
同党の今年の最重要課題は4月の統一地方選での党勢拡大だ。その実現のため、消費税の軽減税率導入などを巡る自民党との与党協議で独自性や存在感を発揮したい考えだ。
「今年の大きな戦いである統一地方選に全力を傾注して参りたい」。山口代表は2日の街頭演説でこう強調した。公明党にとって統一地方選は「結党の原点」だ。1955年4月の統一地方選で、支持母体である創価学会の推薦候補が初めて地方議会に進出し、64年11月の結党につながったからだ。党所属の地方議員約3000人の約半数が改選を迎える今年の統一地方選は「重要決戦」と位置付けられている。
同党は統一地方選で、これまで連立与党として国政で果たしてきた役割をアピールする方針だ。特に、生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、2017年4月の消費税率10%への引き上げ時の導入を目指すことで自民党の合意を取り付けたことを強調する構えだ。
自民、公明両党は今月下旬から、軽減税率の対象品目など具体的な議論を始める。与党としての制度案の決定は秋頃の見込みだが、公明党としては、「4月の統一地方選の前に大枠の合意にこぎ着け、有権者に一定の成果を示したい」(党税制調査会幹部)考えだ。
一方、集団的自衛権の限定的な行使を可能にするための安全保障関連法案を巡る議論については慎重に対応する構えだ。自民、公明両党は今月中にも与党協議を再開し、関連法案の全体像をまとめる方向だが、公明党内には本格的な議論は統一地方選後に先送りすべきだとの声もある。「再び日本が戦争に巻き込まれるといった誤った議論が蒸し返されれば、『平和の党』という看板を掲げる公明党の選挙にマイナスになる」(中堅議員)との懸念があるためだ。
自公両党間には、シーレーン(海上交通路)での機雷掃海などを巡る見解でもズレがあり、自衛隊の活動をどこまで認めるか、公明党は慎重に議論を進める方針だ。