生のユーザー声を届けるハーモニーblog

Webアクセシビリティに関連するユーザーの声を届ける

このバランスをどうしたら良いのだろうか?

2005年06月27日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。
ここ何日か猛暑が続いて、暑いですね~

さて、先日ハーモニーのネットワークの、兵庫県や、福島県の中途視覚障害者の方から、立て続けにメールをいただきました。

その内容を拝見し、地方の中途視覚障害者の方々のパソコンを習得できる体制の悪さに、これでいいのかな?と疑問を感じざる得なく、とても問題だと思っております。

兵庫県Aさんからのメール
「中途失明の方を中心にしたコンピューター講習会をやることになりました。 会場に来るのもバスや鉄道が1時間か2時間に一本。 夕方のバスは6時で最終などの交通の便もさることながら、ガイドヘルパーも思うにまかせない状況ですが、我々が動かないことには進まないのでステップバイステップでやって行くつもりです。」

福島のBさんからのメール
「1.馬場さんのメールから該当の(毎日新聞)のところをマウスで妻にクリックしてもらいまし た。(全盲者にはマウスは使えませんのでいつも妻の目を借ります。)
2.しばらくすると「インターネットエクスプローラー」という音声が聞こえ画面が立ち上がりました。
3.この時点では画面に文字情報は出ているようです。しかし、自動的にそれを読み上げてはくれません。
4.シフトキーを押すと音声で情報を読みあげはじめます。この内容は最初の記事のようで、しばらくするとハーモニーのことが書かれた記事が読み上げられてきます。この時も画面は文字が全くでないので、どこを読んでいるのかわからないと妻はいいます。(画面に一部文字が出てもそれと音声は一致しません。)シフトキーを押して音声が流れるのは、pcとーカーで読んでいるのだと思います。前に高知システムの方から聞いたのですが「ホームページリーダー」を使わなくとも「いんたーねっとえくすぷろーらー」と「pcとーカー」でインターネットを楽しむことが出来るということでした。
5.マウスを使って画面を移動させるとハーモニーの記事が出てくるので、妻はそれを読みます。音声は出ません。しかし、シフトキーを押すと、音声は出ますがハーモニーの記事とは別のことを読
みあげています。
どうしたらよいのか、ご指導お願いします。」

という2つのメールです。
都内でいつも活動をさせていただいてる私からは、兵庫県のAさんの大変さは、このメールをいただいて、初めて知りました。また、福島のBさんにおいても、自分で操作せずに、奥様の目をかりての操作で、どうにかWebサイトを閲覧とのこと。このあと、Bさんにはメールで指導をさせていただき、自力でどうにかWebサイトへキー操作だけでアクセスできるようになったと、喜びのメールはいただきましたが、ここで問題と思うのは、地方の視覚障害者へのパソコン指導の環境と適切な指導の悪さが浮き彫りにされていると思うのです。

ユーザーテストをさせていただいた際にも感じたことですが、8割がたのユーザーが、そのソフトに備わった機能をほとんど知らないということです。IBMのホームページリーダーには、文字読み、表読みなどの対応があるにも関わらず、まったくそれを使わないのです。
福島のBさんのように、コピーしアクセスする方法もなかなか侭ならない方も多くいらっしゃいます。これは、どうも話を分析してみると、やはり指導者がきちんと教えていないようなのです。
また、指導者がいないので、独学で自分のわかる範囲で適当にしてしまってるということかと思います。これでは、やっきにWebアクセビリティ、ユーザビリティが云々ということもとても大切ですが、どうにかユーザーへの適切な指導方法も確立していかなければいけないのではと思うのです。

一般の目の見える方と違って、やはり音声でアクセスする視覚障害者へは、フォロー体制をきちんと
国の政策のもと考えていって欲しいのです。ボランティア任せではなく!
 

声を上げたい利用者と、声を聞きたい製作者 ?

2005年06月20日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

毎日コミュニケーションズ(6月15に版)の、
MY COM PC WEBで、ハーモニーが主催させていただいた「Web アクセシビリティシンポジウム」のレポート記事が、アップされましたが、その中で取材なさった石田優子さんが、とても良い小見出しをつけてくださっていました。「声を上げたい利用者と、声を聞きたい製作者」と・・その通りだと思います。ただ、一般のユーザーは、いったいどんな所へ、どんなふうに伝えたら良いの?また制作者や関わる側は、どこにいったら、色々なユーザーの声が良いタイミングで聞けるの?特に障害者においては、特に難しく感じてしまうのだと思います。

先日、とある大手のIT企業のユニバーサルの担当者と話したのですが、

「私たちはユーザーの声を聞いて本当にいいものを提供したいのですが・・・その辺のシステム作りは正直いってこれからです。ですから逆にどんどんハーモニーみたいなグループが声を上げていって欲しいのです」と話していました。

確かに、ユーザーと製作者をつなぐコーディネートは今後益々、ユバーサル社会には必要になって行くことだと強く感じています。だって使うのは、ユーザーなんですから。人間なんですから。そこが1番の基本かと思うのです。




文字を大きく小さく?

2005年06月16日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

高齢者・弱視者=「文字のフォントは大きく」ということが通例のようになって、なぜか最初からバカでかい字のwebサイトを結構見かけます。これは、たまたま、その文字フォントがあってる方はいいのですが、合わない場合は逆に使いずらいようです。高齢者でも見え方は結構様々、メガネなどで調節なさってる方もいる訳ですから。また弱視者であればそれなりのソフトを導入したり、拡大鏡を手に持って、それを使い見ているので、かえって下手に調節されていないほうが使いやすいそうです。この話は、この間のシンポジウムでも当事者達からも出ていました。ま~少し大きめ程度であればそれはいいのですが・・

フォントをかえることができるツールを、導入している例も多くありますが、わざわざダウンロードして使わなければいけないツールを導入しているところは、高齢者の実情を知っていれば、まず論外かとは思うのですが、このほど、リュニアルした
野村證券さんの文字サイズを「大きく」「小さく」という表示をクリックするとフォントが変化するものは、とてもよいかと思います。自分にあったフォントに簡単に変化できますので。

また、これを表示してる場所もバッチリわかりやすく良いな~と思います。結構、webサイトの本当に1番上の位置と言うのは、パッとそのページを見たときに目が行かないようです。また、効き目にも寄るのかと思いますが、ページに向かって左側というのも、人間の視線がが行きずらいという特性が、どうやらあるようなので、右手のやや上に配置、更に赤の↑つきは、Bestだと感じました。
(この部分は、ユーザーテストを通して感じたことです)

もともと、ブラウザに備わっているメニューバーの表示→文字サイズで、字の大きさを変えることを知っている高齢者はやはり、少ないようですから、やはり誰でもがすぐに使えることを考えると、やはり上記のような方法が、現在はベストかと思います。

もし、このblogを覗いてくださった方で、他に文字サイズをカスタマイズできるサイトで、「ここがお薦め!」と言うサイトがあれば、ぜひぜひ教えてください。




Webアクセシビリティ・シンポジウム記事の掲載

2005年06月14日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

今朝の讀賣新聞、社会とくらしのコーナーで、先日25日開催しました、
Webアクセシビリティ・シンポジウム記事が掲載されました。ユーザー視点で開催されたシンポジウムは初めてのケースだったかと思うので、取り上げていただけたのかと思います。

また、ハーモニーWebサイトにも、当日のパネルディスカッションの発言した内容を、ほぼ全部アップさせていただきましたので、ユーザーの生の声を聴きたい方は、ぜひご覧下さい。

使い手はユーザーですので、もっとこれからは、ユーザー自身が、サービスを提供している行政や企業に対してきちんと意見を言う力を養っていくことが、大切な時代に入ってきているのではないだろうか?元気を出そう!ユーザー

また、このシンポジウムにおいて、参加者へアンケートを取らせていただいたのですが、その結果、「JIS X8341-3」を読んだものの、どうもピントこない、具体的に理解できないという方が圧倒的に多い結果が出ました。それというのは、思うに実際の視覚障害者ユーザーなどの利用している生の様子や体験をしたことが無いからではなかろうかと思っています。

そんな体験をできる場も、ハーモニーでできたら良いな~と現在、企画を進行中です。
お楽しみに!

行政のWebサイト・コミュニケーションは?

2005年06月13日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

Webサイトの利用で今後考えていかなければいけないと思うのは、Webサイトを介してのユーザーとの
コミュニケーションのあり方だと思っています。特に、行政の市民に対するサービスとして、Webサイトを介してのコミュニケーションは、なくてはならないものでしょう。
なのに・・ですよ、それがなかなか充実が図れていない現状が、様々な点から強く感じています。

そこには、色々な角度から検討されるべき問題があるのかと思いますが、今日はあえてWebサイトのアクセシビリティ、ユーザビリティの視点から、視覚障害者から届いたコメントからその問題にちょっと触れてみたいと思います。

板橋区在住の50代の中途視覚障害者(ハーモニー会員)のSさんからのメール
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板橋のSです。今日は配慮の足りないHPの例として板橋区の、各課への
メール問い合わせのHPについて少し問題があるのでそのことについて書いてみたいと思う。それぞれの課の説明と「ページを見る」「メールを送る」のリンクがずらずらと並んで出くる、つまりめりはりなく読み上げられるので、この「ページを見る」「メールを送る」のリンクが前の課のものなのか後の課のものなのか判断しづらいのです。これなどは少し配列に気を配れが改称できると思われるのですが、如何。という検証の結果です。以下、音声ソフトではどう読んでるかの例示です。

「区の組織のご案内担 当 課主 な し ご と政策経営部ページを見るメール
を送る政策企画課区政の総合的企画調整ページを見るメールを送る財政課財政計
画、予算編成ページを見るメールを送る広聴広報課「広報いたばし」などの発行、
区政についての要望などの受付、各種相談ページを見るメールを送るIT推進課
コンピュータ処理業務、IT(情報技術)化の推進ページを見るメールを送る区政
情報課情報公開、個人情報保護、区政資料室、有償刊行物ページを見るメールを
送る国際交流課国際交流推進(板橋区文化・国際交流財団交流課)ページを見る
メールを送る公文書館板橋区に係わる歴史的価値のある資料の公開、歴史・民俗
学の貴重な資料3万5千点を有する桜井徳太郎文庫を併設総務部ページを見るメー
ルを送る総務課庁中取締、条例規則の制定・改廃、ボランティア・NPO活動の推進、
統計調査ページを見るメールを送る人事課職員の人事・給与・福利厚生・人材育
成・研修、区職員の募集ページを見るメールを送る契約管財課区が行う工事など
の契約、区有財産の管理、公共用地の買収、庁舎の管理ページを見るメールを送
る課税課住民税の賦課、原動付自転車の登録、自動車仮ナン」
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と言うことです。このように音声ユーザーを通してしか気がつかないことも検証していくことは、これから公的な機関には必須事項になっていくことと思います。
また、視力が普通にある私がみても、例題のページは見やすい、とはいえない感じがします。
一工夫して欲しい、行政の窓口ページの例でした。


東大最先端バリアフリーシンポジウムで

2005年06月07日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

つい先日、東大最先端科学研究センター バリアフリー・プロジェクト主催の
「バリアフリー特別シンポジウム」へ参加してきました。3人の研究者のパネラーのお話があり、その後質疑応答の際に、参加していた車椅子に座った、言語障害も少しある男性が質問ではなく、自分の経験談を話しはじめました。その内容が、このシンポジウムを締めくくってくれるような、とても素晴らしいお話でした。早速、彼の許可もいただけましたので、以下へ紹介したいと思います。

「僕は、旅行が大好きで一人でも色々なところへ旅行に行きます。先日、青森のほうへ旅行に行きました。ある駅で電車の乗り換えがわからず、駅員へ尋ねました。そうしたら、僕は言語障害があるので、駅員はなかなか理解できませんでした。そこで何度か確認の質問を駅員が僕にしてきますが、その駅員は青森弁がきつく、逆に僕も何を言ってるのかわからなく、お互いにコミュニケーションがとれず、ほとほと困ってしまいました。そんなときに、先ほど話したような
ユビツキーのような商品が各駅に設置されていたら、簡単にお互いの意思を疎通することができるのに・・・」
(彼のユーモアたっぷりのしかも的をえた話に、会場皆さんから笑いと拍手が起こりました。)

(補足)
ユビツキーという商品は、もともと盲聾者用に開発された、指点字を誰でもができるように開発された、手に持てるグリップ式のコミュニーション機器。
詳細は http://www.j-ecology.co.jp/eco5-2.htm でご覧ください。

これは、言語障害をもつユーザーだからこそ、気がついた新しい視点だと・・感心しました。
せっかく開発された、ユビツキーはイマイチ売り上げがのびないということが、研究者の中から発言があったので、彼のこのコメントがあったのですが、福祉機器は苦労して開発されても、その後のマーケティングが不十分で、開発されておわりというのが結構あるのではないでしょうか?様々なユーザーの声を聞き、新たな使い方、また口コミ的な広がりをどんどん活用していかなければ、せっかくの商品も死んでしまい、苦労がむくわれないのでは・・とこの彼の一言で、強く感じました。
やはり、キーワードは「ユーザーの声」ですね。

webのユーザーテストにも、これはある意味同じことが言えると、思っています。


ユーザーテストってどうよ?

2005年06月06日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

さて、前回書きました総務省で実施されています「公共分野におけるアクセシビリティ確保に関する研究会」において、ユーザー評価を各段階で導入することが好ましいということで、策定されていました。

評価モニターは障害者(1名は音声読み上げソフト利用者)、及び高齢者の合計3名程度で・・ということでしたが、エッ!とここで思いました。こんな程度のモニターで本当に評価できるの?とまず思いました。それに評価テスト実施者というところで、行政の担当職員などと言う案もあがっていました。この職員が、アクセシビリティの知識プラス、かなり障害者のパソコン操作方法やコミュニケーションのとり方などの現状を把握していればいいですが、普通の環境の方を見るときのような感じでは決してテストはできないと言うことが、どうも話を伺っていると、まだ認識されていないようでした。

ハーモニーでも、簡易なものですがユーザーテストをする機会がありますが、そんなに簡単なものではないと思っています。視覚障害者でも操作的なもののレベルで、お寿司じゃないですが、松竹梅とユーザーさんをバランスよくそろえないと、偏った結果を生む可能性があります。せめて音声ユーザーのモニターさんは最低で3~4名は必要です。そのユーザーが操作を知らなくてアクセスできないのか?それとも、操作性には問題がなくアクセスできないのか?の見極めも必要になります。それとユーザーテストの何よりも良いのは、ユーザビリティと言う観点からも、とても参考になる結果が導き出せることかと思います。これは、一般の方々にも快適な、ユーザビリティを引き出せることとも重なることが多いです。

一般に、まだWebサイトのユーザーテストはまだ一般的なものにはなっていなく、よくわからない?
またコストがかかり過ぎるのでは?時間的に作業サイクルに無理があるのでは?等々、不安や疑問あるようですが、簡易なユーザーテストでも実施しないかするかではまったく結果は違ってくるように、実際経験したものとしては感じることが多いのも事実です。

ちょっと、そのへんで実際の視覚障害者のユーザーテストの様子を体験・見学してみたいというような方があれば、お気軽に声をかけていただければ、アクセシビリティなサイトが増えることですので、ぜひ協力をして行きたいと思っています。




総務省で研究されてることは?

2005年06月03日 | Weblog
ハーモニーの馬塲です。

さて、先日総務省で現在行われています「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」という、研究会を傍聴してきましたので、そのことについてちょっとリポーをしたいと思います。昨年のJIS化を受け、今後、それぞれの公共機関(とくに地方自治体)が、Webアクセシビリティを、きちんと導入し運用していけるようにするには?をどうやら研究しているらしいです。結構、普通の何でもないものが、総務省など官庁にいき、いかめしいガードマンの説明を受け入管許可を書くだけでも、なんとなく緊張してしまうのですが、結構、その研究会の会議室に入ってしまうと、そんなに緊張する雰囲気ではなかったので、ホッとしました。以外にこういった会を傍聴できるなんて知らない方も多いのではないでしょうか?ぜひ、興味のある方は1度足を運んでみたらいかがでしょうか。

会議が始まりお話を聞いてまた、非常に身近に感じました。まだまだ、確かに研究段階でこの私にも、十分理解できるレベルのものでした。この日は、アクセシビリティ確保のためのJISをもとにした、優先順位をレベル1、レベル2にわけ最低クリアしてほしい基準をチェックシートを使い、地方自治の担当者また請負業者にもわかりやすくするということ、またユーザテストの導入に方法などの案が話し合われていました。

そこで、問題になっていたのが、レベル1とレベル2の分け方でした。仮に策定されているシートがあり、それをもとに委員の方の意見を聞いていました。どちらかと言うと、作り手の工程の手間を中心に考えた分け方(作り手中心)で合ったので、委員の中から様々なユーザーが最低アクセスできる基準を考えた分け方で・・と意見が出始め、再度考え直すことが決定していました。考え直していただけるようで、とにかく良かったと思います。

この会議には、わずか一人、視覚障害者で著名なスーパーマンみたいに優秀な全盲の某教授が委員で参加していますが、他に障害者らしき人はいませんでした。また、傍聴席にも障害者自身の姿は見えません。そして正直いってリードしていく総務省の方も障害者ユーザーの実際の問題点を、書かれた本だけでわかってるのではなく、生で理解してる様子もないのが、話の端々から見えてきます。せめて、もっと当事者の意見を上手く取り込める研究会にできないものなのかしら?と・・また当事者でこういったことに関心のある方は、ぜひぜひ、積極的に傍聴席にでも参加してほしいな~と思ったりしました。

次回は、ユーザーテストのお話を少し書きたいと思います。