マヨナカの喫茶店。

ヤプログから引越ししました(*´∀`*)

Ray

2006-04-24 10:31:58 | インポート


土曜日は朝からDVDを観ました。
「Ray」これ、本当によかったです。観て良かった。
レイ・チャールズの生い立ちを綴った映画なんですが
この作品の奥行きは何なんだろう?どこからくるのだろう?と
一度観終わって、もう一度・・・二回続けて観てしまいました。

ちょっと尾崎豊が脳裏をかすめました。
レイは天才として生まれたのであったと思います。
そしていつも何かを追い求め、満たされたいと願い生かされた。
彼が得たものは、得続けたものは決して彼を満たす事はなかったように思う。

南部育ちの貧しい黒人として生まれたレイの音楽が認められていく事も
恋愛も結婚も家庭も父親としての彼も
お金も地位も名声も酒も女もドラッグも
それらはただ一点、音楽を追求する為のアイテムに過ぎなかったのだと思う。
彼の人生そのものさえもが音楽に捧げたアイテムだったのかもしれない。

彼は他の女性を抱いて言った。「それでも家庭は棄てない」と。
アタシは男でないからその意味は解らない。
感性を磨くために抱くと言うことなのだろうか?それとも寂しさゆえ?

アタシはどちらを選ぶだろう。
いつも一緒に居られる愛人と遠く離れて暮らす心寄り添う妻。
本気でそんなことを考えたりした。

それにしてもジャイミー・フォックスの演技にはびっくりした。
女にドラッグ、地位、名声、金、やりたい放題のレイなのだが
どんなに上り詰めても思い上がることを知らず、口数少なく、
どこか物悲しく、誠実で、純粋で、少年のようだった。
あの演技は、すごいと思った。深みが出ていた。

映画を観終わって
天才レイは亡くなる時、最後に何を思ったのだろうと考えた。
多分それは、彼の得た素晴らしい数々のアイテムではなく
喜びでもなく、悲しみでもなく、幸せでもなかったように思う。

貧しかった少年時代
裸足で駆け抜けた黄色い土の生まれ故郷ジョージアと
木に吊るされた空き瓶の音色だったように思う。

いい映画でした。