秋も深まりよく思い出すのは、紅葉と鹿の組み合わせです。
金田一春彦「ことばの歳時記」新潮文庫より
《紅葉・鹿》の俳句
・山暮れて紅葉の紅を奪ひけり 蕪村
・大寺の片戸さしけり夕紅葉 一茶
・ぴいと啼く尻声悲し夜の鹿 芭蕉
・鹿啼いて柞(ははそ)の梢荒れにけり 蕪村
横田正知編「写真 俳句歳時記秋」現代教養文庫より
《お説教から (谷口璽照)
今こそお互いに人間さまですが、前生・前々生には如何なる様であったやら。行基菩薩の歌にも「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば 父にてやあらん 母にてやあらん」、紅葉踏み分け鳴く鹿を、親と頼んだこともあり、草を餌食(えじき)に重荷を背負うたこともあり。空に飛ぶ鳥、水に住む魚、草に宿りしキリギリス。種々に形を改めて迷い重ねた我等ゆえ、これを名づけて衆生という。》