううっ」
堪えた涙が我慢できなかったようで泣いてしまう春香
俺でさえこれほど感じている
当事者の春香の悔しさは計り知れない

俺達は全力で戦った
全力で戦い
その結果が負け
しかもランク下の後輩に
圧倒的な歌唱力の差で負けてしまったのだ

泣き声を押し殺すように震える春香に胸を貸す
せき止めたものが崩れるように春香は泣く
「くそっ!なんでこんなアイドルが世に出ていなかったんだ…」
その情報量の少なさについ愚痴が出た
愚痴を出せた、敗北した原因が俺にはここしか見出せなかったのだ
「…それはあなたが一番知ってるはずでは?」
呟いた愚痴に対する答え
それを発したのは俺達に敗北を与えた勝者
出場者リストにあった名前
如月千早
その時、感じた既見感
「そうか…君か…」
「はい」
その圧倒的な歌唱力
それに負けぬ威圧感と覇気
デビューしたてのアイドルが持てるものじゃない王者の風格
纏うのは
あの時の、あの少女

「お久しぶりです、プロデューサー」












最近あったこと

3/22
アイドルマニアックス(同人誌即売会)に行きました
性的な本を一冊も買いませんでした
自分で自分を褒めてあげたいです

3/23
我慢できずにとらに行きました

4/1
嘘をつくつもりが、本当のほうが大変でした
悔しいのでとらにいきました

4/15
ライブの当選報告が色々と出ていたので
僕もワクワクしながら結果を調べてみました
悔しいのでとらにいきました


5月は十勝に行きます
何をしに?と聞かれて
即売会にって答えるのが凄い


ぱあとなあ9 海と空 (SS)

2010-02-28 00:59:49 | ぱあとなあ(SS)
あんなことがあったのに
春香は意外なほどに気合に満ちていた
テンションが落ちないとでも言うべきだろうか
ここ数週は絶好調をキープした状態で飛ばし続けている
「ただいま赤丸急上昇!天海春香さんでした!」
司会者のアナウンスに観客の声援が重なる
他の出演者よりも一回り、いや二周りも大きい歓声
それはそのまま他の出演者と春香の人気の差だ
この番組のメインは今、確実に春香だった

「いやーいいですよ、春香ちゃん!さすがオーディション1位!」
「ありがとうございます、時間も多く取っていただいて…」
「いやいや、時間枠は順位で決まるのが慣例ですし、実力ですよ!」
番組スタッフの明るい声に、こちらも相応の声で返す
褒められるのは嬉しいこと
担当する春香のことならなおさらだ
「プロデューサーさんの指導の賜物ですか?」
「あれは春香の実力ですよ」
「謙遜なさらなくてもいいじゃないですか!あ、これからもお願いしますよ!」
違うスタッフに呼ばれて去っていく番組スタッフ
その背中を見つめながら一人思う

確かに俺も昔よりは熱心になっている
春香に秘密がばれて、全てを告白した後から
より高みへと彼女を押し上げるために様々な事はしている
自分に出来ることはそんなに多くないが
挨拶回りや、資料作成、スケジュール管理など
裏方作業の量は以前の2倍以上になっている
まあ、これはランクが上がれば普通に多くなるもんだと
先輩に言われた通りなのではあるのだが
しかし、それさえも…
「どうでした!プロデューサーさん!」
「ああ、凄くよかったよ、お疲れ様、春香」
「えへへ!今日は後1本ですから!」
「しかし日に4本撮りってのは…飛ばしすぎじゃないか?大丈夫か?」

春香は自分で自分のスケジュールを作る
仕事の選択も話し合って行われてはいるが最終決定は春香だ
自分の限界を知っているのか、倒れた事などはないのだが
やはり一日の最後にはヘトヘトになっている
送迎の車で寝てしまう事などしょっちゅうだ
俺なんかより全然忙しい
「大丈夫です!私は私の事わかってますから!」
「そうは言ってもなあ…無理しない程度に頑張ればいいんだぞ」
以前からの俺の主義はまさにこれ
頑張りすぎてる春香が少し、いや大いに心配だ
そんなに頑張らなくてもいいんだよ
どこかのCMではないが少しのんびりとして欲しい
「…でもそれじゃ間に合わないじゃないですか」
「ん、なんか言ったか?」
聞こえなかったので聞き返す
慌てて春香はジェスチャー交じりに答えた
「ほら、今私達凄くノッてるじゃないですか!」
「まあ、確かに」
「前回の活動時より絶対にもう上のランクですよ!」
「CDの売り上げから見ても、もう立派な大人気アイドルだしな」
「そんな時に足踏みなんてしてられないじゃないですか!」
「そうなのかな…?」
「そうですよ!」
首をひねる俺の肩を掴んでうなずく春香
まあBランク以上になったことの無い俺達は
確かにここからは手探りでやっていかなければならない
前回は俺の弱気な
良く言えば堅実、悪く言えば臆病なプロデュースでC止まり
ここは春香の言うとおり強気に攻めたほうがいいのかもしれない
「よし!それじゃあ次の現場に向かおう!」
「いい答えです!プロデューサーさん!」
拳を握り燃える俺達
困ったことに俺達の主導権は春香にあるようだ
「じゃあ、車を回して来る!」
「私は着替えときます!」
無意味に熱い作業確認をして地下駐車場に向かう
春香に負けてはいられない
俺も頑張らなくては!

「ふう…ノリやすいプロデューサーさん」
呟いた言葉で少し頬が緩む
先輩からのアドバイス、過去のデータの比較
それらを統合して自分に当てはめる
全てがデータ通りに行くことは無いだろうが参考にはなる
結果的には確かに少し駆け足だが
1年以内にSランクなどという無茶な目標を掲げているのだ
やりすぎていけないことは無い
やらないで後悔するよりは、やって後悔したい
後悔なんてするつもりも無いのだけれど
私が連れて行くのだ
私、
そしてあの人を高みへ
そのために打つ次の手は…
「ボーカルマスター」
「!」
春香の目の前に切れ長の目をした少女が立っている
髪は美しい青色のロング
ステージ衣装に身を包むその姿から同じアイドルだとわかる
いや、見覚えがある…この子は…
「初めまして、天海春香さん」
「あなたは…如月千早さん?」
自分のライバルになりそうな子の資料は目を通している
だが、同事務所という点でマークは外していた
同事務所の、後輩

「天海春香、あなたにボーカルマスターで勝負を申し込みます」

彼女の二の言葉は紛れも無い宣戦布告だった























すっかり月二更新!
しかもギリギリ!
もうちょっとペース上げますから
ごめんなさいごめんなさい

サリーちゃんのパパがブログやってるとか思うとかなりの違和感
魔法使いサリーは
一番パソコン関係のCMに向かないんじゃないかしら
サリーちゃんのパパがみくしーで魔法使いコミュに入ってたり
「サリーを追いかけて人間界なう」とか呟かれても
なんだ、その困る

そんな毎日ですが
僕はおうちにブリリアントな小鳥さん(代引き9080円)が届いて
何の気なしに下から覗いてみたりしてる今日この頃
皆さんいかがお過ごしでしょうか
あ、白

僕は花粉症の酷い時期も近づいてきて
目もしょぼしょぼで喉も痒くてとても辛いですが
小鳥さんの仏像は実に癒されます
あ、白

そういえば2年越し以上のアケユニットが1つ引退したので
それに関して近いうちになにか書くかもしれません

まだあるんだけどね!
同時期開始のユニットが!

あ、白



ぱあとなあ 8  最初の言葉 (SS) 

2010-02-04 03:46:21 | ぱあとなあ(SS)
「…と言うことなんだ」
掻い摘んだ説明に、聞き入る春香
涙がまだうっすらと残っているその瞳が見開いたり、瞬いたり
やはり驚きを隠せないのだろうか
「つまりプロデューサーさんは首になりたくないので私を利用したと」
「そうだな、その通りだ」
凄く的確に要約してくれた
説明下手な自分
そして秘密にしていた気まずさも含め自己嫌悪がこみ上げる
春香の言ったとおり
俺は保身のために、かってのパートナー春香を使った
それが一番勝率の高い方法だったから
他の選択肢があった以上
春香を選んだのには打算があった
だから純粋なプロデュースではないのかもしれない
利用されたと春香が思うのも当然の事だ
「もし、こっちの仕事で無くなったら…」
「ん?」
「もう、プロデューサーとして仕事は出来ないんですか?」
少し戸惑うように聞く春香
「そうだな…子会社がどんな仕事にかもよるだろうけど無理だと思う」
小鳥さんはパックマンの仕分けとか冗談を言ってたが
おそらくは表舞台となるこの場所からは離れるだろう
それこそ俺がプロデュースをしてなかった1年のような
グッツ企画や広報の
しかもメインではなくバックアップ
権限も力も、今とはずいぶんと違う場所だ
「それは…嫌です」
「うん?」
かすかな震えるような春香の声
「1年プロデューサーさんとやってきて、それで今また再開できて
もうずいぶんと一緒にやってきたのに、別れ別れになるなんて…
会えなくなるなんて…」
「…そうだな」
プロデューサーで無くなればもちろん春香と会うことは無くなる
春香関係の仕事をするとしても
今のように面を向かって会話すると言うことはもう無いだろう
「寂しいよな、折角春香と再会してまた仕事を始められたのに」
「そうですよ、私が最後なんていやですよぉ」
ちょっとジーンと来る
涙がまだ乾ききってない瞳
その少し湿った瞳で、春香に上目使いにこんなこと言われたら…
「縁起悪いじゃないですか!」
全部吹っ飛んだ
「引退するプロデューサーの最後のアイドルなんてなんか嫌ですよ!」
「…そうだな…縁起悪いし、やだよな」
さすが成長した春香さん
別れたくないとかそういう感傷的なことじゃなくて
縁起の問題だったらしい
実はジーンどころじゃなくて
少しドキドキしてしまった俺の気持ちは勘違いだった事にする

「全く…最初からちゃんと説明してくれれば私だって…」
「? なんか言ったか?」
「いいえ、何にも」
涙を袖で拭き取った春香は妙にスッキリした顔
そしていつもの明るい笑顔に戻る
「それじゃあ次のオーディションの用意をしましょうか」
「えっ?…手伝って…くれるのか?」
「ええ!困った時は手助けしあう!それがパートーナーですよ!」
「…ああ!」


それは俺が初めて春香に会った時に話した言葉
俺がこの仕事を始める時に自分に誓った言葉
あの日誓った二人の言葉
「苦しい時は助け合って励ましあって一緒に頑張ってく
それがパートナーだ、頑張っていこうな!」
「はい!プロデューサーさん!」
2年と少し経った今でも
春香はこの言葉を覚えていて、大事にしてくれていたのだろうか

「ああ、春香、そうだ」
「はい?なんですか?」
「ごめんな」
「…はい」















えっ!もうSPの発売から1年経つの!?
世間ではPS3でライブが行われたり実に楽しそうですが
自分はPS3持って無いので
寂しく膝を抱えて、ごまえーごまえー歌っております
…やはり次回作はPS3なんですかね?
まあPS3を買うきっかけにもなるので
個人的には別にかまわないのですが
あのアケのヒリヒリした緊張感が味わいたいので
そんな感じでお願いします
セーブしないで消すとファン数激減とか
ネット繋いで無いとアケのオフライン台みたいになるとか
最初のオデからLv12に囲まれたり

CDもスプリングCDまで間が開いて
少し寂しい感じですが
さりげなく発表されたカバー曲
◇萩原雪歩歌唱曲
For フルーツバスケット
これに今からドキドキしています!
うわ!凄いの持ってきたなあ!と
楽しみだー

ウインターの時にも感じたんですが
「君はメロディ」「またね」はPSPDL曲なので
なにやら自分の中で定着していないんですよね
ですからそれらのマスターVerが聞けるのも
またCDの嬉しいところで
はやくはるになれー





ぱあとなあ 7 信じてる (SS) 

2010-01-19 04:10:54 | ぱあとなあ(SS)
「プロデューサーさん…」
「…いや、俺は俺の出来ることで最大の事を」
「で、これですか?」
「…はい」
あきれる春香の前に置いてあるのは黒い消し炭
もとい玉子焼き…になる予定だったものだ

オーディションに自らが考え付いた奇策で勝った春香
それのご褒美ということで何が欲しいか聞いたのだが
なぜか春香からでて来た答えは
「プロデューサーさんの手料理が食べたい」
とのある意味最強クラスの無理難題が飛んできたのだ
自慢ではないが俺は料理はほぼ出来ない
いや、しないのだ、だからやれば出来る!
…んじゃないかな?と意気込んで出来たものが目の前のこちらになります
「プロデューサーさんって不器用なんですねー」
春香の鋭い一言が胸に痛い
しかもなぜか嬉しそうだし
「じゃ、じゃあ春香は…って聞くだけあれだった」
「ええ、私はそれなりに出来ますから」
お菓子作りが趣味な春香は普通の料理もやはり美味い
時々作ってくるサンドイッチなどに俺の胃袋は癒されているのだ
「しかし何だって俺の料理なんか…」
ふさくれる俺に春香は笑顔で答えた
「食べたことありませんでしたから」
「まあ結局食べれなかったんだが」
消し炭を見つめる俺
「でもそのことがわかっただけでいいかなって」
「…俺が消し炭しか作れないことがか?」
「はい」
どこまでも笑顔だ
くそう、春香に手玉に取られてる
というより再結成からずっと手玉に取られてる気すらする
時は俺と春香のパワーバランスさえ崩してしまったのか!

「次は何のオーディションですか?」
「ん、ああ…実はな…」
言いにくい
現在のランクはC
そう前回のプロデュース時と同じ所まで来たのだ
本当ならばここからはじっくり行きたい
レッスンを重ね、実力と時勢のタイミングが重なった時にオーディション
そうしたい
そうしたいのだが…
あの事務員さんはまたもや笑顔で無茶を告げた
「「特別レベルのオーディションだけ受けてください」なんて無茶を言いやがって…」
今度の指令は特別オーディションの連戦制覇
極端に合格枠が少ないオーディションを特別オーディションと呼ぶ
先日合格したダンスマスターもその一つなのだが
それぞれに難易度が高いそんなオーディションがまだまだあるのだ
そしてそんな中でも今回は…
「HIT-TVだ」
「…」
告げる俺
それを聞き思案顔の春香
そりゃあそうだ
HIT-TVは事実上のTOPアイドルオーディション
現時点の春香では正直勝つ方法が思い浮かばない
自殺行為とも言えるのだ
「プロデューサーさん?」
「な、なんだ?」
「おかしいですよね」
「何がだい?」
「…何か隠してるでしょ?」
「そ、そんなことはないぞ」
思わず目を逸らす
まさか「とんでもない指令の元にプロデュースしてる」なんて言えるはずが…
「目を見てください」
「春香…」
そのまっすぐな瞳は
隠し事をしてる者には直視できない瞳
やはり目を逸らしてしまう
「プロデューサーさん…」
「いや、あのな」
「私達はなんですか?」
「アイドルとプロデューサーで…」
「そんなことじゃなくて!」
口調が荒くなる
逸らした目を戻せないが震えてる
見えないが、わかる
「私達は…パートナーでしょう…」
静かに重く春香は呟く
「私達に関することなのに…私には秘密なんですか?」
「…春香」
「私はプロデューサーさんを信頼してます!でもプロデューサーさんはっ!」
「俺だって…」
ダメだ、これは単なる言い訳だ
自分の保身のために春香を利用していると
それが事実だから、言いたくなかった
春香は賢く、そして感の利く子になったのだろう
その事実に、自ら気が付いてしまった
多分俺は、怒られた子供のような顔をしていたんだろう
そして春香は泣いている
怒りながら、目の端に涙をためて
「…ごめんな春香」
「…」
「全部話す」
「…聞いた上で辞めるか辞めないか決めますから」
「ああ、聞いてくれ、それから判断して欲しい、俺は無茶を言ってるから」



ぱあとなあ 6 Haruka's strategy (SS)

2009-11-30 03:08:38 | ぱあとなあ(SS)
結局、ダンスマスターってオーディションは
その名の通りダンスの上手い奴が勝つオーディション
それでいて、現段階ではダンスで春香では真にかなわない
ならばどうするのか
俺の考えた作戦は真を落とす方法
下剤とか、シューズに切込みとか、衣装を隠すとか
つまりはまあ卑怯な手段であって
実に少女漫画な反則技
もちろんこんなこと常識で考えればできるはずがない
そんな無駄な意見も合わせて
(要するに俺が無能と言うことなのかもしれないが)
春香と一緒に真の「攻略法」を話し合ったのだが…

「まさか春香発の作戦で戦うなんてなあ」
時というのは本当に偉大で
いや、俺が春香を見くびっていたのかもしれない
自分からそれ以上の策が出なかったと言うのもあるのだが


~数日前~


ホワイトボードにペンで色々書いて話し合う俺と春香
今の先生役は春香だ
なお、俺の「カエルを真のカバンに入れる」という作戦案には春香により大きく×が引かれている
「いいですかプロデューサーさん、どんなオーディションにも山があります」
「うん」
「そこでの印象付けが最終的な勝敗を決めるといっても過言じゃないんです」
「昔からそれは言われているけど…その山場がわかるものでもないだろう?」
「そうです、そのときの流行や参加する審査員、要素が多すぎてわかりません」
「ああ、それを探すぐらいなら、レッスンに精を出すべきだ」
そう、これは俺が先輩プロデューサーに教わった定説の一つ
確かに打ち筋と言うか、アピール指示にもテンプレートのようなものは存在する
だが勝負は水物
確実に勝てるようなものは探したって見つからない
そんなものを頼るなら自己を鍛えろという正論だ
「ですが今回はダンスマスターと言う超有名オーディションです」
「有名だからって勝てるポイントがはっきりしてるわけじゃないだろう?」
「でも重視されて見られる点、そしてそれを見る審査員さん達の代表、それはわかってます」
「ダンスと…軽口さんか」
ダンスマスターはもちろんダンスに重きが置かれているオーディション
そしてその審査委員長である軽口さんは
その世界では大変権威のあるダンスの大御所なのだ
「そうです、ダンスマスターと言う舞台で軽口さん、これで不確定要素が二つ減りました」
指を折る春香
その顔には自信が溢れている
「そして課題曲、過去のオーディションの情報、そして真!」
「真?」
「ええ、真が勝負を仕掛ける決め場所…ここがおそらく山場です!」
「なぜそんなことがわかるんだ?」
自信満々な顔の春香に尋ねる
「真がダンスでは一番だからです」
「え?」
「軽口さんはダンスを見に来てるんです、一番凄いダンスを」
「そりゃあダンス審査員だからな」
「そして今回の参加者には真以上にダンスが上手な人はいません!」
「ああ」
確かに今回は真を恐れてか、同レベルや近いレベルのアイドルは回避
残ったのは無謀と思われる春香
そして数合わせと思われる新人アイドル数人
真と春香の差はダンス以外では正直さほどではない
勝っている面もあるかもしれない
そして春香と真以外は実力に相当差がある
結果的には春香と真の一騎打ちなったのだ
「それなら真の決め所が山場なはずじゃないですか!」
指をビシッと立ててえっへんと力強い春香
その単純なんだか、複雑なんだかよくわからない意見に
俺は思わずこくりと頷いてしまった

「あれ?…合ってるのかな?」

オーディション会場にて
今更それはないだろう
俺よ


オーディションが始まった
アピールは上々
春香自体のレッスンの成果もあり
審査員の印象も上々だ
やはり軽口さんは真に注目しているようだが
春香もいいところにつけている
ボーカルやビジュアルでは審査員が春香を褒めるぐらいだ
中盤過ぎて誰の目にも春香と真の一騎打ち
真がダンスでは一歩抜き出ていて
その他はほぼ互角、と言ったところだろうか?
春香が重点を置いているボーカルはおそらく真より高得点なのだが
軽口さんの評価がダンスマスターの評価と言ってもいい
そしてその軽口さんは真を見ているのだ
それはこの後、曲の山場がくるから
そしてそこが真の決め場所(春香談)
確かにここで凄いアピールをなどされたら
軽口さんの注目は最後まで真に注がれ、審査終了まで独走されてしまうだろう
サビの一番盛り上がる部分
そこに向け真の動きが徐々にダイナミックになっていく
テンポが上がる、溜めを入れる
そして曲が絶頂を迎える一番いい所、山場、決め所
そこで


「きゃあ!」

春香がこけた


「転ぶ?」
「ええ、私が盛り上がりの最高点で転びます」
「確かに真から注目は外せるだろうが、春香も評価下がるだろう」
「それでも真から視線は私に行きます、そうさせるのが大事なんです」
指を立てしたり顔
よほどの自信があるのだろう
「もし真をそのままにしていたら、最高潮に高まったダンスから有終の美まで視線独り占めですよ」
「そうなるだろうな…」
「でも私が転んだら!そこからの私の盛り返しを審査員なら見なきゃいけない訳です!」
なるほど
2位につけていた春香がアクシデントを起こす
もしその時点で1位ならば2位に転落するだろうが
もう2択の様な状況での2位のアクシデントなら
審査員はそこから盛り返せるかを見なければならない
つまり春香を見なければならないはずだ
「時間的にもそこからは最後まで私に視線が集まりますよ!」
真から視線を外させ最高のアピールポイントをチャラにする
その上そこから審査員の視線を春香に釘付けにし続けることが出来る

「あれ?これって実は凄い事なんじゃないか?」

と思ったのはまさにオーディション会場が春香の予想通りに動いている
そんな状況になってから
審査員達、特に軽口さんは春香から視線を外せない
転んだ後のダンスがかなりいい事も手伝っているのだろう
こうなると失敗を取り返そうと言う必死さもいい感じに映る
そしてそのまま
春香は会場の視線をその一身に受けオーディションは終了した
作戦は大当たりだったのだ
そしてそれはそのまま…

「春香…凄いな」
「ええっ!やりましたねっ!」
感嘆しか出ない俺だが春香はいたっていつもの通り
この顔は無邪気な女の子の笑顔だ
必勝の策を考え付いた軍師の顔にはまず見えない
「いや、春香一人でもよさそうなぐらいな、いいオーディションだったぞ」
「ダメですよ!」
冗談で言った言葉に強く反発される
「プロデューサーさんはパートナーなんです!いなくちゃダメなんです!」
「…ああ、悪い」
その形相に思わず面食らった
「そうだ、ちょっとジュース買って来るな」
そのままうつむいてしまった春香から、半ば逃げ出す様にその場から離れた


「私が弱かったから、ダメな子だったから、
プロデューサーさんはプロデューサーさんじゃなくなっちゃったんだもの…」


その呟きに
俺はまだ気づいてなかった
春香の優しい無理に気づけなかったのだ





天海春香 現在のランク C




ぱあとなあ 5 明かせない (SS)

2009-10-11 01:47:50 | ぱあとなあ(SS)
「勝ち目はないです」
「やっぱり?」
顔をつき合わせて二人で座り込むレッスン場
先日小鳥さんに言われた指令
「ダンスマスターで真を倒す」
遠まわしに春香に伝えてみたのだが…
「ダンスは真の一番得意なジャンルですよ」
「うん」
「しかも真は今一番油の乗ってる時期で、飛ぶ鳥を落とす勢いです」
「うん」
「普通なら今、真と正面切って戦ったりすることは自殺行為ですよ」
「だよなぁ…」
薄々というかやっぱりというか
アイドルからの視点からしても厳しい事らしい
「…何を焦ってるんですか?」
思わずギくっとするが
まあそう思われて当然
真に勝つことのメリットは注目度とファン数の「急激」な上昇だ
逆にデメリットは敗北時のイメージ減退とファン数下降
そして俺の強制出向
俺のことを抜きにしたって無謀すぎる
今の時期は上昇気候に乗って
オーディションを勝ち続けていかなければいけないのだ
それらの結果の位置に居るのが今の真
時期の仕上げとしての「ダンスマスター」なのだろう
真サイドが一番力を入れているオーディションとも言える
ランクで言えばCからBに上がる時期なのだ
一方春香はDに上がったばかり
知名度ではかなりの差がつけられている
実力では…ダンスは正直かなわない
普通ならそれ以外での勝ちを狙いに行くが
今回はダンスなのだ、ダンスマスターなのだ

「…どうすっかなー」
それでも勝たなければいけない
それが指令
とても理不尽な小鳥さんからの指令
いや小鳥さんは伝言役だから社長からの指令なんだろう
ならばどうすれば勝てるのかを考えなければいけない
・真が居るから勝てない
・なら真をどうにかすればいい
・真の靴に画鋲を入れる
姑息な手段ばかりが頭に浮かぶ
いや、下剤をなど小声で悩みながら唸る俺を見た春香が
「何か悪いこと考えてるでしょ?」
「えっ!」
「プロデューサーさんの悪巧みはすぐ顔に出ますから」
ため息をつくように言った
まあ…その通りなんだが
顔に出てるのか…姑息な手段が…
「なんか変です、プロデューサーさん」
少し不安げな顔で春香が呟く
「あまりプロデューサーさんらしくないって言うか…前と違うというか」
気づかれてる
そりゃあこの挑戦自体を俺がおかしいと思ってる
だから当たり前かもしれない
春香にそれを気づかれても
だが上に言われて…なんて言いたくない
無茶な計画に巻き込まれてるのは春香だ
巻き込んでいるのは俺
悪く言えば春香を使って保身を考えてる
そんなことは知られたくない
春香はいい子だから
だからできれば何も知らないでSランクまで連れて行きたい
そうすれば俺も彼女も幸せになれる
なれるはずなんだ

「春香に言うのもなんだけど俺はのんびり派だった」
「そうなんですか?」
「今にして思うとと言うことなんだがあまり冒険はしないタイプだ」
「あまり大きなオーディションってそういえば出ませんでしたね」
「しかし気づいたんだ、それじゃあダメだって」
一息つき少し大げさにポーズを付け
「プロデュースだけじゃなく、自分自身のそういう所を直して行こうと思ったんだ!」
言い放った
我ながらナイス言い訳
とっさに紡いだ嘘としては上出来だろう
もちろん心の中では未だに専守防衛なのだが
主に自分の仕事や秘密を守るという意味で
「なるほど」
思案するように顎に手をやりうなずく春香
勢いに流されてるという事ではないようだ
昔の春香だと絶対訳わかんないように呆けてたと思う
時は偉大だ
「わかってくれたか!春香!」
「わかりましたけどそれを今担当してるアイドルに話すのはどうかと思いますよ」
時の偉大さは失敗に突っ込める落ち着きまで持たせたようで
全くその通り
アイドルからすれば冒険させられてると言う事になる
これはあまり気分のいいことじゃないだろう
「あ、え、えーとな、春香」
何か言い訳を搾り出そうとすると
「でも」
可愛げに人差し指で言葉をさえぎられ
「ちょっと積極的になってくれるのは嬉しいですよ」
とウインクされた
「じゃあ一緒に考えてみましょう!真の倒し方!」
なぜかノリノリな春香
「倒し方ってゲームのボスじゃないんだから…」
「いいんです!真を倒してこそ新しいプロデューサーさんが始まるんですよ!」
凄いことを言われた気もするが…
テンションが高いことはいい事だよな?
な?



天海春香 現在のランク D







ぱあとなあ 4 指令 (SS)

2009-06-20 02:00:56 | ぱあとなあ(SS)

「順調、順調」
思わず笑みさえ出てしまう
ルーキーズの合格は狙い通り追い風となり
春香の知名度を一気に押し上げた
結果相応ランクのオーディションも有利に進められ
合格に次ぐ合格
あっという間のレベルアップ
リミットを気にする事無いアイドル活動だ
「いいなー、この余裕…」
喫茶店で飲むコーヒーも格別に感じられる
やはり人間余裕を持たなければいけないね
「それもそろそろ切れるんじゃないですか?」
冷静な言葉に現実に戻される
折角の夢心地だったのに
「って、小鳥さんですか」
「はい、私です」
ニッコリ微笑む小鳥さん
いい笑顔なんだけど嫌な予感がするのはなぜだろう
なんと言うか消費者金融のお姉さんのような…
「今日はプロデューサーさんにいいお話を持ってきました」
これだ
この人の話って俺にとっていい話であった覚えが無いのだ
「春香は順調ですよ」
「そりゃあもう」
ニッコリ笑顔の小鳥さん
「でも誰がやってもこれぐらいはしてくれます」
その笑顔のまま言い切りやがった
「元々春香ちゃんは優秀なアイドルで引退してからも定期的なレッスンはしてたんですから」
「あ、やっぱり」
春香自身と話したことは無かったが
やはりブランク期間にも彼女はレッスンを受けていたのか
決して過去の力だけでの今の春香では無い
過去からの積み重ねや現在の努力が頼りになる今の春香を作ってる
「そんなアイドルと組んでいるんですから、ある程度の成功は当たり前です」
「言ってくれますねえ…」
正論過ぎて何もいえないけど
「という事でそんな普通の成功は社長も望んでいないんです」
「はっ!?」
「Sランク、1年以内は最低条件」
ちょっと待て
それ自体だってかなり無茶な話
だがそれを成し遂げなければ俺は出向
パックマンのオスとメスを分ける仕事に一直線
そう言われて俺は再び動き出した
春香と共に
「ちょっと待ってくださいよ、かなりのペースですよ、今回」
「ええ、でもそれでも足りない」
「無茶だ!」
声が張りあがり、周りの人がこちらを見る
「落ち着いて」
たしなめられて再び席に付いた
確かにアイドルは優秀でも俺は平凡なプロデューサーだ
いや、むしろダメな方かもしれない
最高ランクはCランク、経験も深いほうではない
特別な武器があるかと聞かれれば特にそんなものも…
「そろそろ世間の話題が切れかけてるでしょう、春香ちゃん」
「ルーキーズ合格からしばらく経ちますしね」
話題性という意味では確かに少々寂しくなっている
ここでのテコ入れというかバックアップが
プロデューサーの腕の見せ所という事で
すでに雑誌に特集の予定は入れてもらっている
そんなに大きな雑誌ではないが
「無難なものばかりで大きな成果は得られませんよ」
「そりゃあまあ確かに…」
「ちょっとした冒険、無茶が伝説を作るんです」
指を上げ得意げな小鳥さん
とはいえ現実にそんなことはなかなか無い
「特に今回のプロデュースはちょっと特殊なんですから」
「Sランクアイドルって狙ってなれるものでも無いと思うんですけどねぇ」
俺の呟きに小さく俯く小鳥さん
そして返すように
「ダンスマスター…」
「はっ!?」
「ダンスマスターに出てください」
無茶だ
前回の活動時には合格どころか受けてさえいない特別オーディション
ハイレベルなダンス技術者が集まり競う
なにより今度のダンスマスターには…
「ウチからは真ちゃんが出ます」
コーヒーを傾け小鳥さんは言う
「なぜ!同事務所でファンを奪い合う必要は無いじゃないですか?」
特別オーディション
もちろん合格枠は1つ
特別な事情が無い限り
いやできるだけそれは避ける
それが暗黙の掟のようなものなはずだ
小鳥さんがそれを知らないはずは無い
知らないはずは無いのだ
「ダンスマスターで菊地真を倒す、それが次のあなたの仕事です」
さも当然のような言葉
口に含むコーヒーは冷め切っていた



















またアケでやよいが負けたー!
そんな最近
凄く辛い
ついでにSPのトロフィーが後3つでコンプ

そんな自分
樹里さんのブログの更新を楽しみに生きています
まさかあそこまではまってくれるなんて…
好きな漫画を好きになってくれるのは嬉しいですね
CDの発売も延びてしまってちょっと間が空いた感のある6月です
とはいえ、律っちゃんオンリーや夏の準備
来月には大阪や今年も夏は色々暑くなりそうですけど
秋にはDSですし

昔、書きましたがあんばさというサークルで
大阪即売会参加させて貰ったのですがそんなあんばさ
夏とちょっとしたもの(いや、我々からすると大仕事)に参加します
見かけたら笑ってやってください



ぱあとなあ 3 ルーキーズ (SS)

2009-06-10 22:07:32 | ぱあとなあ(SS)

「やってきました!ルーキーズ!」
「テンション高いな、春香」
「もちろんですよ!元気が無いと勝てるオーディションも勝てませんよ!」
なんというか元気たっぷり
まあ2回目だし、そんなに心配はしていないんだが
ここを落とすとおそらくSランクは絶望的だ
本来なら一番気合を入れるオーディションである
「だけど一回合格してるのに、また受けるってのも変な話ですよね」
「俺たちは再スタートだしな」
このオーディションの参加資格
それはデビューしたての人間である事
周りを見ればやはりまだ初々しい子が多い
初めに受けるオーディションの代名詞でもあるルーキーズだが
比較的開催回数は多く
少しでも危険を感じた場合は回避をするアイドルが多い
制限期間はそれなりにあるものの、合格枠は狭く
オーディションの中でも特に過酷な「特別オーディション」の一つ
それが「ルーキーズ」なのだ

今回は俺たちは「危険な存在」の方だろう
リスタートで知名度もそれなりにある
本来なら受ける必要は無いのかもしれないが
合格すれば知名度はかなり上昇する
そこに合格したのは「あの天海春香」だと印象付けられれば
プロモーション効果もかなりのものになるし
結果として、かなりスターへの階段を駆け上がることができるだろう
春香の実力も現役最盛期とまでは行かないが
正直このランクの子達となら比べるまでもないレベルだ
強くてニューゲーム、メジャー挑戦で新人王
それが今の俺たちの状態
「いいか、春香…ってあれ?」
さっきまで目の前にいた春香が居ない
見渡せば部屋の隅でなにやら他のアイドルと話してる
「余裕があるなぁ」
春香ではなく、春香と話しているアイドルにそう思った
ゼッケンを付けているという事は今日のオーディションに出場するのだろう
ライバルであり最有力候補の相手とオーディション前に談笑とは
意外と大器が隠れているのかも…
こちらに気づくとその子は一礼して離れていった
「春香?あの子は?」
「憧れてるって言われちゃいました」
ニヤニヤしてる
嬉しいのはわかるけど
そういう時の春香って大抵変な失敗を…
「今、なんか失礼な事考えてませんでした?」
おおう、読まれてる
1年の間に読心術でも身に付けたのだろうか
それとも俺の考えが顔に出やすいのか
どっちにしても恐ろしい
「いや、春香のファンと戦うってのも」
話題逸らしで口に出してハッとする
春香は…戦えるのか?
自分を尊敬している後輩の未来を少しでも潰す事に
ためらいを覚えないだろうか?
思考に臥せっているとクイとスーツの裾をつままれた
「プロデューサーさん」
「なあ春香?」
聞こうとした問いを遮り
「私は勝ちます」
視線はこちらに向けず、前を見て春香は続ける
「プロデューサーさんと復帰したあの日から」
その前だけを見つめる瞳には
「私は誰にも負けないって誓いました」
決意が溢れていた


オーディションは彼女の言葉通り圧勝に終わった
勝者である春香はステージ後の取材攻め真っ最中だ
ふと見れば春香を見つめる、先ほどのアイドルの姿
落選した悔しさや絶望ではなく
その目は輝き、清清しい顔で
勝者である、自分を凌駕し敗北させた春香を見ていた
「日高愛…か」
オーディションで知った名前を口に出してみる
その名前が将来スーパーアイドルとして光臨するのか
このまま埋もれて消えていってしまうのかわからない
だが
その憧れと輝きに満ちた真っ直ぐな瞳に
俺はルーキーズの持つ初々しさや期待、未来を感じていた






天海春香 現在のランク E















まずはごめんなさい
間が開きすぎですね
本当に
ライブの後はなんというか燃え尽き症候群でして
なんかぐでーと暮らしております
レポなんかも描いてたんですが
文章の方のレポもそろそろ上げたいところ
DSやなんかについても書いときたい事は沢山ありますし
秋頃とか言ってたから
妄想はお早めに!

夏コミが受かったようです
何を出すかはまだわかりませんが
おそらくワンダリングスター漫画かと思います
拙いですがよろしければお越しいただければ幸いです
私が