
2月9日(日)気温が-10℃を下回り、地面に降り積もった新雪を踏みしめるとキシキシと心地良い音がする中、景勝地・大沼の冬を体感「大沼雪原を歩こう」を開催しました。
大沼周辺は、1週間から10日ほどで一気に積雪が増えて2mを超え、スノーシューを装着せずに雪原を歩くと胸まで雪に埋まるほどです。
開会式と準備運動を済ませ、小雪のチラつく中、一面が真っ白な大雪原に変化した大沼湿原へと向かいます。
一気に積雪が増えたため、スノーシューを装着していても膝丈まで雪に隠れてしまいます。
まずは、大沼茶屋湖さんの駐車場から、アスピーテラインに沿うように歩いて、正面に見えるブナ林を目指します。
ブナ林に入ると、すっかりお馴染みになったオオカメノキの冬芽を観察。
楽しい解説?に、参加者の皆さんも笑顔です。
いや、確か、早々とラッセルに息が上がり、くどーさんは八幡平ビジターセンターで体力の無さでは一、二を争う・・・という話に反応しているんじゃなかったかな⁇
雪の重みで枝が折れたブナ。
折れた枝の左下には枯れた枝もあります。
ブナは、日光の当たらなくなった不要な枝を雪などの力を借りて自ら落としたり枯らしたりし、それらに使うはずだったエネルギーを日光の当たりやすい場所の枝葉を成長させるために使って大きくなっていくのです。
裏側には、コゲラが開けたと思われる穴の開いた枝も。
直ぐ近くには、大きな枝が折れ、隣の2本の木に引っ掛かって出来たトンネルも。
積もった雪が落ちないことを確認して、木のトンネルをくぐってみます。
ちょっと緊張しながらも笑顔の皆さん。
木の枝に雪紐が出来ていました。
雪紐・・・
なんか、風情があるというか、趣があるというか、洒落た呼び方ですね。
こういう呼び方をした昔の人たちの感性の豊かさが羨ましいです。
空を独占したブナ。
こちらは、周囲に邪魔になる背の高い木がないので、四方八方に枝を張り、葉を着けた時期に日光をまんべんなく浴びることができます。
ちょっと疲れたくどーさんは、某校の山岳部の若者にラッセルを少しの間、交替してもらいました。
木の枝に積もった雪が、風に煽られてバサバサと落ちた痕跡。
小さなクレーターがいっぱいです。
予定していたルートからは、ちょっとだけ外れますが、綺麗な雪の斜面を下ってみました。
皆さん、バランス感覚に優れている方々ばかりなので、カメラを構えて待っていましたが、残念ながら⁇転ぶ方はありませんでした。
ホオノキの鞘が残っていました。
他に、冬芽と葉痕も観察出来ます。
よく見ると、幹にクマの爪痕も残っています。
子グマが木登りの練習でもしたのかな?
ツブ沼に到着です。
直前に、私たちの気配に気付いたカルガモたちが飛び立ってしまいましたが、冬でも結氷しないこの沼があるので、大沼周辺ではカルガモたちの姿を一年を通して見ることができます。
沼を眺めていると・・・
沼底からプクプクと湧き出したガスが波紋を作り、風がさざ波を作り、水面に映り込む木々の影を揺らします。
見上げると、一瞬の青空が・・・
雪の重さに耐えながらも頑張るオオシラビソに取り囲まれるように立っているのは、立ち枯れのオオシラビソ。
同じ樹種でありながら、他は生き続け、一方は枯れてしまったのは、光の奪い合いに負けてしまったからなのでしょうか?
それとも、他に何か理由があったのでしょうか?
彼らと言葉を交わせるのなら、その理由を聞いてみたいものです。
立ち枯れの上に冠雪がこんもり。
ヤドリギの寄生したミズナラに到着。
ヤドリギは12月24日の誕生花だそうで、欧米では「ヤドリギの下でキスをすると永遠に幸せになれる」とか、「ヤドリギの下にいる女性にはキスをして良い」とか、「ヤドリギの下にいる女性はキスを断ることが出来ない」などと云われているそうです。
幸せになれるのは良しとしても、他は男性本位過ぎるなぁ・・・
と、なぜか雪まみれになっている方。
一体、彼女の身に何があったのでしょう?
ちなみに、ヤドリギの話とは関係ありませんので、あしからず。
ヤドリギの実を食べた鳥の糞が、木の枝にぶら下がっていました。
トローっと、ネバーっとした果実の中に種が含まれていて、ほぼ、そのまま糞として排出されます。
やがて、この中の種が寄生根を樹木の中に潜り込ませて寄生します。
少し雪が強まってきました。
雪原に出てのフリーウォークです。
グリーンシーズンには立ち入ることの出来ない湿原の上で、しかも積雪が2mを超えるような場所で、誰も踏んでいない、真新しい雪の上を自由に歩いてもらいます。
そんな中、雪に埋もれる方と寝ころぶ方。
転べばすぐにカメラに狙われます!
なんたって、この日のカメラは4台‼
どこからでも狙われるので注意が必要になります。
雪に加えて、風も強めになってきました。
雪原にポツンと立つヤチダモに到着。
幹は、沢山の地衣類でビッシリと覆われています。
ちょっとだけ雪を被った様子が、意外と綺麗だったりする地衣たち。
遠くの景色が強い風と雪に霞んでしまいそう。
もうすぐゴールです。
頑張りましょう!
なーんにも見えません・・・
少しだけ、ホントに少しだけ、ぼやーっと空が明るくなりました。
わずかな光ですが、雪面に木々の影を映し出します。
さあ、ここを登ればゴールです。
お疲れ様でした。
今回のイベントは、麓は晴れ間が広がっていましたが、現地では雪がちらつく中でのスタートになりました。
猛吹雪にはなりませんでしたが、最後はミニ地吹雪体験?くらいのお天気になってしまいました。
ですが、それも冬の山の厳しさでもあり、楽しさでもありかなと思っています。
そんな中でも、色々と観察したり、雪と戯れたりと楽しいイベントになったのではないかと思っています。
八幡平は、まだまだ雪を楽しむ事が出来ますので、今後のイベントにも、沢山の方に参加して頂きたいと思っています。
皆さん、一緒に、冬の八幡平を楽しみましょう!
くどう