
イスラム国は29日のメッセージ以降、人質に関する新たなメッセージなどを公表しておらず、交渉にあたるヨルダンのモマニ情報相は31日午前(同31日夕)、本紙の取材に「更新情報はなく、調査を続けている」と語った。
1月30日夜(同31日未明)には、イスラム国の広報担当とみられる男が、ツイッターに「新しいメッセージを間もなく出す」と書き込んだが、後藤さんらの安否に関する情報は確認されていない。一方で、イスラム国とヨルダン政府との水面下の交渉は続いているとみられ、アンマンの日本政府現地対策本部で指揮を執る中山泰秀外務副大臣は31日未明(同31日朝)、記者団に「事態が推移している状況だ」と説明した。
イスラム国は24日以降、後藤さんとリシャウィ死刑囚の交換を要求している。これに対しヨルダン政府は、イスラム国に拘束されているヨルダン軍パイロットのムアズ・カサースベ氏(26)と死刑囚との交換に応じる用意があると表明。双方の主張はすれ違い、後藤さんの安否情報も途絶えている。
こう着状態が続く中、ヨルダン国内にはカサースベ氏死亡の臆測も流れ、国民の間には動揺も広がっている。カサースベ氏の出身地であるカラク県では、28日夜、同氏救出を求めるデモの一部が暴徒化した。ヨルダンの国営テレビは31日、アーメリ報道官が30日に発表した「カサースベ氏の安否にかかわる情報は受け取っていない」「非公式な情報をやりとりしたり、誤った報道を広げたりすることがないように注意を払い、うわさに惑わされないように求める」などの声明を、報道官本人の顔写真と共に繰り返し放送した。