小論講師の徒然草

大学受験予備校で小論文を教える者が日々思うところを徒然に…。

自殺者増加問題

2009年04月09日 00時23分42秒 | 時事ネタをぶつぶつ
死刑制度と並んで、今年の試験で出題が強く予想される自殺者増加問題。今日はこのテーマを少し。

我が国の一年間の自殺者数を知っていますか?

警察庁が発表したところによると、08年は3万2249人。1日平均で88人。交通事故死者の6倍もの人が、自殺により自ら命を絶っているわけです。

自殺者数は、98年にぐんと増えたという経緯があります。その前年、97年には山一証券や北海道拓殖銀行が破綻している。要は、経済問題が自殺の大きな要因の一つになっているということです。08年に自殺者が3万人を大きく超えたのも、同様の理由によるものと考えられます。

とすると、自殺者を減少させるためには、まずは経済問題を解消しなくてはいけない。生活保護をもっと受給しやすくする(現在、生活保護はなかなか受給されない。申請すら受け付けてもらえない場合も多い。それで本当に生活に窮して自殺してしまう人もいると推測される)、破綻に瀕した中小企業の資金繰りを支援する(従業員を路頭に迷わせることに責任を感じて自殺してしまう経営者も多いという)、などの対策が必要。

また、最近の特有の要因として、ネットのいわゆる自殺サイトに起因する集団自殺も挙げられます。未成年者を対象としたフィルタリング規制はこれにはほとんど無力。集団自殺の多くは成年者だそうですから。とすると、自殺サイトを何らかの方法で規制しなくてはいけない。削除するのが一番簡単なのでしょうが、HPの開設も表現行為である以上、そう簡単にこれを規制することはできない。監視の徹底などが必要でしょう。

同じくネットに起因する要因として、学校裏サイトなどによる陰湿なイジメが挙げられます。これもそのサイトの発見が難しいそうなのですが、通報体制を確立するなどして、監視体制を強化しなくてはいけない。

さらに、近時増えている自殺の要因として、介護問題に起因するものも挙げられます。いわゆる、介護疲れのケースです。これは、今後高齢化が進行するとますます問題となる。介護福祉制度の充実をはかることが必要でしょう。

交通事故は、1970年に年間死者数1万6000人を記録したことを機に、本格的な対策を開始しました。交通安全対策基本法を制定し、取り締まり強化、自動車運転過失致死罪・危険運転致死罪の創設、などの様々な対策の結果、現在では3分の1まで減少。

自殺の問題も、本格的に対策に乗り出す時期に来ていると思います。

…という問題意識を持つ人も増えているはずなので、今年は多数の出題が予測されるのです(すでに頻出テーマになっていますが、特に)。

最新の画像もっと見る