4月28日 晴れ
これを「安物買いの銭失い」というのだろう。
中古で買ったワーゲンのゴルフが、ちょうど1年でデタラメになった。やむを得
ず、今日、急きょ下取りに出して新しい中古車を買った。同じゴルフである。
中古車の売買事情を、自分の例で紹介しよう。
1年前、2003年のゴルフを57万円くらいで買った。友人の紹介してくれた中
古屋で、6万円くらい値引きしてくれた。走行距離は記憶にないが、かなりあっ
たろうと思う。
この価格が、日本の知り合いの修理人によると、べらぼーなのだそうだ。「日
本なら、その半額くらいですよ」と言われた。
まあ、2,3年ももてばいいという心づもりだったので、自分は納得していたが、
これが甘かった。
購入直後にエンジンが奇妙な音をたてはじめ、これは「保証期間1カ月」でカ
バーされた。
しかし、この車大丈夫なのかと疑問を覚えた。
4カ月後にはブレーキが異音をたて始め、パッドだかヂスクだか、4輪すべて
交換して、これはおよそ12万円自己負担となった。この時点で値引
き額を超えたことになる。
疑問から不安が芽生え始める。
年に一度と義務付けられている車検は6カ月後にあった。
じつに簡単なもので、自分で請負工場に運んで検査料は3000円くらい。車
軸のどこかが劣化している、来年あたりは直したほうがよいかも、と言われた。
不安が増幅される。
車検はパスしたが、それから3カ月後、不安は決定的になった。
購入して9カ月後、何とギアが変調をきたしたのである。サードに入れたギア
が走行中、ニュートラに戻ってしまったのだ。
加えて5速にも入らなくなり、110キロ制限速度を4速で走り続ける羽目にな
った。
それいらい、サードに入れた時には、チェンジレバーを手で固定して走らなけ
ればならなくなった。
そのうち、サードにはギアは入らなくなり、2速からサードを飛び越して4速へ
入れなければならなくなった。
ギヤが鳴るようになった。
さらに11ヶ月目には、どこにもギヤが入りにくくなり、加えて走行中に異音を
発するようになった。
そして、ついにギアを入れるには力任せとなり、セカンドでは舗道の人間が振
り返るほど、異音は高く大きくなった。
もう限界である。
購入した中古屋に見せたが、きょうはメカのわかる人間がいない、代車の用
意はない、下取り価格はいろいろチェックしないと決められない、という対応
で話にならない。
1年前に57万円で、よい車だと買わせておいて、しかし当方はその後ブレー
キのディスクを12万円で直し、いまギアの不調を伝えると、買いたたくような
口ぶりには内心、腹が立った。
で、前夜、ネットの中古車情報を調べ、きょう見当をつけたディーラーへ出か
けた。
ゴルフの2011年、オートマチック車が150万円弱で売りに出されていた。
これに惹かれたのである。
そのまでの道のりに難儀した。
午前中は別のディーラーへ、ゴルフ購入の中古屋へ、昼すぎに診療所へ、そ
れから目当てのディーラーへ。
道中、5度ほどギヤが入らなくなり、ハザードランプをつけた。
一番厄介だったのが110キロ制限の自動車道。トコトコ走り、どうにかギヤを合
わせて加速して、やっとの思いでディーラーへ到着した。
いよいよ、オートマへの熱が上がった。
いまのゴルフがミッション不調。マニュアルには嫌気がさし始めているし、自
分は右ひじを痛めて「テニス肘」と診断されている。
この国のクルマは左ハンドルで、ギヤチェンジでは右ひじに負担がかかる。
それもあってオートマに惹かれたのである。
しかし、不安がないでもなかった。
日本車ならオートマは常識だが、この国ではマニュアルが依然、幅をきかせ
ている。ひょっとしたらオートマは、外国製は外れが多いのではないか、とい
う不安もあったのだ。
知人によればトヨタのプリウスがよい、故障もなく燃費もよいという。またスコー
ダをすすめる友人もいた。スコーダはチェコ製だが、ワーゲンと提携している。
マツダとフォードの関係に似ているようだ。
しかし、いずれの車もフロントウインドウが狭く感じられた。
ゴルフの視界の良さ、ドイツ車の安心感、トヨタのトップの感覚、下請けへの問
題など、思いめぐらせればゴルフがよい、と決断した。
安物買いに懲りて、多少は高くたってオートマでいいじゃないかと考えた。
だが目当てのゴルフ・2011年・オートマは買わなかった。
同じ店に2009年のゴルフがあって、こちらは価格も100万円弱。マニュアル
車だが、オートマに比べ50万円も安いというのは財布に優しく、大きく心揺さ
ぶられて、結局、こっちを買うことにした。(続く)