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はづきちさんのはまりもの

まだあったので日記帳になりました

ぱあとなあ 2 僕たちの計画 (SS)

2009-05-26 10:46:51 | ぱあとなあ(SS)

出合った時はお互い素人だった
新米プロデューサーとアイドル候補生
手探りの紆余曲折を経て
俺たちはランクC
いわゆる中流アイドルと呼ばれるところまで届いた

結果的に俺たちは失敗した
何も知らなかった
知らな過ぎた
うまく立ち回ることも
全てに全力過ぎたのだと思う

「プロデューサーさーん」
「う、ああ…春香か…」
光の中に春香を見た
朝になっていたのか
「事務所で朝までって…ダメですよ」
「ふああああー」
返事代わりの大あくび
「でも久しぶりですね、こんな事も」
「そうだなー、やっぱ大変だわ」
心底そう思う
この一年で楽をしすぎたのだろうか
いや、違う
仕事の質が違うのだ
裏方と違い陣頭指揮にはよりリアルな生きた情報が必要となる
ブランク間の流行情報、ライバルの動向、業界内の動き
それを埋めるためのいわば予習でもあるのだが
「うあープロデュースってめんどくせー」
「プロデューサーさーん、アイドル目の前に言わないでくださいよー」
苦笑い、そして
「無理だけはしないでくださいね、私達には少しは貯金があるんですから」
とそっとお茶を差し出してくれる
「春香…」
「そうしました?あっ、もしかしてキュンってきちゃいましたか?」
「いや、水の方がいいなー」
「全くもう…はいはい」

さて
俺に課された目標
1年以内にSランク
わかりやすいんだが難度が高すぎる
一般的にSランクアイドルというのはもう凄いアイドルだ
春香だってブレイクしたアイドルだが絶頂期はCランク
国民栄誉賞や納税ランキングで上位、CDセールスダブルミリオン
そんな世界の話なのだ
たどり着くための道は色々ある
だが、期限付きとなれば話は別だ
道は一つしかない
リスクも大きいがリターンも大きい方法
「オーディション」
知名度とファン人数を急激にアップさせるにはこれしかない
TV、ラジオのレギュラーオーディションとはまた違う
長期的なイメージアップにはならない
瞬間的に輝いて、輝いて
一時的に立てればいい
そこからの維持はたどり着いてから考えればいい
少なくとも
俺にはたどり着くまでの道さえおぼろげでしかない
正直不安しかないのだ

「なんです?難しい顔して」
「いや、なんでもないさ」
コップの水を受け取り口に含ませる
冷たい液体が頭をすっきりさせてくれる
というか考えてた方針がどっかへ行ってしまった
なぜなら水だと思ってたものが異様な酸っぱさだったからだ
「ぐへっ!!なんだこりゃ!」
「プロデューサーさんが難しい事考えてたみたいなのでちょっと」
そういいながら濃縮レモンと書かれた小瓶を見せる春香
「いいですか、考え込むのはプロデューサーさんの悪い癖です」
先ほどまでと違いびしっと、力強く
たしなめる様に
「午後までは一人でレッスンしますから休んでてください」
胸が震えた
なんというか成長している
俺といた時よりもずっと
どちらかといえば受身だった、言われた事に純真に肯定することが多かった
「若いっていいなぁ」
「何言ってるんですか、プロデューサーさんも十分若いじゃないですか」
そう言って出て行こうとする春香に
「飲んでから行きな」
ニコッと笑い俺が差し出したお茶を受け取った春香
艶やかな唇が湯飲みに触れようとした瞬間
「プロデューサーさんの悪巧みって顔に出るからすぐわかるんですよ」
笑った顔のまま自分では無く俺に飲ませる春香
酸っぱさで転げまわる俺
流石のレモン1万個分
「全く、お菓子そこのバスケットに入ってますからよろしかったらどうぞ」
「はーい」
床から見上げる形で答える

お菓子はマフィンだった
お菓子作りの腕は上達している様でとても美味しかった
春香に一つ残しておいたら、いいから食べてくれと言われた
こっちも必死で抵抗したが無理だった
再び転げまわった
残っていた分、全部入れたのが敗因だったと思う


ぱあとなあ 1 別れと再会 (SS)

2009-05-04 22:05:20 | ぱあとなあ(SS)
「そんな…なんで急に!」
「わかって欲しい…というかわかってくれ」
「納得できません!」
事務所の一角
俺と言い争っているのは
事務所の自販機の前で偶然出会ったアイドル候補生の少女
1ヶ月程前からだろうか
暇をみては俺は彼女にレッスンをつけていた
…実は作業中のサボりも兼ねていたんだが
拙い俺のようなプロデューサーのレッスンでも
デビュー前の彼女には何か吸収できるものがあったようで
何も言わなくても、毎日同じ時間に自販機の前に立っていてくれた
時間が無いという時は一人でレッスンを行い
その熱心さに、つい手を貸してあげたくなった
初めはつっけんどんだった彼女の態度も
徐々にほぐれてきたところでもあった
正直な話、あんな急な話が無ければ
社長に頼みこの子をプロデュースさせてもらっていたかもしれない
それぐらい光るものが彼女にはあった
「本業が入ってしまったんだ」
「…本業?」
「プロデュース」
少し驚いたような、納得したような顔
「…私じゃないんですね?」
呟きにも似た小さな声
俯いた彼女の表情は読めない
「ああ…」
バシッ!!
急な痛みは頬を叩かれたことだと気づく
「ばかっ!」
走リ去る後姿
泣いていたのかもしれない
何が悪かったんだろう
縁か、タイミングか
「俺だよなぁ…」
立ち尽くし彼女を思う
「あ…」
俺は1ヶ月近くレッスンに付き合っていた
アイドル候補生の名前すら知らなかった

1年以内にSランク
こんな情況になってしまった以上
全てを最大限に生かさなければならない
俺の全て
それは過去のプロデュースから得たもの
つまり
「お久しぶりです!プロデューサーさん!」
笑顔も何もかも変わっていない
天真爛漫といった少女が頭を下げる
彼女は天海春香
1年前に俺がプロデュースしたアイドルだ
後一歩と言うところで
ブレイクできなかった春香は活動休止を選択
現在は事務所に所属はしているが
学校生活を楽しむ普通の女子高生である
「呼び出して悪かったな」
「いいえ、私も会いたかったですし!」
あいも変わらず素直な子だ
こいつ俺に惚れてるかもしれない
「お金いつ返してもらえるのかなって!」
うぬぼれでした、ごめんなさい
「春香、今日は借金の申し込みでも野球の誘いでもない」
「1年ぶりに会ってそんなのだったら、私も殴っちゃうかもしれません」
…なんというか久々に会った彼女は少々はっちゃけた気もする
元からだったかな
「金じゃなくて力を貸してくれ、春香」
真剣な目で頼みこんだ
春香は今までと表情を変えず
笑顔のまま答えた
「プロデューサーさん、あの日の約束覚えてないんですか?」
そうだった
こんな事を聞くことさえも、無意味だったのかもしれない
「私達はあの日から友人であり」
「相棒だ」
俺たちは笑いあう
再び担当するアイドルは
本当に頼もしい少女なのだ


「頬はれてますよ」
「ああ…ちょっとな」
頬をさすってみる
まだちょっと熱を持つ頬に彼女を思う
「女の子でしょ?」
「なんでだよ」
「プロデューサーさんだもん」
一本指を立て自信満々な彼女
流石と言うかなんと言うか…



















MBFで良作にたくさん出会えてホクホクです
いいね!イベントは!
参加してるともっと楽しいだろうなと思ったり
中の人オンリーで中の人リーフファイトとか…
絵がさらに難しいですね
はい

今回のできれば1週間1回よりも速いペースで更新したい
超久々の連続SSになる予定です

連休中にこのサイトも手を加えようかしら
開設以来一切デザインとか弄ってないしなあ
そして4年経つのにプロフィールが出来ない(笑)



プロローグ (ぱあとなあ SS)

2009-05-02 02:44:07 | ぱあとなあ(SS)
カランカラン
押し開けたドアのベルが鳴る
「プロデューサーさん」
「あ、どうも、小鳥さん」
765プロから少し離れた喫茶店
仕事中に小鳥さんから話があるということで待ち合わせたのだが
「小鳥さん、話なら事務所でもよかったんじゃないですか?」
わざわざこんなところまで来なくても
ウェイトレスにコーヒーを頼みながら疑問をそのまま声に出す
「大切なお話ですから」
持ち上げていたティーカップを置き
こちらをまっすぐ見つめる真剣なまなざし
…これはもしや!?
「プロデューサーさん…」
「は、はい!」
ドキドキが高まる、心臓の音が聞こえてくるようだ
落ち着け!
小鳥さんは確かに年上なのに可愛い人で
いるだけで事務所の雰囲気が明るくなって、頼れるお姉さんで…
そんな艶やかな小鳥さんの唇が悩ましく動き
「ヤバイですよ」
「は?」
全く予想外の言葉が出た


「こ、降格…ですか?」
ミルクティーを飲みながら静かに頷く小鳥さん
なんというか落ち着いた雰囲気
俺が混乱してるからかもしれないけれど
「なんで小鳥さんがそんなこと知ってるんですか!」
「事務員ですよ、私は」
口の端だけ少し上げ、軽くウインク
なんという自信に溢れる笑顔
あれ?事務員ってそんな仕事だったっけ?
「そもそも降格って…」
「プロデューサーさんプロデュースして無いじゃないですか」
「うぐっ!」
言葉に詰まる
確かに、まあ、なんというかプロデュースはしてない
ほぼ1年間してない
昔プロデュースしたアイドルのまあ…おこぼれと言うか
グッツ契約を初めとした、裏手の仕事ばかりしていた
プロデューサーとしての仕事は確かにしてはいないのだ
んだけど…
「まあ、よくて完全裏手か、子会社かと」
「子会社って!あったんですか、そんなの!?」
初耳だ
まさか765プロに子会社があるなんて…
「パックマンを雄と雌に分けるお仕事です」
「やだぁ!!」
まいった
元々アイドルをプロデュースしたくて765プロの門を叩いたはずなのに
燃え尽き症候群と言うか
満足しちゃってたところはあったのかもしれない
けど…
「どうにかなりませんか?」
まあこんな事小鳥さんに聞いてもどうしようもないんだけど呟いた
精神的に追い詰められてるんだろうなあ、俺
「なりますよ」
ほらこんな幻聴まで聞こえてきた
都合よくそんな方法があるわけ…
「ありますって」
「小鳥さん、そんな嘘で慰めてくれなくても…」
「嘘じゃありませんってば」
そう言って小鳥さんが出した紙
そこには色々と細かい文字が書いてあった
「これは…」
「かいつまんで言うとですね」
こほんと1回咳払い
「1年以内にSランク」
指を1本ぴっと立てた小鳥さんは
天使の様に悪魔の様な言葉を放ったのだった


















久しぶりのSSです
ちょくちょく書いていこうかと思いますので
できればお付き合いいただければ喜びます
私が

PS、樹里さんのブログの更新頻度が不安になるほど早くて凄い
で中身が濃すぎ
とりあえずダイの大冒険の話で盛り上がりたい