ガンバ大阪が北海道コンサドーレ札幌に劇的逆転勝利し、7月14日サガン鳥栖戦以来の勝ち点3を獲得した。

勝利の笛の瞬間、G大阪FW宇佐美貴史(32)は両手で顔を覆い、芝に突っ伏して泣いた。「ここ数カ月、本当に苦しかった。逃げずにやり続けようと話していて、一番はっきりした形でチームに見せることができた」。自身の2ゴールによる10試合ぶりの勝利に、感情を抑えられなかった。

2日にセレッソ大阪と戦った大阪ダービーから中2日ということもあり、宇佐美はベンチスタートとなった。出番が与えられたのは後半20分から。札幌に1点リードされている状況で投入された。

攻めながらも得点できず苦しい時間が続いたが「0-1で負けている状況っていうのは、前の選手としては1番燃えるし、途中から(倉田)秋くんも入ってきて、すごくエネルギッシュにやってくれていた。おじさん2人で頑張りました」。その言葉通り奮闘し、終了間際に試合を動かした。

後半追加タイムに相手のハンドでPKを獲得すると、ゴール左下に力強く決めて同点に。宇佐美はここで止まることなく逆転を狙った。「主審に『あと何分取る?』と聞いて、あと2分と聞いた。2分で絶対ワンチャンスある、絶対もう1発決めてやるって強い思いを持った」。

同点弾から4分後に、その時は訪れた。MF山田康太(25)の落としから、ワンタッチで1人をかわしてペナルティーエリアに進入すると、DFの動きを見て冷静にアウトサイドで切り返し、右足を振り切った。 冷静な劇的弾を少し興奮した様子で振り返った宇佐美は「ガンバが勝てなかった時ヤットさん(遠藤保仁コーチ)決めたゴール(16年)と、秋くんがダービーで決めたゴール(19年)と、今日の自分が決めたゴールがすごく重なって、スタジアムの思いがはじける瞬間をリアルに肌で感じた。今までで1番感極まったゴール。主人公だと思います」。文句なしの活躍に、そう胸を張った。

リーグで9試合勝ちがなく主将として苦しんだが、自らの2発で悪い流れを断ち切った。「流れを引き戻せると思うし、上に目標を持ってやっていきたい」。取るべき人が取ってようやく白星を挙げたG大阪が、再浮上のきっかけをつかんだ。

でした。