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アラビア語に興味があります。

 イランはペルシア語の国です。トルコはトルコ語で、現代トルコ語はローマ字で表記されます。

がんばれ!その2 「気合いだ!」

2005年03月11日 21時03分05秒 | アラビア語
 「がんばれ!」と「シッド・ヘーラック」は違うという話がでましたので、今日、リビア人の先生に、アラビア語の「シッド・ヘーラック」の使い方について、ちょっと伺ってみました。「シッド・ヘーラック」は、コメント欄でイラク方言講座のセンセーが説明して下さったように、シッドが「強めろ、しっかりさせろ」、ヘールが「力」で、最後のアックが「貴方の」という意味。合わせて「貴方の力を強めなさい」で、日本語の「頑張れ」と重なる部分も多いというわけです。
 まず、お葬式のときに「シッド・ヘーラック」と言うか?と伺ってみたら、リビアでも言うそうです。とすると、エジプトでも私が知らないだけで、お葬式のときに言うのかもしれません。これは要確認。
 また、この前の記事では、
  今までしっかりやって来なかった人に これからはキチンとやり
  なさい(例えば、日ごろ点数の悪い生徒に期末試験は頑張れ!
  というような場合)、気を引き締めて取り掛かれ

との説明がありましたが、リビアでは、日頃一生懸命勉強している生徒に対してでも「試験、頑張ってね」というときに「シッド・ヘーラック」は使えるそうです。

 話を伺っているうちに、「シッド・ヘーラック」は、「頑張れ」というより、「気合いを入れろ」に近いのかなという印象を持ちました。もちろん、日本語では、お葬式でご遺族に「気合いだぁ~っ!」とは言いませんが。ともあれ、アニマル浜口氏は置いておいて、スポーツなどの普通の声援に「気合いを入れろ!」は不似合いですよね。「シッド・ヘーラック」もそんな雰囲気でしょうか。

『新版 アラビア語入門』

2005年03月11日 20時14分24秒 | アラビア語
 佐々木淑子著『アラビア語入門』の新版が刊行されました。奥付によれば、出版年月日は2005年3月3日。表紙にはナツメヤシの木立が描かれています。佐々木先生のイラク留学の際の上陸地点、ファオの風景だそうです。本文中にもイラクの写真が多く使われています。先生のイラクへの思いが感じ取られます。
 CDは課ごとにトラックが分かれた形になり、使いやすくなりました。吹き込んでいらっしゃるネイティブはお二人、イラク人女性とチュニジア人女性です。

※出版社:翔文社、ISBN 4-915693-08-2

アラビア語教師のトレーニング

2005年03月10日 11時34分00秒 | アラビア語
 今、メイルを開けたら、メイリング・リストで『2005年アラビア語教師トレーニング・セミナー』のお知らせが舞い込んできました。今年で3回目だそうです。内容は「読解教育のシラバス・デザイン」「聴解教育」「語彙教育」「テストにおけるグループ・ワークの活用」となっています。また、夏休み明けの秋学期の、自分の授業のシラバスについて、セミナー内で検討することもでき、可能であればミニ教育実習も行ないたいとのこと。
 いいですねえ、参加してみたいな…と思ったところが、開催地はジョージア州アトランタ! はい、アメリカの話です。The National Middle East Language Resource Center (NMELRC) と Emory University の共催で、8月15~20日のおよそ1週間。ちなみに、セミナーでの使用言語はすべてアラビア語ですって。担当は、Kristen Brustad & Mahmoud Al-Batal 両教授。アラビア語教材をいろいろ作っていらっしゃるので、本の背表紙でお名前を見たという方も多いのではないでしょうか。

 アメリカは進んでいますねえ…。

 修行してくるか、という気もしなくもないのですが、この夏はロンドン旅行の予定が…。正確に言うと、ロンドン経由でカイロに行こうと思っているので、アトランタは完全に方角が違うのです。
 それに正直な話、アメリカのバリバリのアラビア語教師陣に混じって、英語もアラビア語も下手の横好きのロバ(=馬鹿)がやっていけるのかというのがとっても不安なので、申し込まないでしょう。(弱音)

関係代名詞で条件詞のman 2

2005年03月09日 23時12分46秒 | アラビア語
 ほったらかしになっております、関係代名詞で条件詞のmanの続きです。本日は、W.Wright の A Grammar of the Arabic Language による関係代名詞と不定代名詞の説明についてです。
 Vol. 1 の p.273 に、“接続的名詞”の من と ما が الذي と異なるのは、必ず名詞的に用いられ、決して形容詞的に用いられないこと、と書いています。من と ما は、الذي のように限定的(موصول)である場合もあれば、非限定的(موصوف)である場合もあります。非限定的な من は、one who, ما は、something that の意味になります。
 また、単数で解釈されつつも、集合的な意味も持ちうると述べています。
 Vol.2 p.319 には、من や ما が非限定的に用いられた場合、アラブはそれを接続的名詞とは見なさず、شخص a person や شيء a thing の意味に通ずる不変化名詞と見なすと述べられています。大変稀ではありますが、من や ما に形容詞が単独でつくだけという例もあるそうです。

 肝心の条件詞としての man の話はまた次回。

lam + 完了形!?

2005年03月08日 20時56分34秒 | アラビア語
 否定辞 لم lam は、次に未完了形要求法(短形)を伴うことになっていますが、Arabic-L のメイリング・リストで交わされているメイルによれば、エジプト方言では、lam + 完了形で過去の否定を示している例が見られるそうです。最初は何かの間違いではないかと思いながら読んでいましたが、今日、届いたメイルによれば、故ムハンマド・アブデル=ワッハーブの古い歌の中の実例が示されていました。السيرة الهلالية という歌に、

fi-l-baHr lam futt-ukum, fi-l-barr futtuu-ni
海に、私はあなたたちを捨てなかった。陸に、あなたたちは私を捨てた。

bi-t-tibr lam bi`t-ukum, bi-t-tibn bi`tuu-ni
金(きん)で、私はあなたたちを売らなかった。藁で、あなたたちは私を売った。

という一節があるそうです。
 少なくとも、1910年代から30年代にかけての、エジプト方言による口語詩には、この形が見られるとのこと。バイラム・ッ=トゥーニースィー(トゥーニースィー=チュニジア人という名前ではありますが、エジプト口語による詩や戯曲などの文学作品を残した作家です)の作品にも例が見られるということでした。

日本語にないと思っていた音

2005年03月07日 21時56分44秒 | アラビア語
 今日またお会いしたリビア人の先生に、
「ط の音は日本語にないと思っているでしょう?
 でもあるんですよ。『ワタナベ』の『タ』です」
「ع の音は日本語にないと思っているでしょう?
 でも『雨がざあーっと降ってきた』というときの
 『ー』の部分に軽い ع の音が出ている人もいるんです」
と言われました。
 全く意識していませんでしたが、アラビア語のネイティブ・スピーカーには、ばっちり聞こえるんですね。

がんばれ!の巻

2005年03月06日 13時10分12秒 | アラビア語
 これもまた、イラク方言講座のセンセーのメイルで知ったのですが、陸自4次隊の帰国完了=イラクの子どもから声援-仙台(時事通信)というニュースがあったそうです。5日に、サマーワから陸上自衛隊第4次部隊のうち約140人が仙台空港に到着、同隊約500人の帰国が完了したとのことですが、指揮官の福田築1等陸佐の感想として、
「イラクで最も印象に残ったのは子供。『自衛隊さん頑張って』という子供の声援にとても励まされた」
ということばが紹介されていました。
 この「頑張って」ですが、イラク方言講座のセンセーによれば、これをアラビア語に訳すと、、、

  イラク方言で「シッドゥ・ヘールクム」「シド・ヘーラク」「シド・ヘーリチ」になる
  と思うのですが、これは今までしっかりやって来なかった人にこれからは
  キチンとやりなさい(例えば、日ごろ点数の悪い生徒に期末試験は頑張れ!
  というような場合)、気を引き締めて取り掛かれ、あるいはお葬式などで
  「気を落とさないで」という意味で使われる言葉です。

   いわゆる日本の運動会などで、「がんばれ~」と応援するというような
  意味は無く、「子供の声援に励まされた」と読むと、つじつまが合わなく、
  理解に苦しんでしまいます。


 エジプト方言でも、「シッド・ヘーラック」(男性に対して)とか「シッド・ヘーリック」(女性に対して)などというのですが、今の今まで、日本語の「頑張れ」とイコールだと思っていました。まして、お葬式で「シッド・ヘーラック」というとは聞いたことがない(エジプト方言では、ですよ)ので、今度、エジプト人の先生にお会いしたら、詳しく聞いてみないといけません。
 ちなみに、話が逸れますが、エジプト方言では海老が「ガンバリ」なので、日本人留学生を相手にしていらっしゃるエジプト人の先生は、この単語をよく「頑張れ」に引っ掛けて教えて下さいます。

   「ムワッファキーン・インシャーアッラ」とか「アッラ・イワッフククム」(ご成功を
  祈ってます)と言ったのでしょうか?
   しかし、上記表現のいずれにしても、文章が長くて、声援にはなりえません。
   実際には、アラビア語で何といわれたのでしょう??

   うがった見方をするようですが、「ヤーバーン!!」(日本)、「ヤバーニー!!」
  (日本人)というような野次を「自衛隊さん頑張って!」というように好意的に解釈
  したのでは?


 バルセロナ五輪の女子マラソンで、有森裕子選手が「アニモ!」(スペイン語で「頑張れ」とか「勇気」とかいう意味)という沿道からの声援を、「アリモー!」と自分を応援してくれている声だと思い込んで走り続け、メダルを獲得した、なんていうエピソードを思い出してしまいました。(アニモほど良い話ではありませんが。)

太陽のてんてん

2005年03月04日 19時54分27秒 | アラビア語
 今日お会いしたリビア人の先生によると、アラビア語の太陽 شمس shams は、リビア方言では سمس sams になってしまうとのこと。他方、マルタ語(=アラビア語マルタ方言)では、太陽は شمش shemsh …というわけで、リビアは太陽のてんてんをマルタにあげてしまったんですよ。

※ただし、マルタ語はもうアラビア文字を使っていません。「シェムシュ」をマルタ語の正書法で書くと、ローマ字で xemx となります。「てんてんをマルタにあげてしまった」というのは、あくまでも単なるジョークとしてお楽しみください。

また新しいアラビア語文法書

2005年03月02日 13時53分19秒 | アラビア語
 昨日、ビブリオというアジア・アフリカ専門書店から、カタログが届きました。「近日刊」とのことで、

Alosh, Mahdi
Using Arabic: a guide to contemporary usage
Cambridge, April, 2005. 300pp.

Ryding, Karin, C.
A Reference Grammar of Modern Standard Arabic
Cambridge, April, 2005. 550pp.

が出ていました。ちなみに、カタログでは、前者が 5,796円、後者が 7,513円です。

関係代名詞で条件詞のman

2005年02月23日 00時51分13秒 | アラビア語
 アラビア語の関係代名詞の man(~するところの人)が、whoever の意味で条件詞として使われる場合が多々あります。これに関して、Modern Written Arabic: A Comprehensive Grammar を紐解いてみましたところ、p.664に、

  مَنْ は、完了形あるいは短形に後続されるが、短形の方がより一般的である。
  帰結節は、فَـ や(名詞文の場合) فَقَدْ(完了形の場合)が先行することもある。


とのご説明。条件詞に完了形や短形が後続するのは、إنْ もそうですから、わかりやすいですね。ところが少し読み進むと、

   これは不定関係代名詞であり、paired relative sentences とは区別すべし。

だそうです。ではその paired relative sentences とは何かというと、「〇〇をすれば、結果として××となるだろう」という仮定の意味はなく、the kind of people who do x also do y の意味を表す文なのだそうです。
 p.508に、詳しい説明が載っており、例えば、man の後に続くのは短形ではなく直説形であることが明らかな例の見られること、動詞が両方とも完了形であることもあり、その場合は、2番目の動詞の前に قَدْ (既に~)を付けて、条件文と区別すること、p.509 には、いずれの節にも、名詞文は起こりうることが述べられています。

 しかし、「動詞が両方とも完了形であることもあり、その場合は、2番目の動詞の前に قَدْ (既に~)を付けて、条件文と区別する」と言われても、条件文でも完了形の前には فَقَدْ が先行することもあるんですよ。どう区別するのでしょうか?
 よくわからないまま、それでも paired relative sentence らしきものをはじきながら例文を集めて、集計してみましたが、paired relative sentence を完全に除外できた保証はありません。

 そういうことを、先日の研究会で話しましたところ、
「paired relative sentence を除外/区別する根拠がない。同じ形式なのであるから、除外するのではなく、とにかく man の例を全て集めることが先決だ」
と言われました。正論です。やり直しましょう。あと、当然のことながら、Wright など、別の研究書も参照しないといけません。

 なお、"paired relative sentence" を、Yahoo!, Google, goo で検索してみましたが、何もヒットしませんでした。

【追記】2005/03/09 W.Wright に当たってみました

自動翻訳

2005年02月21日 03時06分03秒 | アラビア語
 自動翻訳を試してみました。
السلام عليكم → あなたの上の平和
   ●「あなた」と単数になってしまいました。
صباح الخير → お早うございます
مساء الخير → 今晩は
   ●このあたりは調子良いですね。
قرأت الأهرام اليوم → 今日ピラミッドを読みなさい
   ●「私は今日アハラーム(新聞)を読んだ」のつもりだったのに…。
محمد حسني مبارك رئيس مصر → ∥モハマド・ホスニ・ムバラク∥エジプト大統領∥
محمد حسني مبارك هو رئيس مصر → ∥モハマド・ホスニ・ムバラク∥エジプト大統領∥
   ●遠からずとも当たらず。この下駄マークは何でしょう?
معي جنيه → 私と一緒に1ポンド
   ●思いっ切り直訳!

私には弟がいます。→ لدىني أخا أشاب.
   ●「私」や「兄弟」がなぜ対格に?

 使い物にはならないということがよくわかりましたが、面白うございました。

【追記】(2005/2/24) たぶん、アラビア語→英語→日本語のように英語を経由しているのではないでしょうか。例えば、read は「読んだ」とも「読め」とも訳せます。しかし、日本語からアラビア語への訳は、原因不明です。

これは何ですか?

2005年02月14日 11時00分40秒 | アラビア語
 英語をはじめとする外国語教材に必ず出てくる「これは何ですか?」 見ればわかるでしょ!みたいな問答も多いんですが、アラビア語のネイティブの先生の授業で、さらに不思議だったのは、答が男性形の名詞になる場合は、必ず ما هذا؟ と男性形で質問され、答が女性形の名詞になる場合は、必ず ما هذه؟ と女性形で質問されることでした。一緒のクラスにいた人も、
「どうして聞く前から、答が男性か女性かわかるの~?」
と、日本語で呟いていましたが、先生には無視されてしまいました。
 何年かあと、別のエジプト人の先生に、ما هذا؟ と ما هذه؟ の使い分けについて伺ってみたところ、
「ما هذا؟ は、ما هذا الشيء؟ というつもりで、
 ما هذه؟ は、ما هذه الحاجة؟ というつもり」
と答えられましたが、حاجة は完璧にエジプト方言ですしねえ…。
 この前お会いしたサウジアラビア人の方によれば、
「ほんとうにわからないなら、ما هذا؟ と男性形を使えばよい。
 ما هذا؟ という問いに対する答が、~ هذه になっても不自然ではないが、
 ما هذه؟ という問いに対する答が、~ هذا になるのはおかしい」
とのことでした。これでいいのだ。これですっきりしました。

2005年02月13日 14時41分46秒 | アラビア語
 昨日、アラビア語の教材の録音に参加しておりました。その中で、ك と ق にカスラ(i)が付いた場合のミニマル・ペアがないかということになった際、サウジアラビア人の方が提案したペアが、ساقي と ساكي でした。 ساقي は「私の足」ですが、ساكي は何?と聞いたら、日本の「酒」だとおっしゃるのです。
 その方によれば、日本のアニメがサウジアラビアにも入ってきており、
「酒を飲もう」
といった台詞などから、ساكي という外来語も日本の「酒」のことであると認識されているとのこと。
 結局、この案はボツになり、قيل (それは言われた)と كيلو (キロ)という、ミニマルではないペアでの発音練習となりましたが、あのサウジアラビアで「酒」がアラビア語として認知されつつあるというのも、興味深い現象だと思いました。